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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0289.宴の余興

「カハルちゃん、いいですよー」

「はーい。では、これから余興を始めまーす。まずは、雷の熊さんです」


 縦横二メートル位の結界を作り出すと、それだけで皆が歓声を上げる。こんな本格的な魔法はなかなか見られないもんね。


 カハルちゃんの十センチほど開いた両指の間を繋ぐように、バチバチと金色の線が行き来し始める。最初は糸位の太さだったが、徐々に指と同じ太さになり、その状態のまま手首までを結界内へ入れる。すると、指からふわっと光が離れて漂って行く。


 中央まで移動した所でカハルちゃんがすっと手を引き抜くと、金色の線が結界内を埋め尽くすほどの本数に膨れ上がり、高速で飛び交いだす。皆が息を詰めて見守る中、線が意志を持ったように動き、徐々に熊さんの形を作っていく。あの熊さんはアケビちゃんに似ているかも。



「わぁ、熊さんだ! 金色だよ!」

「近くで見たーい!」

「駄目よ、こら、じっとしてなさい!」


 その様子を見たカハルちゃんが、僕達の眼前に結界を移動させて来る。


「結界に手を振れないでね。近くで見ていいよ」


 子供たちが「わーい!」と殺到するのを先生達が叱る。


「押し合うと見せないぞ。結界に触れるなという約束を守れ。いいな?」


 まずいという顔になった子達が、今度はお行儀よく近付いて行く。


「うわぁ、バチバチしてる……」

「おっきいねぇ。あ、丸いシッポもあるよ」

「え⁉ 私にも見せて! わぁ、可愛い!」


 喜ぶ声につられて、大人も子供たちの輪の外から眺め始める。あの爪で攻撃されたら、切り裂かれたうえに雷で真っ黒焦げになるっていう事でしょ? 見た目は可愛いけど、恐ろしい相手だ。


「これが魔法か~。いやぁ、凄いね~」

「冥土の土産に良い物が見られたよ」

「じっさま、縁起でもねぇことを言うな!」

「そうですよ。白族は大体二百歳まで生きるんですから。まだまだ先は長いですよ」


 じっさまの感想が……。元気に長生きしてね。


 皆が近くで見たのを確認したカハルちゃんが声を掛ける。


「次に行きますよ~。結界を動かすので離れて下さ~い」


 お次は何だろうとワクワクしていると、カハルちゃんがパンッと手を叩く。


「えっ、火の鳥⁉」


 轟々と燃える、真っ赤な炎の体を持つ鳥さんに一瞬で変わった。鷲のような感じで、翼を広げると二メートルはあるだろう。結界を広げたカハルちゃんが鳥さんに指示を出す。


「羽根で炎を撃ち出してくれるかな?」


 向きを変えた鳥さんが両の羽根を素早く降ると、グレープフルーツ位の火の玉が六つも出来て、高速で飛びながら結界の端に当たり、ドゴーーーン! と大爆発を起こす。


 音を遮らないタイプの結界だったので、「わっ⁉」と叫んだ近くの子達の毛が一斉に逆立つ。じっさま達は無事かな?


「こりゃあ、すぺくたくるだねぇ」

「儂もあんな魔法が使えたら……。今から練習しようかねぇ」


 普通に喜んで前向きだった。年を取ると、ちょっとやそっとの事で驚かなくなるのかな?


「お次はお魚だよー」


 また手を叩くと、このまえ見せて貰った、シッボの長いお魚さんが大きくなって現れた。あの子はどんな事をするのかな?


 ポコポコと水の泡を口から出していく。それらが七色に光る中をお魚さんが優雅に泳ぐ。長いシッポやヒレをゆらゆらさせていたかと思うと、自分のシッポを追うように横回転し始める。グングンと速度を増すと体が泡となって弾けた。


「次で最後だよー」


 カハルちゃんの声と共に泡を蹴散らして白馬が現れる。後ろ足で立ち上がって嘶く姿に拍手が起こる。


 「いいぞー!」という声援に、にこっと笑ったカハルちゃんが、結界を縦にグーンと伸ばし、白馬を指さす。


「飛べ!」


 普通の白馬だと思っていたら、背中からバサリと翼が!


「おぉーーー!」

「あれ、羽根⁉ 羽根だよね⁉」

「馬じゃないの?」


 大きな翼を羽ばたかせて、どんどん高度を上げていく。あんな大きな体で空を飛べちゃうんだ~。結界の最上部に到達すると、ポンと弾けて白い羽根に変わり、雪のようにヒラヒラと舞い落ちてくる。その様子をうっとりと眺めていると、可愛らしい声が響く。


「――以上で終了でーす。ありがとうございましたー」


 大歓声と拍手を受けながら、カハルちゃんが戻って来る。


「お帰り、カハル」

「ただいま、お父さん。トウマ君、どれがいいか決まった?」

「え、えっと――」

「ちょっと、トウマ、どういう事?」

「トウマ、何か貰えるの?」

「わっ、やめ――」


 次々と仲間に飛び付かれたトウマがベシャッと潰れる。


「いってぇー……。おい、お前ら覚悟は出来ているんだろうな?」

「え、えへへ。つい、勢いがついて」

「あはは、ごめんよ~……逃げるぞ!」


 散らばって逃げて行く仲間を鬼の形相のトウマが追い掛けて行く。ああ、早速一人捕まった。頬をみにょーんと引っ張られて、「ふえぇぇー」と悲鳴を上げている。僕の頬の方が伸びるなと冷静に見ていたら、カハルちゃんが横に来る。


じっさま達、楽しんでいますね。少しの事じゃ動じません。

外に働きに出ている子達はある程度の魔法は見た事がありますが、こんな魔法は初めてです。

興奮した勢いのままトウマを潰しました。ニコ&ヴァンちゃんには敵いませんが、トウマは足が速いので逃しません。


次話は、小さい子達が駄々をこねます。


お読み頂きありがとうございました。

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