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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0280.モフモフお腹ベッド

「終わったよ、ニコちゃん」

「カハルちゃん! 怪我していないですか? 平気ですか?」

「うん、心配してくれてありがとうね。見て、ニコちゃん。これが本当の聖域の姿だよ」


 風に煽られて散った葉がゆっくりと舞い落ちてくる中、目に飛び込んで来たユキシロさんの大きさにびっくりする。熊さんぐらいはあるよ⁉


「えっ、ど、どうなっているんですか?」

「本来の大きさに戻ったんだよ。ユキシロはあの巨木と繋がっているから、影響を受けていたんだよ」


 ヴァンちゃんが早速、胸のもっふりとした毛に抱き付きに行っている。


「ふぅおー、もふぉもふぉ」


 スリスリされてユキシロさんがくすぐったそうだ。周りに目を向けると、他の狼さん達も大きくなり輝きが増している。太陽のような強い光ではなく、お月様のように柔らかく包み込んでくれる白銀の光だ。木は葉の数を増し、一枚一枚がピカピカに磨いたように光っていて、鏡のように僕の顔を映し出せそうだ。


 輝いているのは、それだけではない。氷の結晶が大気に含まれてでもいるかのように、そこかしこでチカッ、キラッと光っている。水も透明度が上がり、清らかさが増しているように感じる。


「お水を飲んでみて。体も回復するし、とってもおいしいよ」

「――ごっくし。うん、美味しい! ほんのり甘く感じますね」

「そうでしょう。それに、過ごしやすくなったんじゃない?」


「はい。神聖さは増した感じがするんですけど、いたたまれなさが減ったというか、ピリピリした感じが消えたというか……。上手く言えませんが、ここに来たら心のザワザワがすぐに消えてしまいそうです」


「ふふっ、気に入ってくれたみたいで良かった。ユキシロのお腹に寄り掛かって眠ると、最高に癒されるよ」


「はい! 俺やりたい!」


 ヴァンちゃんが凄い速さで食いついた。苦笑したユキシロさんが寝そべってくれる。僕も「おいで」と言われたので、遠慮なくボフンとお腹の毛に埋もれる。


「あ~、至福~」

「俺、もう離れたくない。――そうだ、質問があります。どうやって光っているのですか?」


『生まれた時から光っている。創造主様に聞いた話では、白銀の木の魔力が我らに流れ込んでいる影響ではないかと仰られていた』


 魔力の影響という事は、僕もここに住んだら光るかな? いや、ピカピカしていたら仕事に差し支えるな。ヴァンちゃんは自分の腕に触って貰って、ピカピカが移らないか実験している。うん、効果なしでした。


 カハルちゃんは魔力の流れを確認しているのか、フォレスト様と空中に出した画面を見ている。


「いい感じになったね。詰まりがだいぶ解消されたよ。聖域が一つ完全に復活すると、他も一気に改善するよね」


「そうだね。精霊の森の奥にも魔力が多く流れるようになってきているよ」


 ふむふむ。この調子で聖域を復活させれば世界が元気になるんだな。


「海の社はどうなったかな? ――ダーク、出られますかー?」


 返答が来ない。どうやら戦いの最中のようだ。


「フォレスト、まだ戦っているみたいだから帰ろうか」

「そうだね。白ちゃん達、行くよー」


 あ~、離れがたい。思いっきりスリスリしてから立ち上がる。


「あの、また来てもいいですか?」


『ああ、いつでも歓迎しよう。迷いの森に着いたら私の名を心の内で呼べ。迎えに行く』


「ありがとうございます! ヴァンちゃん、良かったね」

「うむ。ユキシロさん、ありがとうございます。失礼します」


 カハルちゃんに抱き付くと「良かったね」と抱き締め返してくれた。



 フォレスト様とは城の前で別れて、ヒョウキ様の元へ向かう。


「おう、お帰り。浄化は上手くいったか?」

「うん、ばっちりだよ。ダーク達はまだだよね?」


「ああ。それなりに数がいるみたいだからな。この後はどうする? 精霊の森に行くのか?」


「出来れば海の社に魔力を流したいな」


「じゃあ、先に昼飯にしようぜ。――メイド長、カハル達の分もここに運んでくれるか?」


「はい、畏まりました。すぐにお持ち致します」


 ヴァンちゃんは誰かにユキシロさんの良さを話したかったのか、メイド長さんに「白銀の森はどうでしたか?」と聞かれると、嬉々として付いて行ってしまった。置いて行かれた……。


「ニコ、こっち来い。俺に話を聞かせてくれ」


 興奮しながら話していると、眠っていたカハルちゃんが顔を上げる。


「ダーク達が帰って来たみたいだよ」


 耳を澄ましていると、すぐに話し声が聞こえて来た。


「ただいま。カハルの方が早かったか」

「お帰り、ダーク。怪我していない?」


「ああ、無事だ。だが、問題がある。行ったら石像が一体壊れていた。逃げ出した奴が居るかもしれない」


「急いで探すね」


 カハルちゃんが意識を集中すると、出っ放しになっていた画面にカハルちゃんの魔力が細い糸のように広がって行くのが見える。広大なイザルトに急速に広がるのを驚きと畏怖を持って見つめる。どれだけ魔力を内包しているのだろう? しかも、これで力が弱くなっているらしい。完全な状態だったら、指をちょいと振っただけで世界が消し飛ぶんじゃないだろうか?


「――ふぅ……。大丈夫、そこに封印されていた魔物は居ないよ。前に確認した時の数と同じだよ」


「そうか、安心した。……その顔は何か心配事があるな?」


「……ばれちゃった。カーリスらしき魔物が居るって言ったでしょう。何か変な感じがするんだよね。気配が重なっている感じがするっていうか……。気にし過ぎなのかもしれないんだけどね」


「いや、カハルのそういう感覚はよく当たるからな。警戒して事を進めよう」

「ありがとう、ダーク」


 話が一段落した所でメイド長さんが入って来た。


聖域が元気になりましたね。ユキシロも元気いっぱいです。

お腹ベッドいいですね~。一度寝たら起き上がれなくなりそうです。

ヴァンちゃんは光る事が出来ませんでした。残念。

ユキシロがそっと大きな手でヴァンちゃんの腕に触る姿、きっと物凄く可愛いんだろうなぁ~。


次話は、白族の村へ行きます。


お読み頂きありがとうございました。

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