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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0277.消臭スプレー

「――食べる?」


 シン様が声を掛けるとブンブン首を横に振る。みんな草食だもんね。


「ごめんね、秋刀魚の匂いって強いもんね」

「ガウ、ガウウー、ガウーガウ」

「美味しそうな匂いで思わず来てしまったそうです」

「そっか。梨あるよ。食べる?」


 嬉しそうに頷く森の皆にシン様が配ると、次々に茸や木の実が差し出される。


「物々交換?」

「そう見えるよね。あっ、栗!」


 ヴァンちゃんと一緒に見に行く。見事なツヤツヤの栗だ。


「栗ご飯にでもしようか」

「ご飯に栗を入れるんですか? 甘いご飯?」


「お醤油とかで味付けするから甘くないよ。ニコちゃん達はいつもどうやって食べていたの?」


「甘く煮て食べていました」

「そうなんだ。甘い方が好きなら煮てあげるよ」

「別の食べ方が気になる」

「僕もです。それに栗拾いしたいです」


「じゃあ、お休みの日に採りに行こう。茸もいっぱいあるしね」

「やったー! ヴァンちゃん、どっちが多く採れるか競争ね」

「うむ。負けぬ!」


 子供のクマグマちゃん達も手を挙げているけど、リーダーに復旧作業のお手伝いがあるからと却下されている。


「クマグマちゃん達の分も俺が採ってくる。乞うご期待」


 途端にはしゃぎ始めた子達にリーダーが苦笑している。食欲の秋ですからね~。


「はい、みんな冷めちゃうから食べてね。まだお風呂にも入っていないよ」


 シン様がパンパンと手を叩いてくれた事で秋刀魚を思い出す。次から次へと目の前に美味しい物が出てくるから、ついつい目を奪われてしまう。


「はい、デザートの梨ね。食べ終わったら、片付けはいいからお風呂に行っておいで」


 ダーク様はお魚を焼いた所を片付けるというので、今の内だとカハルちゃんを連れてお風呂に入る。ポカポカになって戻って来ると、まだ秋刀魚の匂いがする。


「秋刀魚の匂いって強力ですね」

「ねぇ。風の魔法で吹き飛ばそうか」


「あ、カハル、待って。フォレストに貰った消臭スプレーがあるよ。これでシューシューしてくれる?」


「はーい」


 霧吹きで空中に噴射するとすぐに匂いが消えていく。おぉー、フォレスト様、凄い!


「どう? 白ちゃん達の鼻でも匂いがしなくなった?」

「はい、綺麗さっぱり消えました。これ、中身は何で出来ているんでしょうね?」

「ええとね、聞かない方がいいと思うよ」


 シン様が言い淀んでいる。カハルちゃんもさっきから、びっくりした顔をしているんだよね。


「余計に気になりますよ。教えて下さい」

「うーん、そう言うなら見せてあげるね」


 シン様が冷蔵庫から納豆を持って来て、カハルちゃんがシューと撒いてから僕達の手を握る。どうやら魔力が強いと見えるらしい。


 空中に舞う飛沫を見ていると、風船のような質感を持つ小さな象さんの形になり、匂いを鼻で吸い込みドンドン膨らんで大きくなっていく。僕に前足が乗っても全然痛くないし感触もない。何で見せるのを躊躇っていたんだろうと疑問に思っていたら、見てしまった……。


 匂いを食べて満腹になったのか、動きを止めた象さんは風船が割れた時のように破裂した。象さんだったペラペラの欠片が僕の体に降り注いで来る。呆然としていると肩に手を置かれる。


「ね? だから、見ない方がいいって言ったでしょう」

「は、破裂……」


 やっと絞り出した言葉が自分に更なるダメージを与える。


「……びっくりした」


「ヴァンちゃん、体に掛かった欠片は消えちゃうから大丈夫だよ。そのスプレーはフォレストの試作品で感想を教えて欲しいって言われたやつでね。ある程度、魔力があると破裂が見えちゃうって伝えておくよ」


「――なぁ、シン、金網に付いた匂いが取れないんだが」

「――これ、どうぞ」

「これで消えるのか? 借りるな」


 シン様が説明せずにダーク様に渡している。僕達はそっと戸口から見守る。吹き掛けて、セイさんと一緒に匂いが消えたと喜んでいる。あ~、そろそろ破裂しちゃうよ~。音は無いけど、パーーーンという音を聞いたような気分になる。少し驚愕した後に、無表情に変わったダーク様とセイさんがこちらにズンズンと向かってくる。


「シン、何だこれは。象が破裂したぞ」

「フォレストが作ったのか?」


 おお、セイさん、勘が良い。いや、よくあるのかな?


「試作品だって。変だけど、匂いはよく消えるでしょう」

「それはそうだが、心臓に悪いだろ」

「僕達も被害に遭ったから伝えておくよ」


 フォレスト様も魔国の爆発好きの部長と同類? ん~、でも、穏やかな良い人だったよね。


「ニコちゃん、フォレストはまともだから。滅多にこんな事はないからね。時々、お茶目だけど……」


 カハルちゃんが一生懸命に言い募って失敗している。お茶目なんだ……。


 その夜、夢で象さんに吸い込まれてうなされた。世の中には見ない方が良い事もあるのだなと、飛び起きて痛感した。


反応を見たいので、何食わぬ顔で渡すシンです。ダークがしてやられましたね。

音が無いのがせめてもの救い?

フォレストは、これ面白いかな? くらいの気持ちで作っています。

シンとヒョウキはよく試作品を渡されています。


次話は、白銀の森に向かいますよ~。


お読み頂きありがとうございました。

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