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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0274.良い魔物?

「二体は力が弱いからね。それに、幹部に悪意が無いからだよ。多分、カーリスだと思うよ」


「ああ、あいつか。幹部の中でも慈悲深い事で有名だったやつだな。ペルソナがいつも側に置いていたっけな」


 慈悲深い魔物なんて居るの? 魔物は全部凶暴なんだと思っていた。俄かには信じられなくて、ヴァンちゃんと一緒に首を傾げる。


「そうそう。戦わなくても済むかも。でも、消滅させる事には変わりないけど……」


「そんなにしょげるな。俺も一緒に背負ってやるから。それに、カーリスは俺達を恨むような奴じゃないだろう」


「ダーク……。ありがとう」


 長く戦ってきて相手の事もよく知っていると辛さが増すのだろう。しかも、良い魔物みたいだし。うーん、想像が付かない……。


「他にも居るのか? イザルトの周りの闇はどうだ? 俺じゃそこまで分からなかったんだけどさ」


「周りの闇と大森林と万年雪の山に居た魔物は全部消えているよ。たぶん……ううん、なんでもない」


「うん? 何か気になる事があったら言ってくれよ。カハルほど気配が分かる奴は居ないんだからさ」


「うん。気になっているのは精霊達の森の奥かな。淀みが酷いから、もしかして何かが眠っているかもしれないんだよね。そこは私が直接行こうと思っているんだ」


「じゃあ、フォレストに一緒に行ってもらうか。俺達はリストの奴を重点的にやる」


 カハルちゃんが頷き、皆で振り分けを考えている。


「あの、カハルちゃん、僕達はお留守番ですか? 出来れば付いて行きたいです。何かお役に立てるかもしれません」


「うーん、どうしようかな……。そんなに強い魔物は残っていないんだけど、もしもって事があるよね。う~ん……」


 物凄く悩んでいる。ヴァンちゃんと一緒に見守っていると、決心したようで僕達の手を握る。


「一緒に行こうか。危なくなったら移動の魔法で安全な場所まで飛ばすからね。無理な時は私が何としてでも魔物を止めるから、とにかく逃げて。ごめんね、危ない事ばかりで」


「僕達の意志で付いて行くんですから、カハルちゃんが責任を感じる事はありませんよ」


「うむ。俺達の我が侭」


 申し訳なさそうな顔のカハルちゃんを撫でていると、ダーク様にひょいっと抱き上げられる。


「お前達も一緒に行くのか。どこから行くんだ?」

「うーんとね、白の国にある白銀しろがねの森からかな。ここが回復すれば、劇的に魔力の流れが変わると思うんだよね」


 白の国か。僕達の村と近いのかな?


「白銀の森ってどの辺りですか?」

「えっとね、白の国の北側で大森林の近くなんだよ。西にインフェテラで東にクローバーの国があるでしょ。黄の国の北端よりは上なんだけどね、迷いの森って知ってる? その奥にあるんだけど」


 カハルちゃんの指を追って、地図がトンと叩かれた所を見る。その指をヴァンちゃんがさっと捕まえると、驚いて目を瞠った後にカハルちゃんが声を上げて笑っている。その成果にニヤリとしているヴァンちゃんの頬をダーク様が突くと、その指をカハルちゃんが捕まえる。エンドレスな攻防を眺めながら口を開く。


「ああ、あの辺りですか。僕達の村とあまり離れていませんね」


「そうなんだ。帰りに村に寄ってもいい? 行きたいって言ってそのままだったよね。干し芋あるかな?」


「来て下さるんですか⁉ 干し芋はミルンさんに頼んでおきます!」

「俺達、案内する。どこでもお任せ」

「わーい! お土産は何を持って行こうかな?」

「あ、僕も行きたい。直接会ってお礼を言わないとね」


 シン様とカハルちゃんがお土産を何にするかで盛り上がっている。それなら、是非貰いたい物がある。


「お醤油とお味噌が欲しいです」

「え、それでいいの? メロンとかじゃなくて?」

「メロン! う~、メロンの方が喜ぶかなぁ、ヴァンちゃん?」

「おばちゃん達は調味料で他の人はメロンを喜ぶと思う」

「そっか。じゃあ、両方持って行こう」


 簡単に解決策が出た。えへへ、村に味革命が起きるぞ~。


「ミナモ、俺も行きたい」


「ヒョウキ様は楽しいお仕事をしましょうね。ニコちゃん、ヒョウキ様にも干し芋を頂けませんか?」


「はい、頼んでおきます。もちろん、ミナモ様にも差し上げますからね」


 ヒョウキ様が凄く喜んでいるけど、ミナモ様の手のひらで転がされている気が……。まぁ、いっか。本人が幸せなら何も言うまい。


「俺達は早速倒しに行くか。セイ、行くぞ」

「了解」


 シン様は別行動なのか、リストを眺めている。


「ねぇ、ミナモ。ヒョウキを少し貸してくれない? 十五分もあれば終わると思うんだよね」


「はい、構いませんよ」

「あれ、俺が行くの明日じゃないっけ?」


「明日は白ちゃん達の村に行くから色々と準備したいんだよね。お願い出来るかな」


「ああ、いいぜ。ちょっと行って来るな」

「いってらっしゃいませ」


 僕達は書類配達しないと。鞄よし、腕章よし。


「僕達も行ってきまーす」

「はい、お気を付けて」


 ミナモ様とカハルちゃんが笑顔で送り出してくれた。えへへ、頑張っちゃうぞ~。


ミナモはヒョウキが何を言うかなんてお見通しです。

思考のすり替えなんて、簡単に出来ちゃいますよ~。

やっと白族の村に行けそうです。幻の干し芋を再び出せたぞー!

(作者が気に入っているだけです。幻ですよ! (笑))


次話は、シンの家の衝撃的な事実をニコちゃんが知ります。


お読み頂きありがとうございました。

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