表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
274/390

0273.里芋騒動

「こっちもか。ほら、口を開けろ」


 セイさんが里芋をポンポンと口に入れてあげている。


「こっちもって何があったの?」

「芋の粘り気でフォークに上手く刺せないようだ」


 見ていると、あちこちで里芋がスポーンと器の外に飛んでいる。刺せないのを繰り返すうちに力が入る所為かな?


「クマグマちゃん、掻き込むようにして食べていいよ。今日は特別ね」


 シン様が声を掛けて立ち上がる。クマグマちゃんは落ちた里芋を拾うのも上手くいかないようだ。毛もベタベタで半ベソになっている。


「僕が拾うから手はセイに洗って貰ってね」


 その様子を見たドンさんが口を開く。


「どこでもこんな感じなんですねぇ。うちも小さい子達が居るんで、食事時はひっちゃかめっちゃかですよ。特にトマトソースの時は酷い有様ですよ」


 僕も村で小さい子の世話をしていたので良く分かる。でも、僕はあまり人の事は言えないかも……。


「――こらっ、坊主ども、大人しくしてろと言っただろ。人様の家を勝手に覗くんじゃねぇ」


 大きな声に顔を上げると、走って行ったドンさんが、小さいドアから覗いていた子犬の首根っこを掴まえる。


「わー、ごめんなさい~」

「だって、気になったんだもん」

「もんじゃねぇよ。ほら、帰れ」

「えー、せっかく来たのに~」


 そこへノックの音が聞こえる。


「はーい、どうぞ」


 シン様が応えると、そーっと扉が開く。


「すみません、うちの子達がこちらにお邪魔していませんか?」

「おう、ここに居るわ」

「ドンさん、すみません。こら、駄目でしょう。帰りますよ」

「えー、やだやだ!」


 お母さんのようだ。ブチの犬さんで、エプロン姿が可愛い。


「じゃあ、ご飯はいらないのね? 片付けちゃうわよ?」

「あ~、食べる、待って~」

「僕も~」


 二人は急いで走って行ってしまった。元気がいいなぁ。


「お騒がせしました。シン様、ドンさん、すみませんでした」


「気にしなくていいよ。好奇心旺盛なのは悪い事じゃないしね。良かったら、茸を持って行かない? いっぱいあるから遠慮しないで持っていって」


「あら、すみません。ありがたく頂きます」

「うん。――これぐらいでいい? もっといる?」

「その量で十分です。ありがとうございます」


 ペコペコしながら帰って行くお母さんに僕達も手を振る。カハルちゃんは抱き付きたかったのか、少し寂しそうな顔だ。


「ドンさんに抱き付いちゃえばいいんじゃないですか?」

「え、でも……嫌じゃない?」

「あっしでよければどうぞ」

「失礼します」


 快く承諾してくれたドンさんの手を恐る恐る撫でてから、ポフッと抱き付いている。


「白ちゃん達の方がもっふりしているかも。ドンさんは、滑らかで良い手触りね~」


「あっしの毛の方が短いですからね。お嬢ちゃんはプニプニだ」


 ドンさんが笑いながら手やほっぺを触っている。ドンさんもカハルちゃんもお互いが満足しているようだ。


「ドンも茸を持って行く?」

「あっしもいいんですかい? では、ありがたく」

「うん。秋は茸がよく採れるからね」


 最近、アケビちゃん達が抱えて持ってくるもんね。僕もお休みの日に栗とか茸を採って来よう。


 里芋騒動も一段落ついて、デザートの柿を頬張る。


「これはお庭の柿ですか?」

「あれは渋柿なんだよ。これは市場で買ってきたやつ」

「庭のは食べられない?」

「手を加えれば食べられるよ。ヴァンちゃん、干し柿でも作る?」

「ドライフルーツ?」

「うん、そんな感じだね。沢庵もそろそろ作るし、一緒にやろうか」

「沢庵! 俺、絶対に手伝う!」


 ヴァンちゃんが凄く興奮して、はいはいと手を挙げている。覚えて村でも作るつもりなのかもしれない。


「凄い気合だね。じゃあ、今年は多めに作ろうか。沢庵好きも増えたしね」


 ヴァンちゃんはカハルちゃんを抱っこしてクルクル回っている。段々と明るい顔に戻って来ていたカハルちゃんは、今ので満面の笑みに変わった。良かった、元気が出て。カエン様も周りの人が自分の事で暗くなってしまったら辛いもんね。今度、会う時は皆が笑顔で過ごすのだ。お土産に柿でも持って。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「えーと、残党は……このまえ渡したリストに載っている十体でしょ。それと、聖域である白銀しろがねの森、大精霊の森、海の社でしょ。あとは闇の国なんだけど……ダーク、この館に住んでいる人は分かる?」


「そこは、リベル伯爵の家だな。本を読むのが好きで大量に所蔵している。――確かに封印されているものがあってもおかしくないな」


「リベルさんの所に三体居るよ。一体は幹部だね」

「そんなに居るのか? 俺の時は全然引っ掛からなかったぞ」


 ヒョウキ様が訝し気にしている。力のある幹部に気付かないのは確かに変だよね。


うまく刺せないので、一撃必殺! ぐらいの気合で刺してます。

そりゃ、吹っ飛びます。皆のお兄さん、セイに頑張って面倒を見て貰いましょう。

子犬もブチです。ブチの犬さん大集合です。


次話は、誰がどの魔物を倒すか相談です。


お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ