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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0271.ホノオ様の今後

「――皆、入ったかな? 結界張るよ」


 パチンと指を鳴らしたシン様の隣に、セイさんに抱っこされながら僕も座る。


「さぁ、カハル、話してごらん。何でも聞くよ」

「ありがとう、お父さん。えっとね、今日はニコちゃんと一緒に火の国へ行ったの。それでね……」


 王様の様子を皆に話していいのか迷って、カハルちゃんの言葉が止まる。


「カハル、国の秘密は必ず守る。どうするかは最高位の俺が判断するから、話してくれ」


 普段はあんなにヘラヘラした感じなのに、今は王者の風格と強い目に自然と頭を下げたくなる程だ。


「……分かった。火の国のカエンの命は、あと半年。今すぐ旅立ちそうな命を私の力とカエンの意志で繋ぎ止めた。これから定期的に通って、あまり痛みが出ないようにサポートしていくよ」


「――そうか。カハル、辛いことを言わせて悪かったな。実は、俺とミナモはカエン自身に症状を聞いて、あまり長くは生きられないと知っていた。だが、そこまで短いとは……」


 カエン様は既に伝えていたのか。ヒョウキ様が深刻な顔でミナモ様と話し出す。


「ホノオの教育は間に合わないか?」


「そうですね、厳しいのではないでしょうか。症状が進めば、カエン様はご自身で手一杯でしょう」


「最悪、すげ替えるか」

「そう、ですね。今のままのホノオ様では民を不安にさせます」


 厳しい内容だけど納得してしまう自分も居る。ホノオ様はお父さんに甘えている子供にしか見えない。


「ずっと居る、猶予があると先延ばしにした結果だな。だが、カエンも今までが甘過ぎたな。カハル、カエンはホノオに伝えるなと言ったか?」


「うん。動揺して何も手に付かなくなるからって。ホノオが王として立てるように仕事を教え込みたいって言っていたよ」


「あの甘ちゃんが半年でか? 伸びしろがあるのは知っているが、間に合わない可能性が高いな。むしろ、俺はばらして、あいつがどう動くかが見たい」


 ヒョウキ様の言葉にカハルちゃんが首を横に振る。


「カエンと約束したの。黙っているって。それを叶えると言ったから、私の治療を受け入れてくれたの」


「そうか……。だが、新たな候補は決めるぞ。俺にはその責任がある」

「……うん」


 カハルちゃんはカエン様との会話を思い出しているのか、暗い顔だ。


「俺だって、あいつが成長してくれたらと思っているんだぞ。他にも相談したい事はあるか?」


「ううん。聞いてくれてありがとう。お父さん、帰ろう」

「うん。ダークは来る?」


「俺はカエンの様子を見に行く。宰相の様子も気になるしな。あいつも知っているんだろう?」


 カハルちゃんがコクンと頷くと、安心させるように頭を撫でて行ってしまった。


「カハル、今日はね、テラケル族の子と一緒にご飯を食べるよ。モフモフだよ」


 シン様が何とかカハルちゃんの気分を上げようと頑張っている。僕も協力せねば。


「カハルちゃん、お風呂でシャボン玉を作って遊びませんか? きっと楽しいですよ」


「俺のアヒルちゃんも貸してあげる」


 頷くだけで表情は変わらない。セイさんが黙って頭を撫でていると、その背中にヴァンちゃんが登って行く。


「俺の腹筋も触っていいぞ、カハル」


 皆が一斉にセイさんを見る。


「い、いや、俺じゃないぞ。こら、ヴァン、声真似をするな」

「似てた?」


 セイさんの慌てた様子と、ひょっこりと肩の上に顔を出したヴァンちゃんに、思わずカハルちゃんが笑う。


「おっ、カハルちゃん、笑った。いえーい」


 ピースするヴァンちゃんに僕とカハルちゃんもピースし返す。


「ふふふ、じゃあ、帰ろうか」

「うん。みんな、ありがとう」


 やっぱり、カハルちゃんは笑顔が似合う。ヴァンちゃんに感謝だ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「――どうも。お邪魔しやす」

「あ、来た来た。いらっしゃい。ここに座って」

「失礼しやす」


 カハルちゃんと共にじりじりと寄って行く。


「ん? お嬢ちゃん達、どうしました?」


 ばれてしまったので普通に近寄る。


「僕は白族のニコと言います。お名前を教えて頂けませんか?」

「こりゃ、ご丁寧に。あっしはテラケル族のドンと申しやす」

「俺はヴァンです。ドンさんがトップ?」

「幾人か、それぞれの専門分野でトップが居るんですよ。あっしは建築のトップですね」


 ほぉー。人数がそれなりに居る種族なのかもしれない。


「お嬢ちゃんはカハルちゃんでしたかねぇ?」

「うん。他の人は来ないの?」

「あいつらは騒いで迷惑になるんで置いて来たんですよ。元気が有り余っていますからね」


 皆、ドンさんみたいに目の周りにブチがあるのかな? 今度、工事している所に行ってみようかな。


「ただいまキュー」

「お帰り。片付けが終わったら、今日はご飯が先だよ」

「了解でキュ」

「では、俺も手伝おう」


 セイさんが手伝う様なので、僕も立ち上がろうとすると止められてしまった。


「ニコちゃん達はお客様とお話していてね」


 シン様に頷いて座り直す。僕ももっとお話したかったので、色々と質問してみよう。


病気の王で民が不安にならないようにホノオが現在、火の国の王となっていますが、カエンが実際の政務をこなし、ホノオの教育を間に合わせる事ができればという条件の元です。ヒョウキ達も猶予があると思っていたからこそ、カエンのこの案を受け入れました。

ヴァンちゃんのお蔭でカハルは笑う事が出来ました。ヴァンちゃん、偉い!


次話は、クマちゃんがやさぐれます。


お読み頂きありがとうございました。

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