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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0264.バック、バック

 朝、起きるとカハルちゃんが居ない。朝のお散歩かなと戸口から外を見ると、大きなカハルちゃんとセイさんが剣で打ち合っている。おー、とうとう完全復活したらしい。


「ニコ、何見てる?」

「あ、ヴァンちゃん、おはよう。カハルちゃんが大きくなったよ」

「おー、大人になった。俺も稽古に混ざりたい」

「ヴァンちゃんは卵当番じゃなかったっけ?」

「ガーン……。行って来る……」


 トボトボと歩く姿にカハルちゃん達が気付く。稽古を止めて一緒に行く事にしたのか、セイさんが肩車をしてあげている。元気になったようで、シッポがブンブン振られている。良かった、良かった。


 カハルちゃんの完全復活を皆で喜びながら朝食を取っていると、シン様がクマちゃんに確認をしている。


「今日もモモは来るの?」

「今日は来られないキュ。でも、部下さんを二人貸してくれるのキュ」

「そう。じゃあ、人手は大丈夫そうかな?」


「モキュ。でも、いつまでも頼る訳にはいかないでキュから、また求人してみるのキュ」


「それがいいかもしれないね。困ったら言うんだよ」

「モキュ」


 モモ様は、今日は手伝いに来ないらしい。きっと、お姉さま方ががっかりするんだろうな。その分、混乱も減るかな?


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ヒョウキ、今まで魔力供給してくれて、ありがとう。今日から私がまた全土に流せそうだよ」


「おっ、ついにか。でも、無理すんなよ。辛かったら俺が変わってやるからな」

「うん、ありがとう。今から魔力を流すね。――大森林の遺跡、起動」

「――しばしお待ち下さい。只今、起動中……」


 どこからともなく声がする。キョロキョロと周りを見回しても該当する人物が居ない。


「ニコちゃん達にも見えるようにしてあげるね」


 大きなガラス窓のような縦横一メートルくらいの物が、カハルちゃんの眼前に現れる。この前、魔力の流れを見せて貰った時のやつかな? 裏から見たりしていると手招きされる。


「こっちへおいで。一緒に画面を見ようね」


 ヴァンちゃんは、既にちゃっかりとカハルちゃんの隣に座っている。いつの間に……。


「遺跡って言うのはね、魔力を効率的に流すものだと思って貰えばいいかな。お手伝いしてくれる子達が数人ずつ、それぞれの遺跡に居るよ」


「鏡の魔物の時に見た男の子もそうなんですか?」


「そうそう。あの子は一番システムに詳しい子だよ。今は遺跡が全部起動してないから、力を隅々まで上手く流せなくてね。聖域は特になんだけど、フォレストが精霊さんを常駐させてくれて、何とかやっている感じかな」


「遺跡も直さないとな。でも、人手が足りないんだよな」


「そうだね。それに私とフェイ以外が下手に入ろうとすると、防御機能がまだ生きているから危ないんだよね。管理してくれている子達も眠ってしまっているしね」


 遺跡なんて聞いた事が無い。有名な物なのだろうか?


「あの、無知で申し訳ないのですが、何処にあるんですか? そんなに小さい物じゃないですよね?」


「イザルトの中心と東西南北に一つずつあるよ。高さは約六十メートルで魔国が管理している土地にあるんだけど、大抵は森の奥深くとかに隠されているから、知らなくて当然だよ」


「ほぉー。因みにちゃんと動いているのはどこ?」

「ヴァンちゃん、ちょっと待ってね。全土地図オープン」

「――畏まりました。全土地図オープン」


 起動中という文字が画面の隅に追いやられ、イザルトの地図が現れる。


「五つの赤い点が見えるかな?」

「ん? あった。北が大森林、南が海の国、東が水の国、西がインフェテラ、中央が光の国で五つ」


 ヴァンちゃんが一つずつ指さしてくれるのを目で追って行く。


「うん。それでね、ちゃんと動いているのはフェイが管理してくれているインフェテラの遺跡。それと稼働率八十パーセントくらいの大森林の遺跡。後は結構ボロボロになってると思うよ」


 映像を出せるかな? とカハルちゃんが画面をいじり、海の国の遺跡を選択する。


「あー、画像が粗いなぁ。起きている子が居るかな? ――誰か出られますかー?」


 カハルちゃんが問い掛けると、凄い勢いで画面が鮮明に変わる。


「――主様! お久し振りでございます!」


 水色の髪の毛の美人なお姉さんが、ドアップで画面に出て来る。そのまま、こちら側に突き抜けて来そうでドキドキしてしまう。でも、カハルちゃんは慣れているのかクスリと笑って対応している。


「うん、久し振り。シズクが元気で良かった。他の子達はやっぱり眠っているのかな?」


「はい。最低限の維持しか出来ておらず、申し訳ありません。私も殆ど眠っている状態で……」


「主である私の責任でシズクが悪い訳じゃないよ。作り直したほうがいいレベル?」


「いえ、修復すれば使えるレベルです。ですが、だいぶ魔力の残量が減っています」


 お姉さんは気持ちが落ち着いて来たのか、少しだけ画面から離れる。でも、ほとんど顔で埋め尽くされたままなので、ヴァンちゃんが「バック、バック」と小さく呟いて、両手の平を押し出すジェスチャーをしている。


とうとうカハルが完全復活です。

遺跡は一般の人達からは隠されています。大昔からあるので、ボロボロです。魔国自体は小さい国ですが、あちこち管理しているので兵の数は多いです。


次話は、魔力供給します。


お読み頂きありがとうございました。


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