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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0260.魔法道まで競争

「ただいま戻りました」

「おう、お帰り。店はどうだった?」

「ちょっとしたトラブルも有りましたけど、繁盛していましたよ」

「トラブル? 何があったんだ?」


「思い違いをしている方が多いのですよ。花以外を目当てにしている方が多くて困りますね」


「成程な。怪我とかはしていないのか?」


 カハルちゃんも守りの魔法の様子が気になるのか、ちょこちょことこちらに歩いて来る。


「大丈夫でしたよ。カハルちゃんの魔法が大活躍です。でも、吹っ飛んでいく人が多過ぎてびっくりしました。邪な人が多過ぎです」


「まぁ、土の国は特にモフモフ好きが多いからな。だが、同情の余地は無いな」


「その通りです。相手の嫌がる事を理解しないままでは仲良く出来る筈がありません。一方的な気持ちや考えの押し付けは、自分の首を絞めるだけです」


 お話を聞きながら書類の用意をして、カハルちゃんに抱き付く。


「これ、お土産の桃です。リリーちゃんに剥いて貰って下さいね。では、行って来ます」


「うん、ありがとうね。いってらっしゃい」


 ヴァンちゃんは、カハルちゃんのプニプニほっぺをナデナデしてから、こちらに駆けて来る。


「ニコ、魔法道まで競争」

「了解! うぉーっ!」


 廊下を競歩で進む。おしりと共にシッポがブンブンと動くので、廊下を歩く兵士さん達の目も左右に忙しく動いている。そんなに見られると恥ずかしいんですけど……。いや、構っている場合じゃない! ヴァンちゃんと僕の間に差が生まれ始めている。少しでも詰めねば!


「うおりゃーーーっ!」

「うぉー」


 相変わらずヴァンちゃんの叫びは棒読みな感じだ。でも、ヴァンちゃんらしいし、心の中はとても熱い子なのである。


「――いよっし! 俺、一番!」

「んだぁぁっ、二番だよ~、うぅっ」


 バンザイして係員さんの周りを走るヴァンちゃんの傍らで、僕はガックリと膝を付く。


「あははは、今日もヴァンちゃんに負けちゃったね」


「そうなんです。何が悪いんでしょうかねぇ? フリフリが足りないんでしょうか?」


「えー、十分にフリフリしていると思うよ。あっ、魔法道、空いたよ。入って入って」


「はーい。ヴァンちゃん、先に行くね」

「うむ。頑張れ」


 ヴァンちゃんと拳をコンと合わせて、目的地へと飛んだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 書類配達を終えて執務室に行くと、カハルちゃんが虚空の何かを見ている。時々、こういう仕草をするんだよね。一体、どんな景色が見えているのだろうか?


「ただいま。ニコ、どうした? こんな所で止まって」


「ヴァンちゃん、お帰り。カハルちゃんて、時々ああやって何かを見ているでしょう。気になるよねー」


「ふむ。なら直接聞いてみればいい。――カハルちゃん、何を見てる?」


 ああ、そんな直球で! 答えにくい事だったら、どうするの!


「――白ちゃん達、お帰り。気付かなくてごめんね。こっち来て」


 どうやら何を見ているか教えてくれるようだ。うわーい! と喜んで近付き、ソファーにポンと勢いよく座る。


「うわっ」

「うぉっ」


 カハルちゃんとヴァンちゃんがポヨンポヨンと跳ねる。


「こら、ニコ、勢い良すぎ。カハルちゃんが落ちちゃったら、どうする」

「ハッ、そうか! あの、ごめんなさい……」

「そんなにシュンとしなくても大丈夫だよ。次から気を付けようね」

「はい!」


 相変わらず優しい子だ。でも、ヴァンちゃんがまだ恐い顔で僕を見ている。


「ヴァンちゃん、許して? 破ったら、卵かけご飯を一週間禁止の刑を受けるから」


「それなら、よし」


 漸くお許しを貰えた。僕の本気を感じ取ってくれたようだ。


「ええと、何を見ていたかだけど、二人にも見えるようにしてあげるね」


 透明な四角い鏡のような物が空中に現れる。


「これを見ていたんですか?」

「うーん……この画面を見ている訳じゃなくて、魔力の流れを感じ取っているというか……。二人に分かり易いように、これで見せるね」


 イザルトの地図がポンと映し出される。


「今はヒョウキが魔力を流してくれているんだけど、その状態を画面に出すね」


 地図に灰色の色が付いていく。所々、滞っているのか色がまだらになったり、付いていなかったりする。


「灰色の所は上手く魔力が流れている所だよ。それ以外の部分は何らかの問題があって、力がスムーズに流れていないの」


「例えば、どんな理由?」

「瘴気が濃すぎたり、私が直接行かないといけない場合かな」


 地図をもう一度見てみる。そして、ある事に気付く。


「聖域と呼ばれている場所は上手く流れていないんですね」


「そうなの。聖域は大量の瘴気を処理してくれていたから、大分弱っているの。だから、少しくらいの魔力ではすぐに消費されちゃうんだ。私が直接行かないといけない場所だね」


 ほぉーと頷き、更によく見ようとした所でダーク様が帰って来た。


ふたりの激しく動くシッポに兵士さんが釘付けです。毎回、これを見掛けるたびに兵士さん達はどちらが勝つか予想して楽しんでいます。

ヴァンちゃんは躊躇わずにサクッといきますね。ニコちゃんは、直前の心配を忘れてすぐに上機嫌です。

お互いの足りない部分をカバーし合う事が出来るヴァンちゃんとニコちゃんは本当にいいコンビですね。


次話は、ついにヒョウキがキレます。


お読み頂きありがとうございました。

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