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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
260/390

0259.誤解

お読み頂きありがとうございます。


今日から三日間は、午前は本編を、夜には外伝を更新します。

外伝の『ジャストフィット』は3話で終了です。

一日に二話更新となりますので、お楽しみ頂ければと思います。


~・~・~・~・~・~

皆様は、「そんな事は知っているよ~」という事かもしれませんが、初めての方もいらっしゃるかと思いますので、ご参考までに。


『この小説を読む』にすると、下記のように題名やあらすじ・目次などが出て来ますよね。


NICO & VAN シリーズ ←ここの部分を押すと外伝集やヴァン視点を簡単に選択出来ます。

  NICO & VAN      よろしければ、お試し下さい。

作者:美音 コトハ

 

 ~あらすじ~

  ~目次~


~・~・~・~・~・~


「ちょっと、なんでクマちゃんが居ないのよぉ」


 クマちゃん目当てだったのか不機嫌そうにしている女性。揉め事になりそうな雰囲気の中、黒髪をポニーテールにした人がすっと女性の手を取る。


「お客様、申し訳ございません。店長は急ぎの用で外出しております。ご不満とは思いますが、私がご注文をお聞きします。駄目、でしょうか?」


 その様子を見ていたヴァンちゃんが小さな声でナレーションを始める。


『そっと瞳を覗き込んでから悲し気に目を伏せる。そして、先程よりも少し強く女性の手を握る店員。もう、これは運命だ!』


「い、いえ、あなたで、いえ、あなたがいいです!」


『そして、二人は恋に落ちた……。幸せになるんだよ、フォーエバー……』


 満足のいくナレーションになったのか、食事を再開している。ミナモ様はパンが喉に詰まったようで苦しそうだ。アイスティーを手渡してあげてから、僕はもうちょっと様子見をする。


「良かった……。可憐なお客様には、こちらのピンクのお花などは如何でしょうか?」


「は、はい。あなたが選んでくれたのなら何でも! 一番大きな花束でお願いします!」


 モモ様の部下の人だろうか? でも、ちょっと勘違いがあるよね。


「ねぇ、ヴァンちゃん。あの人、女性だよね?」

「ん? そう。男装の麗人」

「だよねぇ。お客さんは完全に男の人だと思っているけど」

「いいのではないか? 凄く嬉しそう」


 揉め事にならなかったからいいか。僕もご飯を早く食べないと、カハルちゃんへのお土産が買えない。


「カハルさんのお土産は何にしましょうか?」

「桃がいいですかね?」

「――呼んだ? ニコちゃん」

「あ、あの、すみません。カハルちゃんのお土産は桃にしようかと話していたんです」


 忙しいのに誤解させてしまったようなので、慌てて説明する。


「私がカハルちゃんへのお土産……。素敵な響きだね。愛しのカハルちゃんの為なら、いくらでもこの身を捧げるよ」


 誤解が悪化した。何故だ……。それよりも周りの女性達が怖い。


「カハルって誰よ⁉ まさか、彼女なの⁉」

「いやーーーっ! モモ様に彼女が居るなんてっ」

「許せないーーーっ」

「モモ様は、その女に騙されているのよ!」


 それらを聞いたモモ様の目が冷たいものになる。あ~、体から冷気が吹き出ているよぉ。ブルブル……。


「何故、あなた達の許しがいるの? 私のプライベートはあなた達とは何の関係もないでしょう。お客様と店員、それだけだよね。彼女の事を悪く言ったり、危害を加えようとしたら、どこまででも追い掛けて罪を償わせるからね。覚悟しておいて。ね?」


 モモ様が「ね?」の所で本気の殺気を噴き出させると、女性達が青くなる。でも、同情なんてしてやらないのだ。カハルちゃんの事を何も知らないのに、悪と決めつける人達だもんね。


「――ただいまキュ。この空気はどうしたのキュ?」

「あー、えっと、モモ様の逆鱗に触れた方々が居まして……」


 ワンさんが頭を掻きながら報告している。


「そうなのキュ? チャレンジャーでキュね。それで、内容はどんなものなんでキュか?」


「えーと、カハル様への悪口と言いますか……」


 クマちゃんとフェイさんが無表情に変わる。


「そうでキュか、にゃんちんの悪口でキュか。誰が言ったでキュか? ふんふんでキュ」


 ワンさんに教えて貰ったクマちゃんが、モフモフの手で順番に女性達を指し、強い声で言い放つ。


「強制排除でキュ!」


 その瞬間、女性達が吹き飛んだ。


「今の方々をブラックリストに登録。今後の入店を拒否」


 フェイさんが続けて声を放つと、お店が一瞬だけ輝く。何をしたのだろう?


「お騒がせしましたキュ。ここにいらっしゃる皆様には、お詫びとして二割引きで販売致しまキュ。申し訳ありませんでしたキュ」


 クマちゃんが深々と頭を下げるのに合わせて、他の店員さんも頭を下げる。


「そんな気にしないでくれよ。俺達は花を買いに来てるんだよ。なぁ、皆、そうだろう?」


「ええ。確かにカッコイイ店員さん達よ。ちょっとした会話を楽しむぐらいなら分かるけど、それ以外を求めて来て、相手にズカズカと踏み込むのは違うと思うわ」


「そうよね、望み過ぎじゃないかしら。こんな素敵な人達からお花を受け取れるだけでも十分だと私は思うけど。それに、何よりもお花が素晴らしいじゃない。香りが他のお店で買う物より数段いいわ」


「被害に遭っているのは、むしろクマちゃん達の方だろう。俺達は飛ばされた奴らに対して迷惑だなと思っているだけさ」


 沢山の人からの温かな言葉にクマちゃんが深々と頭を下げる。


「皆さん、ありがとうございまキュ。そう言って頂けて、とっても心強いでキュ。でも、二割引きはクマの気持ちとして受け取って欲しいのキュ」


 皆がしょうがないなぁという顔で笑い合って頷いてくれた。


「良いお客様に恵まれましたね」


「そうですね。もう騒動も収束したようですし、私達はお土産を買ってお城に戻りましょうか」


「はい」


 クマちゃんは対応に忙しそうなので、そっと席を立つ。


「桃はどこで買われるのですか?」

「お城の近くにある市場です。ねっ、ヴァンちゃん」

「ん。俺、目利き」

「ふふ。では、ヴァンちゃんに活躍して頂きましょう」


 僕達が歩き出したのに気付いたモモ様が、にこやかに手を振ってくれた。


ヴァンちゃんのおふざけでミナモが大変な事に。いやぁ、笑いを堪えるって大変ですね~。

モモを怒らせるなんて命知らずですね。しかも、カハルへの悪口となれば、全員を敵に回す事に……。

さよなら、お姉さん達。そして、ありがとう、優しいお客さん達。


次話は、ヴァンちゃんとニコちゃんが競争します。


お読み頂きありがとうございました。


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