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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第四章 ペルソナ
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0252.お触り禁止

「あ、あの、このお店で一番高い花を一番大きな花束で下さい!」

「ん? 好きな花にしないのか?」

「売り上げの助けになりたいんです!」


「気持ちは有り難いが、好きなのを選んでくれ。折角、あなたの家に飾るのだろう? 自分好みの方が幸せな気分を味わえるのではないか?」


「は、はい。そうします♡」


 セイさんも女性達に囲まれている。そして、聞こえる黄色い声。


「ちょっと、近付き過ぎよ!」

「そっちこそ! いくらカッコイイからって、やめてくれる?」

「きゃーっ、素敵! こっちを向いて~」

「愛してる~」


 熱烈なお言葉が出ました。そっとセイさんを見ると、物凄く疲れた顔をしている。


「え、えっと、早送りしましょうか」


 思い出したくないようなので、ギュイーンと早送りをする。この位でいいかな? と再生した所で目に飛び込んで来たのは、路地から走り出て来るトラ猫さんの背に跨るクマちゃんだった。


「この時は釣銭が足りなくなりそうになって、慌てて銀行に行く時なのキュ」

「それは大変でしたね。何とか間に合いましたか?」


「モキュ。猫さんが一生懸命走ってくれたお蔭なのキュ。振り落とされないように必死でしがみついていたのキュ」


「馬に乗る時みたいな鞍があるといいかな?」


「重いのは無理だと思うキュ。クマが持っている物は軽減のお札が効いているでキュけど、鞍は作用しなさそうキュ。それに、装着する時間が無いかもしれないでキュし、毎回同じ猫さんとは限らないのキュ」


「ああ、そうか……」


 シン様が考え込んでしまった。何か良い案が無いものか……。布製にすれば――。あー、耐久性が心配だな。ブチっと簡単に紐とかは千切れそうだもんね。


「はーい。案がありまーす」

「おお、にゃんちん、教えてキュ」

「うん。その前にフェイを呼ばせてね。フェイ、来て頂戴な」

「――主様、お呼びですか?」


 急に現れたフェイさんに、ビャッコちゃんとクマグマちゃんがびっくりして仰け反り、小さいクマグマちゃんはコロンと後ろに転がってしまっている。


「皆様、失礼致しました。カハル様にお仕えしているフェイと申します。よろしくお願い致します」


「こちらこそ、よろしくお願いします。ビャッコと申します」

「グマー」


 落ち着いた所でカハルちゃんが事情を説明する。


「――でね、クマちゃんを乗せてくれるドラゴンさんて居ないかな? 移動の魔法を使える子じゃないと駄目なんだけどね」


「確かに。お花が足りない時にも、毎回どなたかが居るとは限りませんよね。何人か心当たりがありますが、実際に会って頂いた方が宜しいかと思います。相性が大事ですから」


「そっかぁ。でも、もう夜遅いよね……」


「でしたら、私が暫くお店をお手伝いしましょう。そして、お休みの日に顔合わせという事でいかがですか?」


「えっ、いいんでキュか⁉ とっても助かるのキュ。お給料はちゃんとお支払いしまキュね」


 今日はセイさんがひたすら家とお店を移動の魔法で往復して、足りない分のお花を運んだそうだ。明日はセイさんが魔物退治で居なくなってしまうので、朝の準備の時に大量に運んで、宿屋さんの屋上と路地に置こうと考えていたらしい。でも、水に浸けておく為の容器が足りなくて、お花の元気が無くなったり痛みやすいから、本当はやりたくないそうだ。


「今日はモモが居たからいいけど、明日は人手が足りる?」


「モモしゃんが明日も一日お手伝いしてくれるって言ってたのキュ。部下の人も二、三人連れて来てくれるのキュ」


「宰相の仕事は?」

「クマも聞いたら、今は暇だから使って欲しいって言ってたのキュ」


 シン様がまた半眼になっている。クマちゃんは素直に信じているけど、モモ様、嘘ついたのかな?


「まぁ、それは僕が確認しておこう。あとは困っている事とかあるのかな?」

「あっ、そうなのキュ。『お触り禁止』って張り紙を作らなきゃでキュ」

「どういう事?」

「――これを見てキュ」


 お釣りを渡したクマちゃんの手をお客さんが握って離さなかったり、モモ様やセイさんの体に何気なく触ったりしている。


「セクハラ三昧じゃないですか! 許せません!」

「俺、張り紙つくってあげる」


 ダーク様が可愛らしく思える程だ。あ~、この人もベタベタ触りおって。あっ、この人も! けしからん!


 プンプンしながら見ていると肩を叩かれる。


「はい、何ですか?」


「お前の俺へのイメージがどんなだか、よーく分かった。なぁ、ニコ。お仕置きが必要か?」


「ひょえぇぇっ! いつ来たんですか⁉」

「お前が『ダーク様が可愛らしく思える程だ』と言った所からだ」


 ひぃっ、口に出ていた! ピンチだ、どうしよう(泣)。そんな僕の前にカハルちゃんが立ってくれる。


「ダーク、いじめちゃ駄目なの。そもそも、ダークがニコちゃんの嫌がる事をするからいけないの」


「あの腹を見て触らない方がおかしいだろ。見ろ、あの見事なぽっこり具合を」


 カハルちゃんが思わずというように僕のお腹を見る。


セイ、お疲れ様です。美形も辛いんですね……。

手伝ってくれる人が居て良かったっですね。まさかこんなにお客さんが来るとは思っていなかったクマちゃんです。

ニコちゃん、ダダ漏れです。ダークのこのタイミングの良さをホノオにも分けてあげたいですね。


次話は、守りの魔法です。


お読み頂きありがとうございました。

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