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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0234.モモ様の秘密

「そこまで分かった所で一族を投入して、あの町に住む花屋を洗い出し、バールとナイフ、それと靴が見えたから、それを探させたんだよ」


「何であの町だと限定したんだ? それに、バールなんて店先には置いていないだろう? どうやって探したんだ?」


「靴がサンダルだったからね。馬車や魔法道はサンダルでは使用出来ないし、長時間歩くのにも向かない。だから、近くに住んでいる人だと思ったのだよ。ふふふ、他は内緒じゃ駄目かな?」


「悪い予想が当たった気がするんだが……」


 左利きの人だけと言っても、あんな短時間で解決出来ないよね。事情を聞くにしても、疑われた方は反発したくもなるだろうし、朱の一族は他国の人だから余計にだよね。


「ほら、さっさと吐く」

「しょうがないなぁ……。忍び込ませたよ。朱の一族なら造作もない事だからね」


 声を上げそうになって必死で押さえる。それ、ばれたら凄くまずいですよね⁉


「まったく、何してるんだか……。で、本命は自分で乗り込んだの?」

「勿論。懇切丁寧にお話したよ。そしたら、洗いざらい教えてくれてね。他の花屋を家捜しさせなくても良かったなぁと思ってしまったよ」


 懇切丁寧という所が非常に気になる。そう言えば、ヒョウキ様も「少し?」と訝し気にしていた。


「はい、何をしたか話す」

「これも? 気分が悪くなるから止めない?」

「とっくに気分は悪くなっているよ。ちゃきちゃき話す」


「はぁ、しょうがないなぁ。クマちゃんを悲しませた奴だから、本当はもっとおしおきしたかったのだけれど、甘い対応でごめんね。まず肩の関節を外して足を縛り、首にナイフを押し当てて、寝そべらせた背中に膝を付き、どうやって処刑するかを永遠と耳元で――」


「――ストップ。頼んでおいて悪いけど次に行ってくれる?」


 ひーっ! と心の中で叫んでいると、シン様がこちらを見たような気が……。いや、それよりも、モモ様が怖すぎる……。ガクガクブルブルしないようにするには、どうすればいいの⁉


「じゃあ、次ね。結界の札や魔法粉を買ったのはクローバーの国だったよ」

「クローバー? あの国はそんなに荒れていたか?」

「裏の世界では最近よく聞くね。近々、何かあるかもしれないよ」


 あの国は『幸福の国』だなんて言われていて、住みやすく王様の人気が高いって聞いた気がしたけど。……そう言えば、白族が一人も派遣されていないな。何かあると見るべきか。


「ヒョウキ様に頼んで、どの国でも身分でも取り締まれるロウ将軍をお借りして、裏の奴らを一斉に取り締まったのだけれど、あの方は凄いの一言だよね。彼自身は魔法が一つも使えないのだけれど、制止も聞かずに魔法が乱れ撃ちされている中に突っ込んで行ってね。覇気? 生命力? で叩き斬るか、拳や蹴りで消滅させちゃってね。必死に後を付いて行く部下の人達が可哀想になったよ」


 モモ様、映像撮っていないかな? 是非とも見せて欲しい! あ~、ロウ将軍の勇姿が見たい~。


「その後も勘ていうのかな? 嗅覚が良いと言うべきか、次々と他の犯罪も暴くし、隠し部屋も見付けるしで、私の活躍の余地は無かったよ」


「彼は少し特殊だからね。モモの一族も参加したの?」


「うん。裏の奴らのアジトに潜ませて下準備させていたんだけど、何もかもロウ将軍のパワフルさで無駄になったというか……。その虚しさを込めて敵をバッタバッタと倒していたね。しょうがないから、私は一人寂しく精霊を保護して、先に魔国の城へ戻り――」


「戻ったのか⁉ 誰が暴走を止めるんだ!」

「さぁ? 誰が止めたのだろうね?」


 セイさんが溜息を吐いている。敵が少々憐れに感じてしまう。きっと全てを破壊し尽くすまで、止まらなかったのではないだろうか?


「まぁ、根こそぎ悪い奴らを捕まえられたから良しとしよう。じゃあ、次はモモの正体を教えてくれる?」


 桃の国の宰相じゃないのだろうか? でも、秘密があるって言っていたな。その話かな?


「どうしても言わなければ駄目?」

「予想は付いているけどね」


「ここまで話したら分かって当然か。では、改めまして。朱の一族頭領と宰相を務めるモモと申します。それと、お知らせね。お婆様を完全に排除して一族を手中に収めたから、今度から気兼ねなく皆を招けるよ。いつでも来てね」


「頭領なんですか⁉」


 うわわ、まずい! 思わず飛び起きて声に出してしまった。


「にこちゃ、ばれたのぉ。げんえいのまほうで、ねむてるように、みしぇていたのにぃ」


「そうキュよ、ニコちゃん。後もう少しの我慢だったでキュ」

「素直なニコには難しかった。よく持ったほうだと思う」


 ヴァンちゃんに肩をポンポンされながら、ガックリとうなだれる。眠っているように見せていたのなら、僕がガクブルしていてもばれない訳だよ。


「カハルちゃん達、狸寝入りが上手過ぎですよぉ」


「全部聞かれちゃったのか……。じゃあ、いい機会だから話しておこうかな。朱の一族は王の守護者だなんて言われているけれど、実際の所は暗殺集団と言った方が正しいかもしれない。特にお婆様の頃は酷かったね」


手段を選んでられるかという感じのモモですね。使えるものは何でも使ってます。一族に情報を伝える時にモモの絵の上手さが役に立ちます。

モモが怖すぎる……。暗殺集団の頭領を務めているだけありますね。ロウ将軍も人外? という感じですね。この二人にこき使われる部下は毎回必死なので能力がガンガン上がります。


次話は、モモの能力や一族の一人としてやってきた事についてです。


お読み頂きありがとうございました。



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