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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
231/390

0230.犯行の動機

「――お替り」

「ヴァンちゃん、いくねぇ。三杯目でしょ?」

「うむ。鯛めし、うまい。ニコもいっぱい食べる」


 シン様が大盛で持って来てくれた。おこげが美味しそうだ。


「ニコちゃんも食べる? 後少しだけあるよ」

「お吸い物もまだ残っていますし、僕はもう十分です」

「そう。セイは?」

「俺も十分だ」

「じゃあ、僕とカハルで食べちゃおうかな」


 土鍋が綺麗に空になってしまった。何だか元気を沢山食べたような気分だ。クマちゃんもだいぶリラックスした表情になって一安心だ。今日はこの幸せな気分の内に眠ってしまおう。夜に考え事をすると暗くなりがちだもんね。おやすみなさい……。



 翌朝、シン様の通信の鏡がピカピカと光る事で目が覚めた。


「シン様、通信の鏡が光っていますよ。ふあ~……」

「こんな早くに誰だろう?」


 あくびを連発しながら様子を窺う。


「――はい。あれ、ヒョウキ。緊急?」

「ああ、悪い。クマの店の棚を壊した奴と、そいつが使った札とかを作った裏の奴らが捕まった。今から来られるか?」


 目がパッチリと覚めた。途中から起きて話を聞いていた、ヴァンちゃんとクマちゃんと共に飛び起きる。


「僕達も連れて行って下さい!」

「うん。僕は先に行っているから、セイと一緒においで」


 慌てて服を着替えて、カハルちゃんとお散歩しているセイさんを呼びに行く。



「あれ? モモ様」

「みんな、おはよう」


 意外な顔を見付けて走り寄る。シン様を見ても肩を竦めているので、事情は知らないという事か。


「全員集まってから話そうと思って待ってたんだよ。モモが話してくれるか?」


「畏まりました。シンから判明している情報を聞き、私が独自に調査致しました。まず、木片や防水の布などから僅かな魔力を見付けました。魔力というものは一人ひとり違いがあり、同じ人は存在しません。特に強い感情を持って行動した際に魔力が濃く残ります。私の一族はそれを増幅させ、追う事を得意としています」


 ヴァンちゃんがウズウズとしている。何か質問がしたいらしい。


「あの、質問してもいいですか?」

「勿論。なぁに、ニコちゃん?」

「えっと、僕ではなくてですね。ヴァンちゃん、していいって」

「ニコ、ありがとう。魔法が使えない人は?」

「魔法が使えない人でも必ず魔力は持っているよ。この世界で魔力を持たない者は存在しないからね」


 ほぉー、とヴァンちゃんと一緒に頷く。僕にもヴァンちゃんにも固有の魔力があるという事か。


「クマにもあるキュ?」

「うん、あるよ。私には白くて柔らかい光の様に感じるよ」


 クマちゃんが「あるっキュよ!」と興奮して、抱っこしている僕の手をポシポシと叩く。僕も後でどんな魔力なのか聞いてみよう。


「続けるね。それを追った所、シンが目を付けていた花屋の男のものでした。少し強めに問い質しただけでボロが出て来たので、土の国の兵士に引き渡し家を調べました。そして、所々塗料が剥げているバールと現場に残っていた塗料が一致しました。それと、犯行に使われた魔法粉の残りと、それが付着したナイフも見付けました」


 ヒョウキ様が途中で「少し?」と呟いているけど、どうしたのだろう?


「その後、魔法粉の魔力を追って行き、裏の組織を壊滅させ、捕らえられていた精霊を保護致しました。そして、目隠しの魔法粉で犯罪を行っていた者や、繋がっていた奴らも一人残らず捕らえました。製法に関しては魔国で処理して下さるとの事なので、報告は以上ですね」


 随分あっさりと締め括られたな。本当に精霊さんが捕まっていたのか。可哀想に……。


「保護した精霊はフォレストの所に居る。精神的に参っていて、証言が聞ける状態じゃない」


 ヒョウキ様の言葉に皆が目を伏せていると、カハルちゃんが手を挙げる。


「わたちがしょばにいってくるね」

「そうだね。行こうか」


 そうか、カハルちゃんの癒しの力が効くんだ。シン様と共に移動の魔法で消える。


「クマは何かあるか?」

「何で……何であんな事をしたか聞きたいのキュ」


 聞きたいと聞きたくないの間で揺れているクマちゃんの前に、モモ様が膝を付く。


「私が答えるね。彼の店は徐々にお客さんが減って来ていたらしくてね。そこへ、クマちゃんの出店の情報を聞いて、かなり焦りを覚えたのだって。このままでは暮らしていけなくなる、何とか阻止したいって」


 徐々に減って来ていたのなら、クマちゃんの事が無くても、遅かれ早かれ店を閉める事態になっていたのではないだろうか?


「悪い奴等から借金もしていたらしいぞ」

「お店の経営状態が悪かったからですか?」

「うんにゃ、ギャンブルだと。酒のトラブルもあったらしい」


 黙って聞いているクマちゃんに目をやる。今、どんな気持ちなのだろう……。


モモがクマちゃんの為に動きました。優秀な男です。

犯人は花屋の男でした。ビャッコちゃん、良い所までいけていましたね。

お店の経営状態が悪くなったのは本人の所為でした。酔って暴言を吐いたり、お店をちょくちょく休んだりなどした結果です。


次話は、皆でもう一度、棚を作ります。


お読み頂きありがとうございました。

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