0022.太古の歴史3
セイは水属性だから消火作業だな。俺は木の調達をしてくるか。動き出した俺達に微笑むと、カハルがホノオに声を掛ける。
「ホノオ、こっちに来てくれる?」
「! おうっ、今行く」
ヒョウキの剣を素早く弾き上げ、腹に回し蹴りを叩き込む。避けられる事が想定内だったのか、手の平に炎の玉を作り、ヒョウキの顔面に放つ。そして、続け様に土を隆起させ足を包み込む。
あっという間に、そこまですると、嬉々としてカハルの前に駆け付けてくる。
「お待たせ、カハル! なんか用か?」
全員の目が語っていた。やれば出来るじゃねえかと。
「要するにカハルがスイッチなんだな」
あっさりと追い付いてきたヒョウキがしみじみと言う。
「ん? 何の話だよ? カハル、何か手伝うなら、どんどん言ってくれ。俺、なんでもやるから!」
しっぽが有ったら、絶対にブンブンと振られているだろう。
「……犬だな」
俺の呟きが聞こえたのか、ホノオが振り向く。
「犬? どこどこ?」
動物好きな為、反応がいい。だが、俺の正直な感想だと言う訳にもいかないので、誤魔化すことにする。
「いや、もういない」
「えぇー、残念。後で探してみようっと」
ヒョウキが先程から必死に笑いを堪えている。『ぶふぉっ』だの『げへっ』だのバリエーション豊かだ。気持ちは分かるが、そろそろセイが無言で実力行使してきそうなので、ヒョウキをズルズルと引き摺って行く。
それを見てカハルが、ほっとしたようにホノオの腕を引く。
「ホノオ、こっちでフェイと一緒に結界を張るの手伝って」
「お、おう、任せとけ」
腕に触れられたのに照れて、声が上ずっている。
あの3人は炎属性だから力を合わせやすいなと考えていると、ヒョウキが急に静かになったのに気付く。目をやると、凶悪な面をしている。
「ムカツクな。なんでホノオなんか甘やかすんだよ。……俺にしとけばいいのに」
声まで凶悪な上に、心もダダ漏れだ。
「しょうがないだろ。カハルの中でホノオは保護対象なんだから。お前は、そう思われたいのか?」
「やなこった。男として見られてないって事だろ。ぞっとする」
「じゃあ、あきらめろ」
「それも嫌だ」
「我が侭だな……」
ホノオはやれば出来る子というよりも、犬っぽい印象が強くなってしまった……。
まっ、いいか(笑)。
次話で太古の歴史は終了です。
お読み頂きありがとうございました。




