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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0228.花束に挑戦

「お花を包んで貰ってもいいでキュか?」

「はい」


 小さなお花と紙でクマちゃんが花束を作っていく。茎の部分に濡らした紙を巻いて、更にアルミホイルで覆い、輪ゴムで留める。それを柔らかくて薄い黄色の紙でアルミが見えないように包み、また輪ゴムで留め、オレンジの硬い紙で更に包むようだ。僕もお手伝いする事があるかもしれないのでチャレンジだ。


「少し斜めにずらして真ん中辺りで折り、四隅が三角形になる様にして欲しいのキュ」


 花に巻き付け端と端を合わせて透明な針のホッチキスでパチンと留める。そして、下をキュッと茎に合わせて絞っていく。


「テープでしっかり留めるのキュ。持ちやすいようにここは細めにしてあげて欲しいのキュ」


 その後はオレンジのリボンで結んでいく。


「リボンには表と裏がありまキュ。結び終わった時に、ツルツルな方が全て表に来るようにして欲しいのキュ。それと、左手で輪っかを作りにくい人はクマと反対の事をしてキュ。では、いきまキュ」


 まず表を下にして、花束の持ち手部分を置く。次に、左を上にしてクロスさせて下に入れる。そして、左手で輪っかを作り、右をその上に持って来て一周させて、真ん中の縦の部分に通して、両方の輪っかをぎゅーっと引っ張る。


「そして、輪っかの下部分――包装紙側でキュね。これを両方持って、更にぎゅーっと引っ張ると強く結べまキュ。そして、リボンの両端が同じ長さになるようにハサミでちょきんと切れば、――完成でキュ」


「出来たー」

「あら、ニコちゃん、上手に出来たね」

「んふふふ♪ クマちゃんも見て下さい」

「おー、いい感じでキュ。ニコちゃんは器用キュ」


 ビャッコちゃんの方を見ると細かい調整をして完璧に整えている。リボンもびしりと決まって、もの凄く綺麗な花束が完成している。


「ビャッコちゃん、上手キュー。本当に初めてでキュか?」

「はい。でも、リボンをもう少し上手に結びたいですね」


 十分に出来ている気が……。シン様がビャッコちゃんの花束を受け取って眺めている。僕もカハルちゃんに見せよう。


「僕は良いと思うけどね。ほら、カハル、綺麗だよ」

「しゅごいのぉ。にこちゃも、しゅごーい」


 ようやくビャッコちゃんも笑顔になる。完璧主義なのかもしれない。


「試験は合格でキュ。これで面接は終了でキュ」

「えっ? 質問はしないのですか?」


「モキュ? 人となりは十分に見させて貰ったのキュ。お昼の注文の時にいっぱい言われても覚えちゃうでキュし、テキパキ動けていたでキュ。お金の計算も早いし、他の事でもミス無く臨機応変に動けていたでキュ。何の問題も無いのキュ」


 僕と一緒にカレーを頬張っているだけだと思っていたのに、よく見ているなぁ。只々、カレーに夢中だった自分がちょっと恥ずかしくなってしまう。


「にこちゃは、それでいいのー」

「ん⁉ カハルちゃん、僕の心を読みましたか?」


 にへーっと笑って答えてくれない。カハルちゃんなら有り得る……。


「あの、本当に私でよろしいのですか?」

「勿論でキュ。……それとも嫌でキュか?」

「そんな事はありません! お願いしたいです」

「良かったキュ~。シンしゃん、にゃんちん、住み込みでもいいでキュか?」

「いいよ」

「わたちもいいよー」


 どうやら、うまく話が纏まったようだ。女将さんと顔を見合わせて笑う。


「ビャッコちゃん、良い働き口が見付かって良かったねぇ。あたしも寂しくならずに済むしね」


「また、お世話になります」

「勿論さ。あっ、でも、明日までは頼むよ」

「はい、お任せ下さい」

「それじゃあ、僕達はそろそろ帰ろうか」


 クマちゃんと共に急いで後片付けをする。よし、忘れ物はないな。


「女将さん、ビャッコちゃん、バイバイキュ。明日、また来るキュ」

「クマちゃん、またね」

「お気を付けて」



 一旦、家に戻って荷物を置き、魔国の城へと向かう。


「へぇ、そんな事があったのか。フォレストにはもう連絡済みか?」

「うん、早急に調べるってさ」


「私の方でも調査します。一つお聞きしたいのですが、犯人の目星がついているのではないですか?」


「う~ん、怪しそうな人は居たよ。ね、カハル」

「うん。めじるしちゅけておいたよぉ。びゃこちゃんもぉ、きにしてたねぇ」


 目印? そんな事していたっけ? う~ん……。それに、ビャッコちゃんも気にしていただなんて、僕だけ鈍い? 何だか、ちょっと凹む。


「クマちゃんを家に残してきているから帰るね。ニコちゃんとヴァンちゃんはセイと一緒に帰っておいで」


「はーい。僕も書類配達に行って来ます」


 手を振り合って執務室を後にした。


花束をニコちゃんとビャッコちゃんが綺麗に作る事に成功です。二人共、器用ですね。

クマちゃんは、聞き込みの時や宿屋さんでの働きぶりをしっかり見ていました。辛い中にあっても、しっかりしていますね。

即戦力になるビャッコちゃんが雇えました。良い出来事で終わって良かったね、クマちゃん。


次話は、クマちゃんの為に豪華なお魚料理が出て来ます。


お読み頂きありがとうございました。


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