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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0218.ダーク様、改心して下さいね

「完売しました。またのご利用をお待ちしております」

「はぁ、仕方ない。ニコの手を買い占めよう」

「現在、僕の手は書類味です。おいしくありません」

「気にするな。別の味付けにしてやろう。チョコレート味にするか?」


 机の上にあったチョコレートを差し出される。うぐっ、誘惑が……。だが、負けん!


「今日の合言葉は『脂肪を燃やせ!』なので我慢します」


 ダーク様が笑いながら僕のお腹を触って来る。


「太ったのか? この辺りが?」

「きーっ、憎たらしい! セクハラで今日こそ訴えてやります! ミナモ様、正義の鉄槌をお願いします!」


 書類を抱えて戻って来たミナモ様にお願いする。


「えっ、私ですか? ここはヒョウキ様では?」

「ん? ミナモ様が最強で、最後の良心ですよね?」

「くくくっ、見事な観察眼だな。確かにミナモが最強だ。なぁ、ヒョウキ?」

「ちぇー、俺が王様なのにな。俺もミナモが最強だと思っているけどさー」


 全ての王の頂点たるヒョウキ様が認めた。これで決定だ。ミナモ様が一番!


「――そんなミナモしゃんにお願いがありまキュ」


 い、いつの間に⁉ クマちゃんがちょこんと正座していて、そのソファーの下からは灰色の尾が見え隠れしている。分かった、カゲちゃんの仕業ですね! あぁ、じりじりとホノオ様が近付いて行っている。狙いはカゲちゃんの手ですか?


「はい、どうされました?」


「明日、求人の複写の紙を貰いに行くのと、お店用の棚とかをセイしゃんに運んで貰いたいのでキュ。午前中だけお借りしてもいいでキュか?」


「はい、構いませんよ。ただ、ヴァンちゃんは一日、こちらでお願いしたいのです。よろしいですか?」


「はいでキュ。ニコちゃん、セイしゃん、明日はお願いしまキュ」

「ああ、任せておけ」

「はい」


 すっかり綺麗になったヴァンちゃんが戻って来た。そして、その影からカゲちゃんがにゅっと出て来る。


「ガウゥッ」


 ホノオ様を物凄く警戒している。これじゃあ、触らせて貰えないだろうなぁ。


「カゲちゃん、どうした? よしよし」


 ヴァンちゃんが宥めている。僕はホノオ様を励ましてくるか。


「あんな風に近付いたら警戒されちゃいますよ。普通に触りたいって話し掛けた方が触らせてくれますよ。行きましょう」


 ズボンを引っ張って、カゲちゃんの所に連れて行く。


「カゲちゃん、ホノオ様が触りたいそうです。いいですか?」

「ガウーッ」


 駄目か……。やっぱり本人が頼まないと駄目らしい。


「ホノオ様も頼んで下さい」

「あ、ああ。さっきは悪かった。あ、あのさ、えーと、撫でてもいいか?」

「ワフッ」

「お許しが出ましたよ」


 カゲちゃんが右前脚を差し出す。自由に触るのは許しませんという事なのだろう。恐る恐る前足を握ったホノオ様が嬉しそうに笑い僕を見る。


「可愛いな。ニコ、ありがとな」

「はい。カゲちゃんにもお礼を言ってあげて下さい」

「ああ。ありがとな。お前に触れてすげぇ嬉しい」

「ワフッ」


 この調子でどんどん仲良しになっていけば、あのモフモフを堪能出来る筈。僕も帰る前に触っちゃおう。わしゃわしゃ~。


「名残惜しいだろうが、そろそろ帰るぞ。カハルが首を長くして待っているだろうからな」


 頷いてセイさんの足に抱き付き、こちらをじっと見ているダーク様に言ってみる。


「ダーク様、改心して下さいね」

「改心? 俺ほど素晴らしい心の持ち主はいないだろう? 俺のお気に入りなんだから光栄に思って欲しいものだな」


 ニヤニヤと笑いながら僕のお腹に手を伸ばしてくる。


「わ~っ、セイさん、早く魔法を使って下さい!」


 慌ててセイさんの足をペシペシと叩く。


「あ、ああ。お疲れ」

「お疲れ様でした」


 クスクス笑っているミナモ様と、チッと舌打ちしてみせてから笑うダーク様に見送られて城を後にした。


「ただいま戻りました。僕の癒しのカハルちゃんは何処ですか~?」

「おかえりー、にこちゃ」

「ニコ、手洗い、うがいが先」

「ぐえーっ」


 飛び付こうとしたら、ヴァンちゃんに襟首を掴まれてしまった。でも、これは僕が悪いので仕方ない。


「だいじょーぶ?」

「はい、元気いっぱいですよ。そこで待っていて下さいね」


 引き摺られながら手をブンブン振っておく。


「ニコはカハルが大好きだな」

「それはもう。一日中ひっついていたいです」

「そうか。俺と一緒だな」


「セイさんもですか? じゃあ、僕が右側にひっつくので、セイさんは左側にお願いします」


「ははっ、そうさせて貰う」


 おぉ、珍しい。セイさんが声を上げて笑った。なんて素敵笑顔なの。モモ様の魔性の微笑み並みの威力があります!


 バシャバシャ。ガラガラガラ……。手洗いよーし、うがいよーし、いざ抱き付け~!


「はい、お預け。お風呂に行って来なさい」

「ガーーーン……」

「カハルを連れてね」

「イエッサー!」


 ビシーッと敬礼して、ヴァンちゃんと手を繋いでスキップで向かう。カハルちゃんとお風呂♪ お風呂♪


「揶揄いがいがあるよね。はい、よろしく」

「ああ。あまり揶揄うと嫌われそうだがな」

「ちゃんと加減はするよ。ヒョウキじゃあるまいし」


 シン様と何かを話していたセイさんが追い付いて来た。


ダークがとうとうセクハラで訴えられました(笑)。改心する気がゼロです。

ニコちゃんはこの先もダークに勝てそうにありませんね。

シンもニコちゃんで遊んでますね。皆に引っ張りだこのニコちゃんでした。


次話は、みんなでお風呂です。


お読み頂きありがとうございました。



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