表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
217/390

0216.濃厚チョコレートケーキ

お読み頂きありがとうございます。

トオミ君視点からニコちゃん視点に途中で戻ります。


 昨日、父さんに動物を見掛けたら撮って来て欲しいと記録用水晶を渡されていた。ニコを見付けたので試し撮りをしてみたがどんな感じなのだろうか? 廊下の端に寄って先程の映像を見る。良く撮れているんじゃないか? 声も綺麗に聞こえるしな。


「ねぇ、あなた! それ、それを私にも頂戴!」


 急に後ろから肩をがっしりと掴まれる。随分と力強いな……。


「どちら様ですか?」

「あ、あら、ごめんなさいね。産業部部長のダイアナと申します。これ、証明書ね」


 部長さんか。鼻をハンカチで押さえていて分かりにくいが、何回か見た事がある顔だな。


「あなた、ビジュ・コパンの子よね? 何回か産業部に来ていたでしょう」


「はい。この映像は試し撮りなんですよ。許可も取っていないので消そうかと思っていて」


「なっ⁉ 駄目よ! そんなに凄いお宝映像を消すつもりなの⁉ エクレアの歌はこれ一回きりかもしれないのよ!」


 まぁ、そうかもしれないが。どうするか?


「俺は連絡手段を持ってないんですよ。ここにも頻繁に来ないですし」


「そうよね……。私じゃあ、説得力に欠けるだろうし。さっき試し撮りって言っていたじゃない。何の為なの?」


「父がぬいぐるみ作りの参考にしたいから動物の映像を撮って来て欲しいと」


「あら、それなら良い説得材料になるわね。話があるから店に来て欲しいと言っていたって、ニコちゃんに伝えてもいいかしら?」


 これを父さんに見せたら、残して欲しいと言いそうだから引き受けておくか。こんな事でニコに店に来て貰うのは気が引けるから、俺が作ったぬいぐるみをプレゼントしよう。


「分かりました。承諾して貰えたら産業部に来ますよ」

「ええ、ありがとう。呼び止めてごめんなさいね。それじゃあ」


 頭を下げて目的地に向かう。ニコはどんな反応をするのだろうな?


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「エクレア、おいしい!」

「うむ、美味い。上に掛かっているチョコレートがビターなのもいい」


 あま~いカスタードとほろ苦いチョコレートって合うよね~。大口を開けて頬張っていると、小さめなので三口で終わってしまった。僕のエクレアさん、さようなら……。


「ん? 足りないか? ほれ、パウンドケーキも食べろ。さっき、貰ったんだ」


 ヒョウキ様がナッツやフルーツが沢山入ったケーキをくれた。んふふ、おいしそう。


「いただき――」

「お待ち下さい」


 メイド長さんに止められてしまった。中途半端な恰好のままで止まる。涎が垂れそうです……。


「お酒が沢山使われていますから、ニコちゃんには別の物をご用意しますね」


 残念に思いながらケーキをお皿に戻す。目の前にあるのに食べられないとは……。


「あー、ニコ、ごめんな。少し待ってろ。メイド長が違うのをくれるからな」


 ヒョウキ様にポスポスと頭を優しく叩かれながら待っていると、長方形の箱を手にしてメイド長さんがすぐに戻って来た。


「すぐに切り分けますね。ヴァンちゃんもまだ食べられそうかしら?」

「食べる」


 微笑んだメイド長さんが黒に近いくらいの茶色いケーキにナイフを入れる。少し力が要るようだけど、何のケーキかな?


「生クリームを添えても美味しいですが、今日はシンプルに召し上がって下さい」

「――チョコだ!」


 静かに置かれたお皿を見てヴァンちゃんが嬉しそうな声を上げる。早速、フォークを握ってケーキに刺す。ねっとりとしているのか、ゆっくりとフォークが入っていく。切り分けたケーキをクンクンと嬉しそうに嗅いでから口に入れ、幸せそうに笑いながら大事に味わっている。気になるから僕も食べようっと。


「――よいしょっと。はむっ。――ふわぁ~、おいひぃ」


 もはやケーキというより、柔らかで濃厚で香り高いチョコの塊を口に入れたようだ。はぁ~、おいしいなぁ。オレンジの香りも微かにする。こんなに美味しいチョコレートケーキは初めてだ。カスタードを使った物やショートケーキが好きだったけど、今度からはチョコにも注目せねば。


「気に入ったか? そうか、そうか。ヴァン、もっと食べていいぞ」


 一口食べる度にうっとりとしているチョコ好きなヴァンちゃんに、ヒョウキ様が更に切り分けてあげている。そう言えば、カハルちゃんもチョコが大好きだよね。でも、まだ食べられないかな? きっと凄く嬉しそうな顔をするんだろうなぁ。


「これは何処で売っているものですか?」


「こちらは水の国の『ブーシェ・ボヌール』というお店の品です。チョコレートで有名なお店ですね」


「お高いですか?」

「確か三千圓位だったと思います。買いに行かれるのですか?」


「はい。チョコが大好きなカハルちゃんが大きくなったら食べさせてあげようと思って。三千圓という事は、六週間分を貯金……」


「えっ? どういう事ですか?」


 部屋に戻って来たミナモ様が不思議そうに僕の前に立ち止まる。


「僕の一週間のお小遣いは五百圓なんです」

「ニコちゃんは沢山稼いでいますよね? そのお金は使わないのですか?」


「九割は村に入れて一割は自分用です。でも、武器を作る為に貯金しているので、使えるお金は僅かですね」


「九割って自分の意思か?」


「はい、そうです。僕達を育ててくれたのは村ですから、少しでもお返ししたいと思いまして。ミルンさんには大分渋られましたけど、押し切りました。ねっ、ヴァンちゃん」


「うむ。それに俺達はあまり欲しい物が無い」


 ヒョウキ様とミナモ様が顔を見合わせている。何かおかしな所があっただろうか?


部長さん、鼻血はまだ出ていません。もうちょっと衝撃が加わったら出ます(笑)。

貴重なエクレアの歌をゲットできると良いですね~。

エクレアさんとのサヨナラが早すぎたので、チョコレートケーキです。幸せそうに食べていますね~。

周りも幸せになる程、笑顔の二人です。


次話は、ヒョウキの秘蔵お菓子です。


お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ