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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0208.金の卵

 目覚めると顔に温かな何かが乗り視界が暗い。あれ? まだ夜かな? それにしても何が顔に乗っているのだろうか? よいしょっと。


「えっ、カハルちゃん⁉」

「ん? ニコ、起きたか」

「ダーク様、おはようございます。なぜ、カハルちゃんが?」


「さっき、眠りながらゴソゴソとニコの顔に上って行ったぞ。下ろそうと思ったんだが、満面の笑みだったから止めた」


「……ふにゅ~?」


 大変だ、起きてしまう。ポンポンと背中を叩いてあげると、僕にぴったりとくっつき眠りに戻る。本当に嬉しそうな顔で眠っている。僕と一緒だからと自惚れてもいいだろうか?


「ニコちゃん、おはよう。ふふっ、幸せそうに眠っているね。白ちゃん達と一緒なのがよっぽど嬉しいんだね」


 自惚れではなかったらしい。駄目だ、顔がにやける。


「――ふわぁ~。んー……むにゃむにゃ。……すー」


 起き上がって座ったヴァンちゃんが、そのまま眠り始めた。ダーク様が鼻をちょんとつつくと、ぱちっと目が開く。


「ん? ダーク様?」

「おはよう、ヴァン。そろそろ起きないとラジオ体操に遅れるぞ」


 開け放たれた扉からは続々と集まって来る森の皆が見える。僕も早く準備しなくちゃ。カハルちゃんをそーっとお布団に戻そうとすると、悲し気に眉が寄せられる。あぁ~、どうしよう……。嬉しいけど困った。


「僕がおんぶするね」


 シン様がそっとカハルちゃんの手を開かせて僕から離し、おんぶする。背中の温かさを感じたのか安心した様に顔が緩んでいく。


「行っておいで」

「はい。卵は貰ってきた方がいいですか?」

「今日はカハルを一緒に連れて行ってあげてくれるかな。うーんと……十個あればいいかな」


 シン様が指折り数えて個数を教えてくれる。頷いて外に飛び出し体操をする。ニワトリさんはどんな反応を見せるだろうか?


「どうだ、合っていたか?」

「バッチリ。ダーク様は覚えるのが早い」


 一回見ただけなのに、ダーク様は完璧に出来るようになっていた。その記憶力を僕にも少し分けて欲しい。


「また、卵を貰いに行くのか?」

「はい。カハルちゃんを連れて行くので少しお待ち下さい」


 家に入ると、目を覚ましたカハルちゃんが嬉しそうに笑う。


「にこちゃ、おはにょう。いいあしゃね」


「おはようございます。お外は気持ち良いですよ。一緒に卵を貰いに行きましょう」


「うんっ」


 微笑ましそうにしているシン様から受け取ったカハルちゃんをおんぶする。ええと、籠は……。


「ニコ、籠は俺が持った」

「ありがとう。行こう!」

「うむ」


 先を歩くヴァンちゃんの足取りが弾むようだ。僕もスキップしたい所だけど、大事な人を背負っているから止めておこう。


「コ、コケッ」

「コココッ」

「こぉ、こー、こ」


 カハルちゃんが真似て声を出すと、興味を惹かれたニワトリさんが一斉にやって来る。ダーク様は以前の事を思いだしたのか距離を取っている。


「たみゃご、くだしゃいなぁ」


 頷いたニワトリさんが家に向けて走り出す。何事⁉ と慌てて追い掛ける。ダーク様が居たのに一切反応をしない事も謎だ。


 家に着くとシン様がびっくりしながらも対応している。


「えっ、どうしたの? あぁ、卵をくれるの? ありがとう。十個頂戴ね」


 お行儀よく縦に一列に並んで順々に差し出している。渡し終えると僕の前に四列で並ぶ。一体、何が始まるのだろう?


「あんがとねぇ。おかえしなのぉ」


 癒しの光が雨のようにニワトリさんに降り注ぐ。すると、ニワトリさん達の羽根がツヤツヤと輝きを増していき、尾羽が一本だけ金色のニワトリさんが前に出て来る。いつもより伸びの良い声で「コケコッコー!」と鳴くと全身が黄金の羽根に変わっていく。


「ほへぇ!」


 変な声が出てしまった。びっくりしながら見守っていると、羽根の金色がお腹の袋に一気に集まっていく。光が消えるとニワトリさんが恭しく金色の卵を僕に差し出してくれた。


「あ、ありがとうございます」

「コケッ」


 僕が受け取ると、また一斉に走って戻って行く。……何だったの?


「オーラム・ガッスか」

「ダーク様、オーラム・ガッスって何ですか?」

「金の卵を産む魔獣だ。ニワトリとほとんど変わらないし、見分けがつかない事で有名だ。その中には金箔が詰まっているぞ」


 ヴァンちゃんに渡してあげると耳に近付け振っている。


「音しない。外も金?」


「そうだ。今まで金の卵にならなかったのは魔力が足りなかったのだろう。何か不思議な事は今まで無かったのか?」


「俺のピンバッジの魔力の所為で黄身が二つになった」


「そうか。カハルの魔力が加わって必要な値に達したのだろうな。きちんと供給してやれば毎日、金の卵が貰えるぞ」


 ニワトリさんじゃなかったの? 卵を食べても大丈夫だったのだろうか?


「特に害はないぞ。安心して食べろ」


 ほっと胸を撫で下ろす。シン様は知っていたのかな?


「魔獣だったの? 卵が出来るペースが遅くて売れ残っているから安くしておくって言われて買ったんだよね。元気が無かったから毎日カハルが撫でてあげてたら、毎日卵を貰えるようになったんだよ。ね、カハル」


「うんっ。ほかのぉ、にわとりしゃんもなでなでしたの。みんにゃ、げんきいっぱいになったよ」


 さっきみたいに並んで撫でて貰い、癒しの力を貰うのが習慣になっているのだろう。


シンも知らずに飼っていたオーラム・ガッスでした。ニワトリと外見も卵も同じなので見分けがつきません。ニワトリに魔力を与える人なんて居ないので、ニワトリと思われたまま一生を終える子ばかりです。

みんな大金持ちになるチャンスを逃していますね~。


次話は、空も飛べるはずです。


お読み頂きありがとうございました。

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