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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0207.祈りが通じた……

「どっちが勝つでキュかね?」

「私はダークが勝つと思うな。シンは?」

「んー……。ニコちゃんにしようかな」


 皆が小声で喋っている。その間に火花が出なくなってきた。もしかして、勝てるかも⁉ なんて思ったのがいけなかったのか――。


「――あっ」


 ボトッと火球が地面に落ちてしまった。ダーク様は? まだ、丸い火球がオレンジ色に輝いている。


「ま、負けた……」


 恨めし気に見ているとダーク様がニヤリとする。


「俺の勝ちだな。願い事は何にさせて貰うかな」

「えっ、聞いていませんよ⁉」

「俺が何も賭けないと思ったのか? 甘いな」

「そんなのは却下です。詐欺だー!」

「人聞きが悪い事を言うな。こうしてやる」

「ひょえ~~~」


 足首を持たれて逆さ吊りにされる。逆さでヴァンちゃんと目が合うという珍しい体験をしてしまった。


「ダーク、そのままお風呂に行ってね。風邪を引かないようによく温まるんだよ」

「ああ、了解。ヴァンもご所望か?」


 ヴァンちゃんが自ら片足を差し出している。僕と交替なのかと思ったら、セイさんがやってくれるようだ。……あぁ、ブラブラと揺れて楽しそうにしている。ヴァンちゃんにはご褒美ですね。



 みんなで百まで数えて温まって出てくると、既に布団が敷かれてカハルちゃんがスヤスヤと寝ている。あ~、お話がしたかった……。でも、これからは毎日一緒だもんね。そう……だよね? もうこれ以上は小さくならないよね?


 そうだ、せっかく神様が居て下さるのだからお祈りしておこう。背中に向けて手を合わせる。よろしくお願い致しますっと。


 背を向けてお皿を洗っていたシン様が急に振り向く。


「――ニコちゃん。今、僕に祈ったよね?」

「えっ⁉ は、はい。すみません」

「謝らなくてもいいよ。確約は出来ないけど、ニコちゃんのお願いなら全力で頑張るからね」


 呆然としてしまう。本当に祈りが通じた……。神様って本当に聞いてくれるんだ……。


 ヴァンちゃんが不思議そうに首を傾げてダーク様を見る。


「シンはとっくの昔に人を諦め、人の祈りを聞く事も無くなった。これが良いきっかけになればいいな」


 気遣わしげにシン様を見るヴァンちゃんを、ダーク様が高い高いしてあげている。


「シン、外の片付けは終わったよ」

「モモ、ありがとう。そろそろ帰るかい?」


「うん。今日は本当に楽しかったよ、ありがとう。……ダークは泊まっていくの?」


「ああ」

「羨ましい……。はぁ、でも、今日は帰らないと。みんな、またね」


 シン様と共に移動の魔法で消える。きっと撮り溜めた写真などを見て悲しさを紛らわせるのだろう。


「――ただいま。さっき、モモに言われて気が付いたんだけど、貰ったお茶を飲むのを忘れていたよ。今から飲む?」


「歯磨きしちゃいました」

「じゃあ、別の日にしよう。すぐに悪くなる物じゃないしね」


 お花の世話をしていたクマちゃんが戻って来た。


「あれ、モモしゃんが居ないでキュ」

「伝言があるよ。『また、お出掛けする時には誘ってね』だって」


「モキュ。早速なんでキュけど、ポンポコさんの所に明後日行くのでキュ。皆が駄目そうなら、モモしゃんに頼みたいのでキュ」


「ああ、そうだったね。僕が一緒に行ってあげるよ」

「いいのキュ⁉ やったキュー!」


 喜ぶクマちゃんを連れてシン様がお風呂に行く。その背中を見ながらダーク様がポツリと言う。


「暴走しなければいいが。はぁ、どいつもこいつも手が掛かる……」


 哀愁が漂っております。カハルちゃんの周りの人達の中では、ダーク様がストッパー役なのだろう。セイさんも同じ感じかな? 視線を交わして溜息を吐く姿が切ない。頑張れ、最後の砦!


 まだ遊ぼうと思ったけど、瞼が落ちて来た。うぅ、眠い……。


「ほら、布団に入れ」


 セイさんに運ばれてカハルちゃんの隣に潜り込む。ヴァンちゃんは既に夢の世界に旅立ってダーク様に運ばれている。


 もう限界だ。おやすみなさい……。


ニコちゃんは祈りが通じるのか半信半疑でしたが、ちゃんと届いてビックリです。

これから、ちょくちょくお祈りしてシンを笑わせていそうですね。

ダークもセイも苦労しています。自由で過激な人達の集まりですからね~。シン達と一緒に居るとダークが常識人に見えますね。


次話は、ニワトリじゃない⁉ です。


お読み頂きありがとうございました。




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