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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0201.そろそろ訴えますからね!

「モモしゃんはバナナが似合わないでキュね」


 クマちゃんが正直に言ってしまった。他の人達が思わずという様に頷いている。


「そう? バナナに似合う、似合わないってあるの?」

「勿論でキュ。カットされたバナナをフォークで食べる姿なら良いでキュ。皮を剥いて直接食べるのは駄目でキュ」


 モモ様が不思議そうにしている。自分自身ではそういうのが分からないものだよね。


「ニコにカッコイイが似合わないのと一緒」

「ひ、酷いよ、ヴァンちゃん! ちょっと待ってね。今キリッとするから。――どう?」


 腰に手を当てて胸を張り、目を細めてフッと笑う。これでカッコイイって言って貰えるよね。


「変」


 たった一言返された。思わず崩れ落ちて地面に手を付く。一体、何が駄目だったの⁉ だが、誰にも答えを期待出来そうにない。必死で笑いを堪えているらしく、全員、涙目だ。どこに……一体どこに笑いがあったのだろうか?


 唯一、冷静なヴァンちゃんに背中をポンポンと叩かれる。慰めなんて要らない。僕が欲しいのはただ一つ。


「カッコイイをお願いします!」

「無理」


 更にバッサリと斬られた。もう、抵抗する気力がありません……。うぅ(泣)。


「だみゃってたちゅ、うちろしゅがたなら、いいかもぉ?」


 何ですと⁉ 直ぐにやってみなければ。皆に背中を向けて黙って佇む。


「……可愛いな」

「可愛いね」

「諦めた方がいいでキュかね」

「そうだね。可愛いの勝利だと私は思うよ」

「あー……」


 最後のカハルちゃんのコメントに詰まった声で全てを悟る。後ろ姿ですら駄目だなんて……。ヴァンちゃんと何が違うって言うのさっ。


「シッポがピコピコ落ち着きが無い」


 無意識に動いていたシッポの所為とは……。力を入れていれば良いのかな?


「ふんっ!」

「ぶはっ……」


 シン様が噴き出した。今度は何が問題⁉


「シッポが凄い勢いでビンッてなったよ。お尻が余計にプリンとなって可愛いね」


 そっと触って来るモモ様の手を拒む気力も湧かない。……クマちゃん、お尻をツンツンしてくるのは止めて下さい。


「――力が抜けたでキュ。わしゃわしゃわしゃでキュ~」


 お尻を小さな手で撫でられてくすぐったい。ん? 手が増えた。


「クマちゃん、セクハラですよ! それに誰ですか? この手は!」


 ガシッと掴むと、いつ来たのかダーク様だった。


「また、ダーク様ですか⁉ そろそろ訴えますからね!」

「どこに訴えると言うんだ? ん?」


 ニヤリと憎たらしく笑ってお腹をコショコショくすぐってくる。くっ、このっ! 負けてなるもの、かー⁉


「――にょはははっ、い、いい加減に」

「そうか、良い加減か。では、もっとくすぐってやろう」

「うははっ、ひっ、ひぃえー、ち、ちが、にゃはははっ」


 誰か助けて~と心の中で叫ぶ。


「だーく、めっ、なのぉ」


 カハルちゃん、何て良い子! ダーク様が急に興味を失くしたように立ち上がる。助かった……。


「戻って来たか。調子はどうだ?」

「だいじょーぶなの。ただいみゃー、だーきゅ」


 シン様からカハルちゃんを受け取ったダーク様がおでこを合わせてグリグリと動かす。楽しそうに笑うカハルちゃんを見て安心したのか、大事そうに胸に抱く。そして、モモ様に目を留める。


「桃の国の宰相殿じゃないか。よく、シンに許可して貰えたな」

「お久し振りでございます。遊具作りの手伝いの為に入れて貰えました」

「そうか。ここでの敬語は止めてくれ。プライベートに堅苦しいのは勘弁だ」

「承知致し――失礼。分かったよ、ダーク様」

「呼び捨てで構わん。無理にとは言わないがな」


 苦笑したモモ様が頭を下げる。内心、困ったなぁと思っているのかもしれない。


「この木馬は凝っているな。誰が作ったんだ?」

「俺が形を作って、モモが色塗りをした」

「へぇ、絵心があるんだな。小さい頃から得意なのか?」

「そうだね。絵を描くのも好きだけど、細かい作業とか何かを作るのが昔から好きだよ」


 木工好きというよりは作るの全般が好きなのか。


「お料理はするんですか?」

「たまにね。王に試食して貰うのだけれど、冒険し過ぎだってよく怒られるよ」


 わざと? わざとですか⁉ 王様にイラッとして、良い笑顔で唐辛子をどっさり入れる姿が頭に浮かぶ。


 ヴァンちゃんがそっとモモ様から距離を取っている。僕も被害に遭いたくないので、今後この話題を振るのは止めよう。


「ほどほどにな。シン、手伝う事はあるのか?」

「もう無いよ。夕飯まで皆で遊ぶといいよ」


 シン様は夕飯の支度をするらしい。回転木馬はまだ塗料が乾かないので遊べない。折角、これだけ人数が居るのなら何か特別な事をしたい。


ヴァンちゃんがバッサバッサ斬ります。カッコイイを求めるほど変になっていくニコちゃんでした。

ダークは本当に良いタイミングで来ますね。そして、またセクハラです(笑)。

ニコちゃんを構いたくてしょうがないダークには、カハルがよく効きます。ヴァンちゃんはそれに気付いていますが、ダークが楽しそうなのでダンマリです。自力で気付け、ニコちゃん!


次話は、うさぎさんが最強です。


お読み頂きありがとうございました。

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