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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
201/390

0200.お金の掛け方は人それぞれ

ついに200話です!


ここまで来れたのも読者様が居て下さったからです。本当にありがとうございます。


これからも、少しでもクスリと笑って頂けるような作品を書いていきたいなぁと思っています。


今後も「NICO & VAN」をどうぞ宜しくお願い致します。

「……いつの間に? みんな、ここに住んでいるの?」

「はい、森に住んでいますよ」

「そうなんだ。私も一緒に乗せて貰おうかな」


 ウサギさんを抱っこしたモモ様が乗るとアケビちゃんがもう片方を手で押す。何故、優雅に見えるのだろうか? 横座りしているからなのか……。そうだ、シン様にも乗って貰えば分かるかも!


「シン様、シーソーに横座りで乗って下さい」

「モモと乗るの? 何か嫌だ……。でも、ニコちゃんのお願いだから仕方ないか……」


 シン様も優雅だった。容姿の問題なのかも? 二人共、超絶美形だもんね。


「ありがとうございました。でも、何で動かさなかったのですか?」

「だって、モモとだよ。楽しい訳がないよ」

「私も同感だよ。大人の男性と乗ってもね……。森の動物さんやニコちゃん達となら幸せな気分になれるよ。でしょう、シン?」


 頷き合っているお二人は仲が良いのか悪いのかよく分からない。でも、考え方などは似ているのかもしれない。


 シーソーを満喫したクマちゃんが、モモ様の作業が終わっている事に気付く。


「モモしゃん、ありがとキュ。お疲れ様なのキュ」

「うん。直して欲しい所があったら教えて」


 近くで見たクマちゃんが手を叩く。


「凄いキュ! 全ての扉にヒマワリやチューリップとかお花が描かれているのキュ。モモしゃん、こんなに良い物を作ってくれて、ありがとうキュ。感激でキュ……」


「ふふっ。そんなに喜んで貰えるなら、私も頑張った甲斐があったよ。また、何か作って欲しかったら言ってね。いつでも力になるから」


 感激したクマちゃんがモモ様の足に抱き付いている。よっぽど嬉しかったのだなとホッコリする。


「おやつをお食べ。はい、バナナ」

「ありがとう。クマちゃん、一緒に食べようね」


 森の動物さんも分け合ってモグモグと食べている。アケビちゃんには一本では少ないと思ったのか、ヴァンちゃんが二本渡し、両手に持って交互に食べるようにお願いしている。アケビちゃんは不思議そうにしながらもやってくれる。


「モモ様、撮影チャンス」

「ありがとう、ヴァンちゃん。アケビちゃん、ちょっと、そのままでいてね」


 撮影に夢中になったモモ様をクマちゃんが見ている。どうしたのだろう?


「お膝に乗ろうと思ったでキュけど無理そうキュね」

「じゃあ、アケビちゃんのお腹に乗せて貰いましょう」

「良いキュね。座り込んでいるからチャンスでキュ」


 よいせ、よいせと登ったクマちゃんがアケビちゃんの柔らかなお腹の毛に埋もれる。


「フワフワきゅ~。ここでバナナを一齧りできゅ。――おいひぃキュ~」


 幸せの絶頂という感じだろうか? その姿をモモ様が羨ましそうに見ている。


「私も小さければ出来たのに……。子供の頃に出会いたかったな」


 手を止めたので撮影終了なのかと思ったら動画に変更している。水晶の空き容量は大丈夫なのだろうか?


「モモはバナナを食べないの? いらないなら他の子にあげちゃうよ」


「いま食べるよ。……シン、呆れ返った顔で見るのは止めてくれないかな。私は毎日会えないから、せめて映像で癒されたいんだよ」


「モモ様、容量は平気?」

「大丈夫だよ、ヴァンちゃん。一番容量の多い水晶を購入したから、まだまだ余裕だよ」


 どれだけ撮るつもりなの? セイさんは僕達にもよくツッコんでくれるので期待しながら見守る。チラッと僕に視線を投げてからセイさんが口を開く。


「……一個だけか?」

「違うよ。バックアップする為のも含めて五個買ってあるよ」

「動画も撮影出来る物なら一個、十万はするだろう? 給料が吹っ飛ぶな」


「私は全然惜しいと思わないよ。こんなに良い物が沢山撮れて大満足だよ。物の価値は人それぞれでしょう? 私の幸せに繋がる人や物にお金を掛けた方がお金さんも喜んでくれるし、その価値以上の幸せが今みたいに訪れてくれるよ」


 確かにそうなのかもしれない。例えばチョコが食べたいなぁと買いに行ったけど、思っていた値段よりも高かった時。諦めてクッキーを買って帰る。確かにクッキーも美味しいけど、えいやっ! とチョコを買って食べた時の満足感に比べると、かなりの差がある。心が欲しいと思っている物に素直に従った方が幸せになれるように思う。


 お財布と相談の時には考え方を変えると良いらしい。ミルンさん曰く、「この沢山の商品の中からクッキーを選んでやったぜ!」と思うと良いそうだ。そうすると、「あ~あ、クッキーか……それなりに美味しいよね」ではなくなり、「流石、自分が選んだクッキーなだけあって凄く美味しいじゃないか」と満足出来るらしい。検証済みだと笑っていたので確かだ。その所為で太ってしまったのを村の人達に内緒にしてくれと頼まれたのは余談である。


「本人が満足だって言っているから気にしなくていいよ。ただし、この子達が残す事を拒否した場合は、速やかに消去する事。いいね?」


「私の宝物を消去だなんて酷過ぎる……」

「我が侭を言うと、撮影不可にするからね」

「……分かったよ」


 言った後に僕達をじっと見る。少し潤んだ目が語っている。『消去したくないなぁ。拒否しないで。ね? ね!』と。ヴァンちゃんと共に目をスッと逸らす。嫌な事は嫌って言うもんね。譲りませんよーだ。傷心のモモ様が無言でバナナを食べているが、物凄く似合わない。


シンとモモのシーソー。お姉さま方がキャーキャーと喜びそうですね。

熊さんのお腹に熊さん。まるで親子のようです。

クマちゃんとお出掛けした時と同じ後悔はしたくないモモです。いつでもどこでも記録用水晶を手放しません。夢中になり過ぎてシンに呆れられてしまいましたが、止めるつもりはありません。癒しですからね!


次話は、カッコイイと言われたいニコちゃんです。


お読み頂きありがとうございました。

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