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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0199.バタンキュー?

「次はシンに頼まれた物を作るか。アケビ、竹を運ぶのを手伝ってくれ」

「ガウ」


 僕達はセイさんが魔法でスパーンと半分に切った竹の節を取り除いていく。未だに何に使うのかが、さっぱり分からない。


「よし、次は組み合わせていくぞ」


 バツの形に組み合わせた木を地面に突き刺していく。全て同じ高さではなく、段々と低くなっていくようだ。その上に竹を載せていき、途中で竹の方向を変えてブーメランの形のようにし、終着点にはタライを置く。何だかコースみたいだ。これで完成なのかな?


「後は晩御飯の時のお楽しみだな」


 食べ物に関係あるの? う~ん、焦らしますのぉ。セイさんは道具を片付けに行き、モモ様は頭にクマちゃんを乗せながら真剣に色塗りを続行中だ。ヴァンちゃんは疲れたのか、シーソーの下がっている方に持ち手を背にして、ちょこんと三角座りしている。僕は馬さんを近くで見てこよう。


 アケビちゃんが井戸で水を飲み戻って来た。そして、シーソーの上がっている方に座ろうとしている。


「あっ、待っ」

「ガウ?」


 静止が間に合わずに、ガコンと勢いよくシーソーが下りた。


「――あーーー……」


 ヴァンちゃんが何故か嬉しさの混じった声で、青く澄んだお空に高く高く放物線を描きながら飛ばされていく。何だか楽しそうだ……って違う違う! 助けなきゃ!


 アケビちゃんが全力で走って行く。とてもじゃないが僕は追い付けない。


「皆、おやつだよー。えっ、アケビちゃん、どうしたの? ――ヴァンちゃん⁉」


 アケビちゃんの猛ダッシュに驚いたシン様が視線を追って空を見上げ、慌てて魔法で空高くまで一気にジャンプする。


「――っと、キャッチ成功」


 ふわりと地面に着地したシン様が、怪我がないかを入念にチェックしている。その様子をアケビちゃんが泣きそうな顔で見守る。


「大丈夫そうだね。あー、肝が冷えた……」

「ガウ、ガウガウウー……」


 必死に「ごめんなさい」をするアケビちゃんをヴァンちゃんが慰める。


「大丈夫。空を飛べて楽しかった」

「何でこうなったの?」

「俺がシーソーに座っていたのに気付かずに座ったみたいで、ポーンとお空へ」

「……そう。安全対策しないとね」


 アケビちゃんが地面を見つめながら凹んでいる。


「アケビちゃん、ヴァンちゃんは魔法粉を常に持ち歩いているので大丈夫ですよ。いざとなったら、風の魔法粉を使っていた筈です。ねっ、ヴァンちゃん」


「うむ。備えあれば憂いなし」

「――大丈夫か?」


 セイさん達も集まって来た。


「セイ、安全対策しよう。開始と終了時に二人が魔石を触らないといけないようにしよう」


「停止時は平行になるようにして、魔石を触ったら土の塊を出したり引っ込めたりさせればいいか」


「そうだね。はい、魔石」


 受け取ったセイさんがシーソーの持ち手の前方部分の木を彫って魔石をセットし、ひと回り大きい魔石を支点になっている所にセットする。すると、土がモコモコと筍の様に伸びて、シーソーの両端を支える。


「ニコとヴァンで試して貰っていいか?」

「「はい」」


 よいしょと座って、持ち手を片手で掴みながら魔石に触る。でも、シーソーは平行のままだ。


「あれ?」

「似た様な体重なんだろうな。ヴァン、勢い良く座れ」


 ヴァンちゃんがドーンと座ると、シーソーがゆっくりと動き始める。交互に地面を蹴り上下させる。久し振りに乗ったけど楽しいなぁ。


「もう一度、魔石に触ってくれ」


 シーソーを止めて魔石に触ると、徐々に平行になっていく。


「問題無さそうだな」

「そうだね。乗り心地はどう? お尻は痛くなかった?」

「大丈夫でしたよ。久し振りに乗れて楽しかったです」

「もっと乗りたい」

「クマも乗りたいのキュ」


 軽すぎて動かないのではないだろうか? それにここには体重が釣り合う人が居ないよね。森からリスさんか鳥さんに来て貰えばいいかな?


「クマ用のシーソーも作るか。こちらの大きい物では無理だろう」

「本当キュ⁉ 鳥さんかリスさんにお願いして一緒に乗って貰うキュ」


 出来るまでは僕が片手で抱きかかえて一緒に乗る。


「初ぎったんばったんキュ~。面白いキュ~」


 シン様が「バタンキュー?」と呟いて笑いを堪えている。確かにギッタギッタにのされてバタンキューしたみたいに聞こえる。


「シン様、ぎったんばったんって何?」


「シーソーの別の言い方だよ。人によって『ぎっこん、ばったん』とか『ぎったん、ばっこん』とか色々あるみたいだよ」


「ほぉ。初めて聞いた」


 感心しながら遊んでいると声を掛けられる。


「出来たぞ。アケビにリスも連れて来て貰った」


 早速、リスさんと乗って楽しそうに上下させている。楽し気な雰囲気を感じたのか、森から次々と動物さんがやって来る。片方にアケビちゃんに乗って貰い、皆で次々ともう片方に乗るが、びくともしない。流石に無理か……。


 その後は、シン様とアケビちゃんに交互で押して貰いながら、動物さん達がシーソーを楽しんでいる。その間、全く顔を上げなかったモモ様は色塗りが終わったようで、ぐーっと背伸びをした状態で止まったまま、目をパチパチさせている。


ヴァンちゃんはなんとか出来る方法があるので、お空を楽しんでいますね。他の人は真っ青です。

作者は確か『ぎったん、ばったん』だったと思いますが、皆様はシーソーを何て言っていましたか? 地域で違いがあるみたいですね。

クマちゃんも小さい子専用のシーソーで大満足です。


次話は、モモのお金の使いみちについてです。


お読み頂きありがとうございました。


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