0001.プロローグ
「カハルちゃん、どーーーんっ‼」
「ぐはっ⁉」
僕の突撃は見事に決まった。思わずニンマリしてしまう。
「ニコちゃん、中身が出ちゃうでしょう……」
最愛の主様が八の字眉毛で、背中に貼り付いた僕を振り返る。
「ニコちゃん?」
「っ⁉」
僕の毛は一瞬にして逆立つ。満面の笑みの神様が首を傾げてこちらを見ている。ま、まずい。ここは、これしかないっ!
「エ、エヘッ(汗)」
「何をしているのかな?」
追撃がキターッ!
僕は、カハルちゃんから、そろそろと離れる。そして――。
「すみませんでしたっ」
最敬礼でプルプルしながら次の言葉を待つ。
「前にも言ったでしょう? 突撃しちゃダメだって」
「う、嬉しさのあまり……つい――」
「しばらく、カハルはお預けね」
被さるように発された言葉に、僕は目の前が真っ白になり、完全に停止した。
「お父さん……それはちょっと厳しすぎだし、私も悲しい」
「でもね、カハル。これまでも何度も注意しているし、この前ニコちゃんと約束したんだよ。もう、突撃しませんって。それにね、カハルだって痛いし、ビックリするでしょう?」
「うー……それは……」
カハルちゃんが言いあぐねながら、悲しそうにこちらを見ている。その表情に僕はハッとする。
「ごめんなさい! 本当にもうしませんっ。次やったら、専属を考え直して頂いて構いませんっ‼」
専属という言葉に神様の表情が真剣で冷酷なものに変わる。
「その言葉に嘘はないね? もう、後はないよ」
言葉ひとつひとつに冷気と圧力がこもっている。僕はなんとか唾を飲み込んで答えた。
「は……い」
「――分かった。じゃあ、僕は仕事に行くから、カハルをお願いね。白ちゃん達」
そう言ってカハルちゃんを抱き締める神様に、僕とヴァンちゃんが頷く。
そして、移動の魔法で神様が消えた直後、僕は全身の緊張が解けてしゃがみこむ。驚いたカハルちゃんとヴァンちゃんが近寄って来てくれた。
「大丈夫か? ニコ」
「ヴァンちゃん……。寿命が5年は縮んだ気がする……」
まだ体がプルプルしている僕の頭を、カハルちゃんがナデナデしてくれる。くーっ、優しい‼ やっぱり、カハルちゃんの専属で良かった。僕がウルウルした目でカハルちゃんを見上げると、ぎゅーっと抱きしめてくれる。それを見たヴァンちゃんも反対側からぎゅーっとしてくれる。
「サンドイッチ」
「ニコちゃんが今日は具だね」
「うむ」
二人のやり取りと温もりに、ようやくいつも通りの感覚が戻ってくる。
「ありがとうございます。もう大丈夫です」
「本当に平気?」
「はいっ。お店に行きましょう‼」
「うんっ」
やっと、カハルちゃんが笑ってくれた。ヴァンちゃんも僕の背中をポンポンしてくれる。
はぁ、取り返しのつかない事にならなくて良かった……。もう、あんな悲しい顔させないようにしなくちゃ。僕は決意を新たに、カハルちゃんと手を繋いだ。
お読み頂きありがとうございました。
はじめまして。ついに「NICO&VAN」を投稿してしまった、美音 コトハです。
あらすじの突撃と絡めて書いてみた、このプロローグは遠い未来のお話となっています。
いつか、この内容に辿り着く日が来ます。そして、更に続く予定(遠い目……)。
長い旅路を、登場人物と作者と共に歩んで頂ければ大変嬉しく思います。
次話は現在の時間軸へと戻ります。
主人公とカハル(ヒロインです)の出会いとなりますので、お楽しみに。