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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0198.お花屋さんの棚と台

「お待たせ。戻るよ」


 戻ると細く切った竹を渡される。


「これをナイフで削ってお箸にしてくれる? ナイフは動かさずに竹を動かして削るんだよ」


「「はい」」


 お手本を見せて貰ってから始める。僕達が削る横ではシン様がコップのような物を竹で作っている。食器作りの為だけじゃ、あんなにいっぱい要らないよね。あ~、気になる……。でも、手を怪我しないように集中しよう。


 途中からシン様も箸を作りだす。段々と上達してきた僕達よりも速くて上手い。何でも上手にこなせて凄いな。いや、神様なんだから出来ない方がおかしいと思うべきか……。


「ニコちゃん、手が止まっているけど、どうしたの?」

「少し考え事です。認識を改めるべきかと」

「何の認識? 困り事なら相談に乗るよ」

「俺達は自信喪失中。シン様は何でもプロみたい」


「ああ、そういう事。僕が何年生きていると思っているのさ。千二百年以上生きているんだから、大抵の事は経験済みだし上達もするよ。僕が特別優れている訳じゃなくて、人生経験の差だよ」


「シン様も失敗してる?」


「勿論。最初の頃なんて料理を焦がすのは当たり前だったよ。豊富な知識があっても、実際にやってみると全然出来なかったりするんだよね」


 信じられない。でも、シン様は嘘を吐く人じゃないから真実なのだろう。なんだかシン様の存在がグッと身近に感じる。


「ヴァンちゃん達も色々と経験してごらん。自分では気付けていなかった素敵な一面が見られるかもしれないよ。だからと言って嫌いな物を無理にやる必要はないけどね。――よし、出来た」


 シン様のお蔭で思ったよりも早く作業が終わった。


「シン様、竹はどの辺りに生えているんですか?」


「えーとね、ニワトリ達の横が森になっているでしょ。その更に奥の方に竹が生えているよ。ニコちゃん達は山の方へは行ったが事があるけど、そこの森には入った事が無いでしょう?」


 確かに探検してなかったな。いつもアケビちゃん達と合流する為に山の方の森に行っちゃうもんね。


「こっちの森にも動物さんはいますか?」

「こちらには居ないよ。傾斜がきついし、食べ物が少ないからね」


 じゃあ、探検しなくてもいいか。躓いて転げ落ちたら嫌だし。


「ニコなら有り得そう」

「そうそう。って何で⁉」

「ニコの考えそうな事だから」


 ヴァンちゃんって、もしかして心の声が聞こえるのだろうか?


「聞こえない。仕草とか表情とか思考パターンで大体分かる」

「ニコちゃん博士だね」

「ん。ニコはヴァン博士。俺の事を凄く理解してくれている」


 べた褒めじゃなかろうか。この、ニコたらしめぇ。抱き付いちゃえ。


「とうっ!」

「来たな、ひっつきニコめ。こちょこちょこちょ」

「にょっひぃーーー!」


 シン様が完全にツボに入った。振動の所為なのかカハルちゃんが目を覚ます。


「ふにゅ? くしゅぐりこうげきだー。にこちゃ、ふぁいとぉ」

「は、はひっ。ファイトー……にょはははっ」

「こちょこちょこちょ……」


 ヴァンちゃんは巧みに僕を捕らえて離さない。なんて恐ろしい子……。もうそろそろ降参です……。


「ヴァンちゃん、ギブ! ギブですっ」

「ふっ。恐るるに足らず」


 くーっ、憎い人! カッコイイと思ってしまったじゃないか!


「ヴァっちゃのかちー。おとうちゃ、ゆーぐ、できたぁ?」

「シーソーは出来たみたいだよ。もう一つは……色塗り中だね」


 シン様はトマトソースなどを作る為にお家に歩いて行き、僕達はセイさん達のお手伝いに向かう。だが、ちょうど作業が終わったようだ。


「まぁまぁかな。金や銀色があれば良かったのだけれど」

「俺は十分に凄いと思うが。取り敢えず、上手く動くか確認しないとな」


 試運転するようだ。どんな風に動くのかな? わくわくする~。


 セイさんが大きな魔石を屋根と床を繋ぐ中央の太い柱にセットすると、床がゆっくりと回り始める。そして、その上の馬さんも上下に動き出した。


「楽しそうキュー。乗りたいでキュ」

「塗料が乾くまでもう少し待ってね」


 モモ様に抱っこされたクマちゃんが素直に頷く。これから毎日乗れるので僕もじっと見守る。


「問題無さそうだな。……大分、木材が余ったな」


「あのでキュね? それならクマのお店に置く棚とか台とかを作って欲しいのキュ。ちゃんと作業代もお支払いするのキュ。駄目でキュか?」


「では、良い物を作ろう。お金は要らないから、ヤスリ掛けを頑張ってくれ」

「いいのキュ? 頑張るキュ!」

「僕達もお手伝いしますよ」

「うむ」


 バンザイして喜ぶクマちゃんを愛でつつ、セイさんが切ってくれた木をヤスリ掛けしていく。人数が多いので思ったよりも時間が掛からない。セイさんが釘をリズミカルに打てば、あっという間に棚が完成だ。


 お花を置く為の台は三段になっており、クマちゃんが歩き回ったり、上り下り出来るように通路が作られたりして工夫されている。


「お花を入れる円筒が来たら、寸法に合わせて穴を開けて欲しいのキュ」

「ああ。店が終わったら、これはそのまま置いておけるのか?」

「モキュ。敷地内だから大丈夫って言ってたキュ」

「そうか。これは俺が運んでやろう」

「ありがとキュ。セイしゃんは頼りになるのキュ。流石、お兄ちゃんなのキュ」


 微笑んでクマちゃんを撫でるセイさんの横では、モモ様が扉付きの棚を作って色塗りをしている。十二枚ある扉の把手がクマちゃんの顔の形をしていて非常に凝っている。モモ様って木工が好きなのだろうか?


ヴァンちゃん、一度捕らえたら離しません。巧みにこちょこちょです。

良い反応だなぁ。もっと頑張ってくすぐろうかなぁと思っているヴァンちゃんです。

クマちゃんの為に、みんなで協力です。モモがまたもやいい仕事をしてますね。


次話は、シーソーで事件です。


お読み頂きありがとうございました。

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