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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0194.ナスリベンジ

 クマちゃんが早速、抗議している。


「ずるいキュ。クマにもちゃんとしたのを付けるのキュ」

「やー」

「やーじゃないキュ。鼻をめり込ませるでキュよ!」


 カハルちゃんが手でバツを作って完全拒否している。


「きーっ! でキュ!」


 思わず付いてしまったであろう「キュ」にモモ様が声を押し殺して笑っているし、他の人達もニマニマしている。ヴァンちゃんが手で口を押さえているが隠しきれていない。


「な、何キュ、皆して! にゃんちの所為でキュよ!」

「ふーんだぁ」

「憎ったらしいでキュ~! こっちが『ふーんだ』でキュよ!」

「……いつもこんな感じなの?」

「そうだよ。軽口を叩き合っているだけで喧嘩じゃないからね」


 モモ様がいつものクマちゃんとは違う姿を興味深げに見ている。こんな態度になるのはカハルちゃんにだけなのかもしれない。よっぽど気心の知れた間柄なのだろう。今は先程の言い争いが嘘のように笑い合っている。


「ニコちゃん達、遊具を作るのは任せて畑に行くよ」

「はーい」


 クマちゃんはサイズを合わせる為に必要だと言われて遊具作りの方に残り、僕達はシン様に連れられて畑に向かう。



「これが今年最後のスイカだね」


 立派なスイカをシン様が抱えあげる。僕達はトマトを収穫だ。夏の作物は今日中に全て採るらしい。カハルちゃんはシン様の背中でスヤスヤと眠っている。見ているだけで元気が湧いて来る気がするから不思議だ。


「次はナスをお願いね」


 頷いて次々とハサミでちょっきんする。んん? 何だこれ? 何か飛び出てる。


「ヴァンちゃん、見て見て! ナスに鼻があるよ」

「おぉ、長い鼻」

「どれどれ。ぴょこんと飛び出ていて可愛いね」


 他にもないかなぁと探したけど一個しかなかった。是非とも記録用水晶で撮っておかなければ。ヒョウキ様達に自慢しよう。


 トウモロコシの収穫中にカハルちゃんが目を覚ました。


「あー、とうもきょろし」

「後で茹でてあげるね。とっても甘いよ」

「おちょうゆ、ぬりぬり」

「お醤油を塗った焼きトウモロコシがいいの?」

「うんっ」

「じゃあ、お昼に作ろう。ピーマンも焼くと美味しいしね」


 シン様が手際よくピーマンを収穫していく。そう言えば細いピーマンみたいのもあったな。


「シン様、これはピーマンじゃないんですか?」

「これは辛いやつだよ。僕が食べる用かな」


 一人しか食べないから本数が少なかったのかと納得する。シン様って辛い物好きだな。


「カハルちゃんも辛い物が好きですか?」

「きりゃい。うぅ……」


 辛い物を食べてしまった時の記憶を思い出したのか首を振っている。僕とヴァンちゃんも激辛麻婆豆腐を思い出してプルプルする。


「ふふっ、うちの子達は辛い物が苦手だよね」

「セイさんもですか?」

「そうだよ。でも、今日はモモが居るからシシトウも焼こうかな」


 喋りながらも手だけは休めずに動かしていたので、後はきゅうりとヴァンちゃんの好きなズッキーニを収穫したら終了だ。


「洞窟にかぼちゃとかを置いて来るから、後はお願いね」

「「はい」」


 シン様が戻って来る頃には籠がいっぱいになった。夏野菜祭りだね。


「お待たせ。いっぱい採れたね。何を作ろうかな……。バーベキューでいいかな。焼きおにぎりを作ればお腹いっぱいになるでしょう。そう言えば、モモに豆腐の味噌汁を作ってあげなきゃ。さぁ、戻ろうか」


 家に移動の魔法で飛ぶと、既に遊具が完成間近だ。早いな~。きっと魔法で加工したのだろう。


「遊んで来ていいよ。お手伝いありがとうね」

「準備手伝う」

「いいの? じゃあ、トウモロコシの皮むきをお願いしていい?」


 バリバリと豪快に皮を剥き、ひげの部分を取り口元に当てる。


「見て見て~、お髭だよ~」

「おぉ、俺もやりたい」


 二人でやっていると、トウモロコシを取りに来たシン様が噴き出した。


「ぶはっ、はははっ! 凄い似合うね。二人共、そのままね」


 シン様が記録用水晶で僕達を撮ってくれた。後で映像を貰おうっと。


「まだお手伝いはありますか?」

「じゃあ、ナスを切ってくれる?」

「リベンジする」


 ヴァンちゃんがやる気満々でナスを受け取る。この前は爆発したけど今度は上手くいくかな? 真剣な顔でナスを見つめるが何も起きない。


「ん? 上手くいかない。ダーク様の時みたいに補助して貰わないと出来ない?」


「対象物が小さいからね。カハルがちょうど起きたからサポートして貰うといいよ。――カハル、ヴァンちゃんを手伝ってあげてね」


「ふにゅ? にゃすきりゅの?」

「そう。ナスをズバンと縦で四等分位に切ってくれるかな」


 カハルちゃんが小さな手でヴァンちゃんの手を握る。


「どぉ? まりょきゅ、わかりゅ?」

「うむ。魔力が目で見える」

「かぎぢゅめでぇ、にゃすをきりゅいめーじなのぉ。いくよぉ、ずぱぁん!」


 カハルちゃんがヴァンちゃんの魔力を操っているらしい。宙に浮かんだナスがバラバラになってボールの中に落ちた。


ニコちゃん達は何をしていても楽しんでいますね。

トウモロコシの髭が似合います。はしゃぐ姿を生で見たいなぁ。

シン以外はみんな辛い物が嫌いです。シンは辛くない料理でも全然平気なので、普段は皆と一緒の物を食べています。


次話は、色塗りに夢中です。


お読み頂きありがとうございました。

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