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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0181.甘い物で癒され中です

「お待たせ致しました。中の餡が非常に熱くなっておりますので、ご注意下さい。それと、よろしければ飴を召し上がって下さい」


「ありがとう。二人共、口を開けて」


 シン様が口にコロンと入れてくれた飴は、ミルクの優しい味がして思わず笑顔になる。ヴァンちゃんもようやく涙が止まったようだ。店員さんにお礼を言わなければ。


「ありがとうございます。とても助かりました」

「ありがとうございます」


 目尻に皺を寄せて微笑んでくれた店員さんが目線を合わせてくれる。


「お役に立てて良かったです。今度から辛い物はメニュー表にマークを付けて分かり易くしておきますね」


「ありがとうございます。お騒がせして申し訳ありません」

「いえ。また、何かございましたら、お声掛け下さい」


 礼をして去って行く店員さんを見送る。良い人だ……。


「もう大丈夫?」

「はい、僕は平気です」

「俺も」


 シン様が頷き席に戻る。セイさんも安心したようで、ヴァンちゃんの涙を拭ってあげてから食事を再開している。


「シンは辛い物が好きなの? この激辛の麻婆豆腐をほんの少し辛いだなんて感想は初めて聞いたよ」


「そうだね。でも、モモだって平然と食べていたでしょう」

「そうだけど、だいぶ辛いなと思っていたよ」


 シン様って本当に凄いなぁ。苦手な物はないのだろうか? 僕もいつかは辛い物をおいしいと思うようになるのだろうか? ……いや、無理そうな気がする。口が痛いのはつらい。僕はお子ちゃま舌のままで生きて行こう。


 飴を舐め終わったヴァンちゃんがゴマ団子を黙々と頬張っている。辛い物の記憶を消し去りたいのだろうか?


「ニコも食べる」

「ありがとう。いただきまーす。――甘いね、ヴァンちゃん」

「うむ。癒される」


 ゴマ団子を食べ終わったので杏仁豆腐に戻る。いつものお豆腐とは全然違う物だった。何で出来ているのだろう?


「モモ様、杏仁豆腐は何から出来ているのですか?」


「杏の種の中にあるじんという発芽する時に必要な物だよ。お薬にも使われているらしいよ」


「へぇ、そうなんですか。大豆じゃないんですね」

「うん。私はどちらも好きだよ」

「僕もです。お味噌汁のお豆腐が特に好きです」

「おみそしる?」


 そうだ、一般的じゃ無かった。何て説明すれば……。シン様を思わず見てしまう。


「モモ、家に来た時に出してあげるよ。聞くよりも自分で見た方が分かり易いと思うよ」


「そう。楽しみにしておくね」


 モモ様はお箸が使えるから問題なく食べられるだろう。でも、モモ様があのお家に居たら物凄く違和感がありそうな気がする。


「失礼致します。お茶のお替りはいかがですか?」

「お願いします。――ありがとうございます」

「辛いのはもう大丈夫ですか?」

「はい! 今は甘い物で癒され中です」


「はははっ、それは良かったです。他のお料理はいかがでしたか?」

「全部おいしかったです。肉まんの肉汁が凄かったです!」

「私も何度も食べていますが、毎回、顔が綻んでしまいます」

「分かります! 幸せだなぁって感じますよね」


 自分と同じ感覚の人が居て嬉しくなる。特に食べ物の好みは大事だ。更に店員さんへの好感度が上がる。


「小籠包もおいしい汁がたっぷり入っていますよ」

「この前、焼き小籠包を食べました。それとは違うのですか?」

「この店では蒸した物なのですよ。皮も大分薄いですね」

「私はいつも頼むよ。個人的には、この店の小籠包が一番美味しいと思っているよ」


 舌が肥えていそうなモモ様が、そう言うなら相当おいしいのだろう。また、来る機会があるといいなぁ。


 お茶のお蔭で口の中の油が洗い流される。エンドレスで食べられてしまいそうだ。


「皆、食べ終えたかな? そろそろ出ようか」


 そう言って先に手を伸ばしたモモ様より早く、シン様がさっと伝票を掴む。苦笑しているモモ様に綺麗に笑い掛けると、店員さんを呼んで会計を済ませてしまう。


「シン、ご馳走様」

「うん。その代わりに町の案内を頑張ってくれるかな」

「ふふっ、任せて」


 沢山の店員さんに見送られて、今度は表の入口から出る。


「三階立てのご飯屋さんなんて凄いですね」


「そういえば言ってなかったね。三階は宿屋になっているから、沢山お酒を飲んでも平気だよ」


「モモ様もお世話になった事があるんですか?」


「私はそこまで酔わないから、いつも城に帰っているよ。落ち着く自分の部屋で眠る方がいいからね」


 確かに。これだけ人通りがあるから、夜も遅くまで明かりが灯り賑やかだろう。僕は寝付きが良い方だけど、ヴァンちゃんは繊細だから眠れなくなってしまいそうだ。


「こちらだよ。はぐれないように気を付けてね」


 その言葉に反応してセイさんが僕を抱き上げる。ヴァンちゃんはシン様に自ら登り、肩に張り付いている。


「ヴァンちゃん、心配だから前においで」


 地面に頭を向けてズルズルとお腹に向かって下りていく。


「そう来たか。よいしょーっと」


 シン様が笑いながらきちんと抱きかかえる。ヴァンちゃんてシン様に結構気を許しているなぁと、こういう時に思う。なんか甘えている雰囲気なんだよね。


 昔からヴァンちゃんは人に甘えるのが苦手だったから、とても良い傾向だと思う。契約期間が終わってしまっても会えるといいなぁ……。


シンは辛い物が好きです。激辛でもちょっと辛いかなくらいにしか感じません。

ニコちゃんの店員さんへの好感度がガンガン上がっていますね。

自分の好きなものを同意して貰えると嬉しいですもんね。


次話は、輪投げします。


お読み頂きありがとうございました。

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