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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0170.クマちゃんとの待ち合わせ

今日のお話は、ニコちゃん→モモ視点に変わります。

 クマちゃんがメモ帳やペンなどを鞄にしまってから、他に忘れ物がないかチェックしている。


「クマちゃん、飴どうぞ。モモ様と一緒に食べて下さい」

「ニコちゃん、ありがとキュ。ちょっと緊張してるのキュ」

「大丈夫ですよ。酷い態度の人が居たら、モモ様がビシバシ教育してくれますから」

「そうだよ。思う存分こき使っていいからね」

「が、頑張るキュ」

 

 まだ表情が固いクマちゃんを連れて執務室に向かう。十時までは、まだ時間がある。


「おはよう」

「シン、おはよう。ミナモは会議中だからリストを預かっているぞ。ほい」

「ありがとう。セイ、行こうか」

「ホノオを待たないのか?」

「今日は全て火の国だから、あっちで待っているってメモが書いてあるよ」

 

 頷いたセイさんがクマちゃんをヒョウキ様の机の上にそっと下ろす。


「頑張って来い」

「モキュ。セイしゃんも気を付けてなのキュ」

「ああ。行って来る」

 

 シン様もクマちゃんの頭を撫でて行ってしまった。寂しそうなクマちゃんをヒョウキ様が抱っこする。


「クマはここで俺と一緒に過ごそうな。ニコとヴァンは暫く走り回って貰う事になる。昼も時間通りにはいかないかもしれない」

 

 大量の書類とリストを渡される。うわぁ……。時間指定に特級に最重要だらけだ。


「鞄に入りきらないだろうから、重要度が低いのは置いていけ。俺が預かっておく。早速、仕分けを頼むな」

 

 戸惑っている場合じゃない。急いで仕分けて付箋などを貼っていく。時間指定が厳しいなぁ。取り敢えず走るしかないか。


「ヒョウキ様、これをお願いします。行って来ます」

「おう、頼むな」

 

 ヴァンちゃんが手を振って凄い勢いで駆けて行く。よし、僕も急がなきゃ。


「これをお願いします。クマちゃん、また後で」

「いってらっしゃいキュ」

 

 ヒョウキ様に「頑張れ」と応援されながら執務室を走り出る。まずは闇の国だ!


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「クマちゃん、お待たせ」

「モモしゃん! 来てくれて、ありがとキュ」

 

 ざわつく周囲を無視してクマちゃんの元に向かう。私の姿を見付けて嬉しそうな顔をしてくれた事で胸が温かくなる。

 

 踏み潰されないように係員が肩に乗せてあげている。私もやりたいな。


「クマちゃん、おいで。君、ありがとうね」

「いえ。どちらに向かわれますか?」

「土の国にお願い出来るかな」

「畏まりました。魔法陣へお願い致します」

 

 クマちゃんをしっかりと抱っこして係員に頷く。


「では、いってらっしゃいませ」



「どのお店に行くかは決まっているの?」

「モキュ。この赤丸をした所に行きたいのキュ」

 

 地図を頼りに歩き出す。やはり、町全体が落ち着かない雰囲気だ。魔法道も混んでいたし、兵の数も多かった。いつも以上に警戒しておこう。


「いらっしゃいませ」

 

 最初の店は三階建ての大きな店舗だった。この店は上質な物を扱っていて値段が高いから、クマちゃんのお店には向かないだろう。すぐに出ようかと思うが、キラキラした目で色とりどりのリボンを見る姿に何も言えなくなる。


「綺麗キュ。これで結んだら素晴らしい事になるのキュ。お値段は……モキャッ⁉」

 

 値段を見て小さな叫びを上げているので、完全に予算オーバーなのだろう。


「ほ、他は……キュミ……高いキュ。恐ろしいお値段キュ」

 

 悲しそうにメモを取っている。その手に握られている可愛らしいペンに思わず笑みがこぼれる。


「どうしたのキュ? 良い物を見付けたのキュ?」

「違うよ。そのペンが可愛くてね」

「いいでキュ? 『流星雨』で作って貰ったのキュ」

 

 こちらに声を掛けようとしていた店員が、店の名前を聞いて転びそうになっている。私も驚き過ぎて反応が遅れた。


「……あの人が作ってくれたの?」

「モモしゃんも作って貰ったのキュ?」

「無理だよ。人気があり過ぎて予約すらさせて貰えないもの。それに、物凄く頑固で変わり者と言われているよ。追い出されたお客さんがいっぱい居るのだって」

 

 聞き耳を立てている店員が深々と頷いている。彼も追い出されたのだろうか?


「そうなのキュ? 凄く良い人だったキュよ。どのお店にも使えそうな物が無くて、オーダーメイドも断られて困り果てていた時に、偶然見つけて入ってみたのキュ。そしたら、是非作らせてくれって逆に頼まれたのキュ。いいと言うまで手を握って離してくれなかった熱い人なのキュ」

 

 店員の顎が外れそうだ。作らせてくれと言われるなんて、クマちゃん以外には有り得ないのではないだろうか。


「そうだったの。良いペンが手に入って良かったね。――最初の場所に戻って来たね。他の階にも行ってみる?」


「止めておくキュ。見る分には楽しいでキュけど、完全に予算オーバーなのキュ」


「じゃあ、次のお店に行こうか」

 

 店員がガクッと項垂れているが見なかった事にしよう。


ニコちゃん達は大忙しですね。頑張るんだよ~。

流星雨は超有名なペンのお店です。クマちゃんはそうと知らずに作って貰いました。

最初のお店は予算オーバーでしたね。話すのを楽しみにしていた店員さん、ガックリです。


次話は、お昼を調達します。


暫くモモ視点でお話が進みます。

お読み頂きありがとうございました。

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