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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0165.うひょひょさん捕まる

「マンリョウ、無意識なのか? 菓子がもうすぐ無くなるぞ」

「おっと、また、やってしまった。すまんの、儂の分は下げておくれ」

「はい、旦那様」

 

 下げられていくお菓子を目で追っている。その気持ち良く分かります。


「それじゃあ、なかなか痩せないだろ。少しは痩せたと言っていたが、どうやって痩せたんだ?」


「頑張って運動しているに決まっているではありませんか」

 

 ダーク様の疑わしそうな視線にポンポコさんが頬を膨らませる。


「では、アキラに聞いてみて下され。一緒に走ってくれているのですぞ」

「ふーん。アキラ、マンリョウと一緒に走っているのか?」

「えっ?」

 

 集中していたのか、クマちゃんと共にぽかんとしている。


「あー、悪い。マンリョウと一緒に走っているのか聞きたかっただけだ」

「はい。走るというより早歩き、でしょうか。庭を一緒に回っています」

「どうですかな? 儂は嘘を申してはおりませんぞ」

「アキラ、済まなかったな。――その割に見事な腹だな」

 

 確かに見事なお腹だ。叩いたら良い音が鳴りそう。


「ふんっ。ほっといて下され。ニコ達もクマちゃんの花屋さんを手伝うのかのぉ?」


「なるべくお手伝いしてあげたいのですが、メインのお仕事の方もあるので」

「ふむ。クマちゃんは人を雇うのかのぉ?」

「一人は雇うみたいですよ」

 

 ポンポコさんが頷いたタイミングでクマちゃん達が戻って来た。


「終わったようだのぉ。クマちゃんも自分の目で幾つかの店を見てみるといい。それと、儂の方で見積もり依頼を纏めて出しておこう。一週間後の同じ時間にまたおいで」


「ありがとキュ。お世話になりますキュ」


「気にせんでおくれ。儂はこういう事をするのが大好きでのぉ。ワクワクしておるわ。ほっほっほ」

 

 朗らかに笑うポンポコさんの姿を見てクマちゃんが肩の力を抜く。


「帰りも家の馬車に乗って行くといい。ダーク様はどうされますかな?」

「俺も一緒に乗って行く」

「では、門までお送り致しましょう」

 

 ポンポコさんとアキラさんに見送られて、お屋敷を後にする。お城に戻ったらお昼を食べて配達だ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 フォレスト様に書類をお届けして、城の門へと走って行く。あれ? うひょひょさんだ! 近寄ろうとしてハッとする。あれは罪人用の馬車だ。これは大変だと急いで走り執務室に飛び込む。


「大変だよ、ヴァンちゃん! うひょひょさんが捕まっちゃったよ!」

「何っ⁉ 高笑いが二度と聞けないという事か⁉」

「そうなんだよ! どうしよう~、もう一度聞きたかった~」

「お前達、嘆くポイントはそこなのか?」

「それ以外に何が?」

 

 ヴァンちゃんも頷いている。


「時々、お前達って冷たいよな……」

 

 そうかな? とヴァンちゃんと顔を見合わせる。


「あの方と仲良しの方が困った事態になってしまいますよ。おやつをどうぞ」

「わーい、ありがとうございます。プリンだ~。んふふふ♪」

「……うまい。はむっ」

「わー、ひでぇ。もう記憶の彼方になった」

 

 聞けないのならプリンの方が勝つのだ。卵が濃くてカラメルがほろ苦くておいしい。だーっ、至福だ。


「他の奴らは?」

「この後に纏めて運ばれて来ますよ」

「了解。ロウが受け持つのか?」

「はい。後で報告書を提出しますね」

「ああ。俺もプリンを食べようっと」

 

 幸せそうな顔でプリンを頬張るヒョウキ様を見てから、ミナモ様に質問してみる。


「どんな悪い事をしちゃったんですか?」

「土地を違法な値段で売買したからですよ」

 

 成人したら土地を貰えるくらいの知識しかない。ヴァンちゃんは興味が無いのか、器の内側にくっついたプリンをスプーンで綺麗に掬い集めて食べている。おぉ、器がピッカピカになった。一緒に目を奪われていたミナモ様が話しを再開する。


「国の土地は全て同じ値段なのですよ。違うのは上にある建物の値段だけです」

「えっ! そうなんですか?」

「これは……困りましたね。ヒョウキ様、やはり周知徹底が必要のようです」

「そうだな。国民全員に知って貰わないと同じ被害が出る可能性があるな」

 

 お二人共、深刻そうだ。僕が無知で呆れてしまったのだろうか。


「あの、すみません……」

「ニコちゃん、謝る事はありません。お二人共、私と少しお勉強をしましょうか」

「はい、ミナモ先生」

「先生、お願いします」

「ふふっ。なんだか照れてしまいますね」


「はーい、ミナモ先生、俺もお願いします」

「こんな可愛くない生徒はいりません。さようなら」

「いいじゃんか、混ぜろよ。先生役でもいいからさ」

「しょうがないですね。お静かにお願いしますよ」

 

 力関係が逆転している。やっぱりミナモ様の方が強いのだ。


ニコ&ヴァンちゃん、あっさりです。高笑い以外に興味など無いっ! ですね。

ヨーグルトとかアイスも器ピッカピッカを目指すヴァンちゃんです。

舐めた方が早いなぁ。でも、お行儀悪いしなと思いながら掬ってます。


次話は、ミナモ先生とお勉強です。


お読み頂きありがとうございました。

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