表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
163/390

0162.淡泊?

今日のお話は、マンリョウ→ニコちゃん視点です。

「――ん?」

「――目覚めたか。気分はどうだ?」

「問題ありませんわい。それよりも、シン―――、っ⁉」

「言葉が出ないか?」

「一体どうなって……」

 

 話せないのなら紙に書けばよい。筆を手に取っても自分の意思とは裏腹に全く動かない。


「それは……呪いのようなものだと思ってくれ。あいつの真実を言葉にしたり、書こうとするとそうなる。普通に話は出来るぞ」


 試しに見た目などを言ってみるが問題なく喋れる。一気に抗う気力が消え失せた。無駄な事はしない主義だ。


「納得したようだな。どうする? クマには断りを入れるか?」


「何をおっしゃいますやら。儂の楽しみを奪わんで頂きたい。きっと繁盛しますぞ。楽しみで仕方ありませんわい」


「お前は本当に変な奴だな」


「儂がほんの少し背中を押してやる事で才能が花開く。次々と起こって行く連鎖が楽しくて止められなくなりますぞ。ダーク様も試してみれば支援などをする楽しみが分かりますわい」

 

 返事をすることなく苦笑して立ち上がり、じっと見下ろしてくる。


「俺も一つ言っておく。あの子達は俺のお気に入りだ。この先は言わずとも分かるな?」

 

 気安く付き合ってくれるので時々忘れそうになるが、この方は常に儂を測っている。不合格になった途端、何も言わずにバッサリと切り捨てるだろう。


「全く恐ろしい方々ばかりですわい。もう少し年寄りを労わって欲しいものですのぉ」


「そんなにツヤツヤしている奴が何を言っているんだか。俺はもう帰るぞ。邪魔したな」

 

 見送る言葉を言う前に魔法で消えてしまった。流石に今日は疲れた。早めに寝るとしよう。どうか、良い夢が訪れますように……。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 シン様が中々帰って来ないので、ミナモ様に『先に帰ります』との伝言を託し、セイさんに連れられて家に帰る。


「先に風呂へ入るか?」

「ご飯を作りませんか? シン様がもっと遅くなるかもしれませんし」

「そうだな、冷蔵庫を見てみるか。クマは花の世話をしてくるといい」

 

 クマちゃんを見送ってから覗き込んでみると、お肉とキャベツが入っている。お野菜は畑で採ってこないと駄目かな。


「大根と人参発見」

「ヴァンちゃん、凄い! どこにあったの?」

「外の籠に入っていた」

 

 セイさんがメニューを考えているのか、難しい顔をしている。


「肉野菜炒めと大根サラダと卵を貰ってきてスープを作る。どうだ?」

「良いと思います。ご飯はありましたっけ?」

「空っぽだから炊かないと駄目だな」

「じゃあ、俺がお米を研いでくる」

「僕は卵を貰って来ます」

 

 全員で頷き各々の作業に向かう。戻って来るとセイさんは魔法でかまどに火を点け、お米を炊く準備をしている。僕は大根を切ろう。ヴァンちゃんがキャベツをザクザクと切っている横で千切りにしていく。

 

 離れても大丈夫になったのか、セイさんが人参とお肉を素早く切って炒め始める。


「ヴァン、キャベツを入れてくれ」

「了解」

 

 なかなか息が合っているようだ。僕はひたすら大根と格闘する。


「ただいま~」

「あっ、シン様、お帰りなさい」

「皆ごめんね。夕飯の準備をしてくれて、ありがとう。コロッケを買ってきたから一緒に食べようね。残りは僕がやるからお風呂に入っておいで」

 

 お言葉に甘えてお風呂に入り、ぽかぽかになって戻って来ると、美味しそうなご飯が出来上がっていた。

 

 野菜炒めにはピーマンが加えられて、より色鮮やかになり、卵スープには海苔と三つ葉が加えられている。


「ニコちゃん、サラダはホタテと水菜と人参を追加してマヨネーズで和えてみたんだけど、これで良かった?」


「はい、とっても美味しそうです。僕は大根とマヨネーズだけのつもりでした」

「真っ白は悲しい」

 

 ヴァンちゃんがポツリと呟く。えっ⁉ ヴァンちゃん達も僕と同じ考えなのかと思っていたのに……。


「セイさんはどんなのを想像していたんですか?」

「俺か? キュウリとミニトマトを畑で採って来て加えるつもりだったが」

「ニコちゃんて意外と淡泊でキュよね」

「マヨネーズは濃厚ですよね?」

「いや、マヨネーズの事じゃ……」

「違うんですか⁉」

 

 セイさんの言葉に驚いて見回すと全員が首を横に振った。クマちゃんが「天然キュ」と言うと、また一斉に頷く。解せぬ。難しい顔をしていたらしくシン様に眉間を撫でられる。


「彩りが鮮やかな方が美味しそうに見えるでしょう? 緑、黄、赤、白、黒を使うといいらしいよ。それに、色々なお野菜を育てているから食べて欲しいな」

 

 勢いよく頷くとシン様がニッコリと笑って頭を撫でてくれる。


「それじゃあ、冷めないうちに食べようか。いただきます」

 

 皆で協力して作り上げた夕御飯はとてもおいしかった。サックサックのじゃがいもコロッケもしっかりとお腹に納めた。はふぅ、満足満足。


マンリョウは肝が据わっていますね。付き合い続ける事を選びました。

ヴァンちゃんの方があっさりしてそうですが、実はニコちゃんの方があっさりです。

自分が淡泊だという事に気付いていないので、クマちゃんの発言にも「?」です。


次話は、ヴァンちゃんのお腹が凄い事に……。


お読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ