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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0159.魔物退治には行かない

「ヴァンちゃん、ニコちゃん、今日はご協力ありがとうございました。無事にお城見学は終了しました。お二人は、お仕事どうでしたか?」


「俺は問題ありません」


「僕は一つ連絡があります。桃の国への書類を僕達が配達に行った時は、全て宰相のモモ様が受け取るそうです」

 

 ミナモ様が不思議そうに瞬いている。


「何故、そのような事に?」


「お休みで遊びに行った時に会ったんです。モフモフ好きのようで、僕達を気に入ってくれたようです」


「ああ、成程。あの方は好き嫌いがはっきりしているので相当気に入ったのでしょう。届けに行った官吏が怯えて帰って来る事が多いので、お二人に優先的に書類を回してもよろしいですか?」

 

 ヴァンちゃんと一緒に頷くとホッとしたように笑ってくれた。きっと、今まで気を遣ってくれていたのだろう。僕達でお役に立てるのなら何よりである。苦手な人の所に行くのは辛いもんね。


「モモ……。あー、思い出した。色気がダダ漏れで凄く冷たい目をしていた奴だ。確か悪い噂が沢山あったよな」


「冷たい目ですか? 凄く優しいお顔立ちでしたけど。ね、ヴァンちゃん」


「うむ。ずっとニコニコしていた。それと、噂はほとんど嘘だって教えて貰った。わざと残しているものもあるらしい」


「俺が知っているのとは別人か?」


「いいえ、モモさんで間違いないと思いますよ。あの方は人嫌いですから、ニコちゃん達に対する反応の方が大変珍しいのです」

 

 僕たちへの対応は通常じゃないのか。モモ様に本気で冷たくされたら泣く自信があるので、是非とも良好な関係を築き上げたいと思う。


「ただいま」

 

 シン様達が帰って来た。ん? 何か良い匂いがする。何だろうとクンクン嗅いでいると、シン様がニッコリと袋を差し出してくれる。


「これの匂いかな?」

「あっ、これです! 香ばしい匂いがします」

「ほうじ茶だよ。僕も香りにつられて思わず買っちゃったよ」

 

 ヴァンちゃんが袋を抱き締めて離さない。どんだけ気に入ったの、ヴァンちゃん。


「ヒョウキ、ちょっといいか? 俺は明日から魔物退治には行かない」

「えっ、困るって! なんとか考え直して欲しいんだけど」

 

 女性に押し倒されたのが相当嫌だったのだろうと見つめていると、ヴァンちゃんも僕の横に来て心配そうに見ている。


「代わりにホノオに入って貰ってくれ」

「えー、すげぇ不安」

「セイが居るから大丈夫だろう。それとも他に当てがあるのか?」

「ないけどさ。何か嫌な事でもあったのか?」

「あったぞ。だが、教えてやらん。口に出すのも嫌だ」

 

 強い拒否にヒョウキ様がびっくりしている。


「ダーク様、私で良ければいつでもお話を伺いますので、遠慮なくおっしゃって下さい。話す事で少しでも心が軽くなるかもしれません」


「すまんな、ミナモ。だが、休む事とは関係ないぞ。国で片付けなければいけない事が幾つかあってな。終わり次第、魔物退治に参加するから安心してくれ」


「なーんだ、良かった。もう来てくれないのかと思った」

 

 本当はそうしたいのだろうけど、ダーク様って結構真面目なんだよね。それに、カハルちゃんの為にという思いが強そう。


 ヴァンちゃんが安心したのかお茶の袋ごとダーク様の足にボスッと抱き付く。


「どうした? 心配をかけたのなら済まない。――ヴァンにもお茶のいい匂いがついたな」

 

 抱き上げられたヴァンちゃんが誇らしげに袋を両手で掲げる。完全に虜だ。


「みんな、もう居るでキュ。……なんか良い匂いがするでキュ」

 

 帰って来たクマちゃんがウロウロしながら匂いを嗅いで辿っていく。


「シンしゃんもいい匂いがするでキュ」

「ふふっ。さぁ、匂いの元は何処かな?」

 

 こっちかなぁ? とクマちゃんが歩き僕の所に来た。


「匂いが強くなったでキュ。持っていないキュ?」

「はい。あともう少しですよ」

 

 モキュモキュと頷きながらダーク様の足元に辿り着く。


「この辺だと思うキュ。――ないキュ……」

 

 見回しているクマちゃんの目線の高さには入っていない。上ですよ~。目線を上げて下さ~いと心の中で応援する。


 ヴァンちゃんが袋を抱え直してカサリと音がする。弾かれたように顔を上げたクマちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねる。


「あったでキュ! あれでキュ!」

 

 ヒョウキ様がその様子に破顔しながら、抜け目なく記録用の水晶で撮影している。後で映像を貰えるように頼んでみよう。


 床に下ろして貰ったヴァンちゃんがクマちゃんと一緒に匂いを深く吸い込んでいる。僕も混ざってこよう。


「すーはー」

「キュミー」

 

 初めて嗅ぐ匂いだ。お茶と言っていたけど、紅茶や緑茶とも全然違う香ばしい匂い。満足したクマちゃんが僕をじっと見る。


「どうかしましたか?」

「包材を扱っているお店リストを産業部の部長さんに貰ったのキュ。ニコちゃん、知っているお店があるでキュか?」

 

 リストを見てみたが、仕事を受けた事がある店はなさそうだ。


「ヴァンちゃんも見てみて」

 

 無かったようで残念そうに首を横に振る。


「ミルンさんに聞いてみましょうか。知っているお店があるかもしれません」

「だったら、顔が広い商人を紹介してやろうか? 白族は土の国とは関わりが薄いだろ」

 

 ダーク様の提案に頷く。そちらの方が後々必要な物や相談事がある時に尋ねやすい。


あの事件は一緒にお風呂に入ったニコちゃん達以外には秘密です。

モフモフ上書きして貰いましたからね~。

ほうじ茶を煎っている時って、本当にいい匂いで遠くまで届きますよね。作者もついフラフラと買いに行ってしまいます。

クマちゃんがクンクンしながらウロウロです。踏み潰さないように全員その場でじっとしてます。


次話は、商人さんとご挨拶です。


お読み頂きありがとうございました。

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