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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0157.魔国の城の食堂

 お昼♪ お昼♪ おっと、こっちじゃなかった。今日は食堂に行くんだった。人の流れに乗って食堂へと足を踏み入れる。


 天井が高くて明るい開放的な空間に木の机と長椅子が置かれ、半分くらい席が埋まっている。この後もまだまだ来るのかな? 中に進んで行くと厨房で忙しそうに働いている料理人さん達がよく見える。いい匂いだ~。


 配膳カウンターで受け取ればいいのかな? 席はどこにしよう?


「ニコ、こっち。席を取っといた」

 

 初めての食堂でキョロキョロしているとヴァンちゃんに呼ばれる。ん? 何だかこの席は特等席みたいな感じがする。厨房横のスペースに、丸テーブルと高い椅子が二脚置かれている。


「ヴァンちゃん、他の席と違うよ。座っていい所なの?」

「うむ。料理長さんの指示」

 

 だったら安心だ。城で長く働いている人は、いつも座っている席があったりするもんね。


「ニコちゃん、お帰り。小さいテーブルですまないね。ここは調理人達が使っている席でね。椅子の高さを調節出来るのがここしか無かったんだよ」


「お気になさらないで下さい。僕達にはちょうどいい広さですよ。あの、手は何処で洗えばいいのでしょうか?」

 

 ヴァンちゃんが指さす方を見るとすぐ近くにあった。おぅ、恥ずかしい。


「はははっ、大丈夫だよ。台を用意するから少し待ってくれるかい?」

 

 料理長さんが台の上に乗せてくれる。隅々まで綺麗に~、バッシャバシャ♪ 泡を洗い流してハッとする。乾かす為の魔法石はリュックの中だった。ハンカチで拭くか……。


「これを使うかい? 私の物で良かったら、どうぞ」

「ありがとうございます!」

 

 同じ獣族の料理長さんは僕が何を欲しているかお見通しだ。


「魔法石を執務室に置いて来てしまったので、とても助かりました」

「急遽こちらになったからね。困る事があったら私の所においで」

「はい」

 

 机に戻ると既にご飯のプレートが置かれている。


「あっ、エビフライだ! ハンバーグもある! えっ、プリンも⁉ ヴァンちゃん、凄いねぇ」


「うむ、豪華。いただきます」

「いただきまーす」

 

 フォークでグサッとタルタルソースがたっぷり掛かったエビフライを刺す。あーむっ。――おぉ、プリップリのサックサックだ。一口で止めるつもりが止まらなくなり一気に食べてしまった。でも、まだまだ美味しそうなものが満載だ。次はどれにしようかな~?


「ニコ、芋フライやる」

「えっ、いいの⁉ じゃあ、ウインナーあげる」

「やった」

 

 それぞれの好物をトレードだ。お芋おいしい。


「どうかな? お口に合ったかい?」

「料理長さん! 物凄く豪華で夢のようなプレートですよ!」

「はははっ、そこまで喜んで貰えるなら私も作った甲斐があるよ」


「料理長はミナモ様に君達がここに来ると聞いてから、ずーっとそわそわしていたんだよ。お昼も特別製」


「こらっ、シーッ」

 

 特別に作ってくれたんだ。嬉しくて頬が緩む。


「いつもヒョウキ様からいい食べっぷりだって聞いて、見られないのを悔しがっていましたもんね。俺も見たいと思っていたから、来て貰えて嬉しいよ」

 

 ヴァンちゃんが照れたのかハンバーグにガブッと齧り付く。あー、口の周りがソースまみれになってしまった。いつもの事だからいいか。僕もハンバーグを食べちゃうぞー。


 気付くと料理人さん達が厨房の端に群がり、僕達の食事風景をじっと見ている。えっ、マナーチェックですか⁉ 動揺する僕にヴァンちゃんが首を傾げる。


「玉ねぎあった?」


「違うよ、ヴァンちゃん。料理人さん達がじーっと見ているんだよ。何か悪い事をしちゃったのかな?」


「違うと思うぞ。顔が嬉しそう」

 

 ホッとして逆に観察してみる。もしや、あの手に持っているのは記録用の水晶では?


「無断撮影?」

「そうだな。でも、悪用するつもりは無いみたいだぞ」

 

 耳を澄ませてみると――。


「ああ、俺が作った芋フライを嬉しそうに頬張っている! その映像をくれ」

「あ、俺はタルタルソースをくっつけたニコちゃんを頼む!」

「チキンライスはまだ手を付けていないのか⁉ 嫌いだったらどうしよ~」

 

 自分が作った料理を食べている映像が欲しいらしい。今後の料理研究の参考になるのだろうか? 特に害は無さそうだからいいか。チキンライスを食べよーっと。


「ああっー、食べた! ひゃっほーーーい!」

 

 歓喜の叫びが聞こえるけど気にしない。うまうま……もぐもぐ。



 口の周りも綺麗に洗ったから、そろそろ午後の配達に行こう。だが、食堂を出てすぐの所で呼び止められる。


「ニコちゃん、待って下さい」

「あれ、ミナモ様? どうされましたか?」

「すみません。急遽この書類を桃の国に配達して貰えますか」

「はい。では、最優先で配達してきますね」

「よろしくお願いします。お気を付けて」

 

 急いで戻って行くミナモ様を見送り、魔法道へと向かう。


「すみません。桃の国へお願いします」

「はいよー。初かな?」


「お仕事で行くのは初ですよー。この前のお休みに遊びに行きました。おいしい国です」


「はははっ。感想は美味しいなんだ。さては花より団子だな?」

「その通りです。ビバ食べ物。では、よろしくお願いします」

「はははっ。いってらっしゃい」


獣族は毛を乾かす魔石が必須です。

料理人達はメイドさんなどから食事風景を聞いていて、ずっと見たかったので大興奮です。

記録した映像は、休み時間にニマニマしながら見て癒されています。


次話は、モモに再会します。


お読み頂きありがとうございました。

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