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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0152.モフモフ上書き

 ダーク様もセイさんほどではないけど筋肉質だ。肌が綺麗で白いのは、闇の国がいつも薄暗い所為かも。そういえば一緒にお風呂に入るのは初めてだったけ?


 湯船に運ばれて行く途中でヴァンちゃんがダーク様の腹筋をポシポシと叩いている。


「こら、くすぐったいぞ。それにしてもフワフワだな。服なんて着なくてもいいんじゃないのか?」


「ダーク様、セクハラですよ!」

「また、お前は人聞きの悪い事を。くすぐりの刑だ」

 

 ヴァンちゃんとクマちゃんを床に降ろしたダーク様が、お腹と足裏をくすぐって来る。


「うきゃーっ‼ クマちゃん、助けて~」

 

 ダーク様に飛び付こうとしたクマちゃんをヴァンちゃんがさっと抱っこする。


「弾き飛ばされたら大変。ほっとく」

「いいのキュ?」

「ん。満足したら解放される」

 

 ヴァンちゃん、酷いよぉ(泣)。心の中で泣いているとダーク様に可哀想な子を見る目で見られた。


「不憫だから止めてやろう」

 

 うぅ、敵に同情された……。ガックリした僕を小脇に抱えてダーク様がスタスタと歩いて行く。


「どこにする? 真ん中でいいか?」

「はい。僕達は先に体を洗っちゃいますね」

 

 お互いに洗いっこをして泡まみれになる。これでバッチリかな?


「ニコ、こっちに来い。洗い残しがある」

 

 ダーク様に呼ばれて、わしゃわしゃとお尻の辺りを洗われる。もう洗い残しはないかな? もう一度、シッポも洗っておこう。


「よし、流すぞ。お前達もこっちに来い」

 

 三人で仲良く泡を流される。あ~、さっぱりした。


「僕がダーク様のお背中を流しましょうか?」

「気持ちだけ貰っておく。また、泡まみれになったら大変だぞ」

 

 頭をポンポンとしてから湯船に入れてくれる。気持ちいいなぁ……。クマちゃんが仰向けでお湯に浮かんでいる。お腹をつついてもいいだろうか? 同じ気持ちなのか、ヴァンちゃんも手を出したり引っ込めたりしている。


 魔法であっという間に体と髪の毛を洗ったダーク様が僕達を横目に、ニヤリとしてクマちゃんのお腹をツンとつつく。


「――モキュッ⁉」

 

 目を閉じて漂っていたクマちゃんが目をカッと見開く。


「危なかったキュ~。寝てたでキュ」

 

 だったら僕も触れば良かった。そっとだったら大丈夫だったかもしれないのに……。そして、ダーク様がずるい。


 僕とヴァンちゃんにジト目で見られたダーク様が今度は僕達のお腹を見る。自分に魔の手が迫るとは! ガバッとお腹に腕を回してガードする。


「なんだ、触らしてくれないのか? ヴァンはさっき俺の腹を触っただろう」

 

 素直なヴァンちゃんは確かにと腕を外してしまう。これはまずいと片手でヴァンちゃんのお腹を隠す。自分のガードが弱まるが致し方ない。それを見逃すダーク様ではなかった。空いた横腹をつつかれる。


「きゃー! お止めになってぇ~」

「何だ、その悲鳴は……。力が抜けるから止めろ」

 

 苦笑して僕をお腹の上に抱き上げると、お湯の中でホッと一息吐いている。ヴァンちゃんとクマちゃんは湯船の縁に掴まって浮いている。クマちゃんのお尻が可愛い。


「……あれ? シッポがない⁉」

「モキュ? どうしたでキュか? クマは元々ないでキュよ」

 

 そう言ってお尻をフリフリしている。土の国の産業部部長さんが居たら、お湯が真っ赤に染まった事だろう。


「ぬいぐるみの時も無い?」

「そうでキュ。こっちに来たら生えるかと思ったでキュけど、期待は裏切られたでキュ」

 

 クマちゃんが羨ましそうにヴァンちゃんのシッポを見ている。


「クマはそのままで十分に可愛いぞ。自信を持て」

「あそこにタラシが……タラシが居るでキュ。みんな気を付けるでキュよ!」

 

 クマちゃんが叫ぶと、ダーク様が何かを思い出したのか眉根を寄せる。


「そういえば、お風呂でお話してくれるとおっしゃいましたよね。何があったのですか?」


「魔物退治をしに行った家の女性に押し倒されたんだよ。俺が誘惑したのが悪いとか言ってな。頭に来たから首根っこを掴んで放り投げてやろうかと思った」

 

 静寂が落ちる。何て命知らずな人なのか……。僕は断言出来る。ダーク様は絶対に誘惑などしない。女性嫌いなダーク様が自分から触れる女性はカハルちゃんだけだ。


「何で誘惑と勘違いしたでキュか?」


「目線がとか言っていたな。しつこく近寄ってこようとするから睨んでいただけなんだがな。よろめいたから、しょうがなく手を差し出したら、わざとだったようで力強く引き寄せられてな。その後は、がっちり抱き付いて来たから引き剥がすのが大変だった。何であんなに力強いんだ?」

 

 ダーク様が遠い目をしている。何とも不憫な……。カハルちゃんが居れば最大の癒しになっただろうけど、残念ながら此処には僕達しか居ない。


 クマちゃんがパシャパシャと泳いで行くとダーク様にひっつく。


「モフモフ上書きでキュ。ヴァンちゃんも来るでキュ」

 

 三人でギューッと抱き付く。不快感よ、薄れろー!


「……ありがとうな。可愛い奴らめ」

 

 頭をわしゃわしゃと撫でられる。んふふふ。少しは元気が出たかな?


「そろそろ出るか。元気になれる食べ物が待っているしな」


ニコちゃんが衝撃を受けています。そう、クマちゃんにはシッポがないんです!

シッポ愛好家もきっとショックを受けていますね(笑)。

ダークは優しいので手を差し出してしまいましたが、敵はその瞬間を待っていた! もう離しません。

はたから見ていたらコントみたいですが、触られるの大嫌いなダークには拷問のようです。


次話は、鰻を食べますよ~。ダーク、元気になれ~。


お読み頂きありがとうございました。

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