表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
147/390

0146.食感重視

「この辺りにあるのがフォルタルですよ。どうぞ、手に取ってみて下さい」

 

 前に聞いていた通り、フォルタルがゴロゴロと転がっているのか柑橘系の匂いが漂っている。ヴァンちゃんが嬉しそうに銀色の小さな欠片を拾い上げて、クンクンと匂いを嗅いだ後に首を傾げている。


「それはフォルタルに似ていますが、違う金属ですよ。こちらのもう少し黒い物を嗅いでみて下さい」

 

 今度はちゃんと匂いがするようで何度もクンクンと嗅いでいる。僕も嗅いでこよう。クマちゃんと共にウロウロと黒がかった銀色の金属を探す。そんな僕達の前に、コソッと岩陰に隠れているフレアさんが金属を差し出してくれる。


「これ、良いやつだから匂いが濃いよ」

 

 ヒソヒソと喋るので僕達も小声で感謝を伝える。その時、影が落ちたように暗くなった。岩石が飛んできたのかと慌てて振り返ると、黄色い鱗のドラゴンさんが僕達を見下ろしている。思わずクマちゃんと抱き合うとフェイさんが来てくれた。


「こら、驚かせるな。この子達と遊びたいのだろうが、踏み潰してしまうぞ。人型になれるまではフレアと遊んで貰え。ほら、行っておいで」


「えっ、ちょ、待っ、え~~~!」

 

 残念そうに僕達を見ながら、戸惑うフレアさんの襟首を銜えてノシノシと歩いて行く。はぁ~、びっくりした。


「申し訳ありません。まだ幼い子なので好奇心旺盛なのです」

「あんなに大きいのに子供なのキュ? 三メートル位はあったキュよ」

「まだまだ大きくなりますよ。おや、それは良質なフォルタルですね。ヴァンちゃん、こちらに良い物がありますよ」

 

 呼ばれたヴァンちゃんが嬉しそうに駆けて来る。あんなにはしゃいでいるヴァンちゃんは珍しい。


「どれが良いやつ?」

「赤い光がキラリと見える物が良質なのですよ。クマちゃんが持っているので見せて貰いましょう」

 

 フレアさんがくれた物をヴァンちゃんが角度を変えながら、まじまじと見て匂いを嗅ぐ。


「おぉ、凄く匂いが濃い」

「ヴァンちゃん、嬉しそうだね。フェイ、お金を払うから少し分けてくれない?」


「お金ではなく、この前のように水晶を分けて頂けませんか? 上質な物でなくて構いません。水晶を好んで食べる者が居るので、そちらの方が助かります」


「うん。僕の鉱山から沢山持って来てあげるよ」

 

 へぇ、ドラゴンさんは水晶を食べるのか。恐ろしい食費になりそうだ。


「ニコちゃん、毎食ではありませんよ。嗜好品と考えて頂ければよいかと。ここにも水晶はあるのですが、シン様に頂く物の方が美味しいそうです」


「味に違いがあるんですか?」


「そうですね。後は食感でしょうか。私は水晶よりもリンゴのシャクシャクとした食感の方が好きですが」


「食感重視キュ?」

「はい。噛み応えのある鉱物が好きな者が多いですよ」

 

 ヴァンちゃんは興味深そうに聞いた後、ポケットから飴を取り出している。


「これ、食感いいかも。沢庵もお薦め」

 

 シン様が沢庵で噴き出した。ヴァンちゃんの沢庵好きが止まらない。


「飴ですか? では、ありがたく頂戴します」

 

 ポンと口に放り込むとガリガリと豪快に噛み砕いている。どうかな? 気に入ったかな?


「――御馳走様です。美味しいですが歯にくっついてしまいますね。今度、沢庵も試してみます」

 

 食感を楽しむ為には噛む事になるから、満足する量を食べたら歯が飴だらけになってしまうもんね。隣ではヴァンちゃんが「試してみます」という言葉に深く頷いている。沢庵好きがもう一人増えるかもしれない。


「沢庵に群がるドラゴン……」

 

 僕の呟きに、笑いを漸く収めたシン様が再度噴き出す。あ、想像しちゃいました? どうも、すみません。


 何とか笑いの発作を収めたシン様がフォルタルを拾う。僕もお手伝いしよう。


「――うん、これくらいあればいいでしょ。ありがとうね、フェイ。近々、水晶を持って来るから」


「はい、お待ちしております。お帰りになられますか?」

「そうだね、お昼にしないと。今日は外食にしようかな。フェイも行く?」

「今日は他にも噴火しそうな山があるので止めておきます」

「じゃあ、また今度ね。皆、ご飯に行くからおいで」

 

 ようやく黄色のドラゴンさんから解放されたフレアさんが慌てて駆け寄って来る。


「帰っちゃうの⁉ 全然遊んでないのに~。もっと居なよ」

 

 随分と寂しそうだけど、ドラゴンさん以外の種族に飢えているのだろうか?


「一緒にお昼ご飯を食べますか?」

「うん! 連れて――」

「はい、捕獲。楽しい仕事が待っているぞ。キリキリ働け」

 

 突然現れた複数のお仲間さん? に担ぎ上げられて運ばれて行く。


「俺の楽しい昼ご飯が! 離してぇぇぇーーーっ」

 

 叫びも虚しく運ばれて行くのを全員が無言で見送る。見えなくなった所で、シン様がいい笑顔で振り向く。


「さぁ、行こうか。フェイ、またね」

「はい、お気を付けて」


ドラゴンさんは石をボリボリです。普段は魔力を取り込んで生きているので、たまの楽しみですね。

フレアさん、ちゃんとお仕事しましょうね。頑張るんだよ~。


次話は、美人さんとご飯です。


お読み頂きありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ