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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0142.クマちゃんのお土産

 午後からは僕も配達に加わり各国を回る。心配だった土の国の産業部の部長さんは見事に復活してバリバリ仕事をしていた。元気そうで何よりだ。

 

 おやつの時間は本当にメイド長さんが来てくれた。クマちゃんが買ってくれたお土産を皆で食べる。


「このレーズンサンドは美味しいですね」

「だな。酒が効いていてうまいな」

 

 ミナモ様とヒョウキ様はレーズンサンドが気にいったようだ。僕達は酔っぱらわないか心配されて、ちょびっとしか齧らせて貰えなかった。その分、クッキーを食べる。


「アーモンドうまい」


「そうでしょう。売店のおじさんのお薦めだよ。本当はね、銀行で食べさせて貰ったクッキーを買おうとしたんだけど、売り切れだったんだよ」


「そんなにうまいクッキー?」


「うん。ナッツとチョコが沢山入っているんだよ。支配人さんも好きでよく食べているんだって。そう言えば、不動産屋の話をしていた時に反応が少し変だったなぁ……」


「ニコちゃん、その話を詳しく聞かせて下さい」

「はい、分かりました。――――という感じです」

 

 ミナモ様は何かを考え込みながら僕の話を聞いている。


「……成程。とても良い情報が聞けました。ニコちゃん、ありがとうございます」

 

 あの話の中に何か重要な事があったらしい。おっと、休憩時間終了だ。


「また配達に行って来ますね」

「はい。お気を付けて」

 

 メイド長さんが僕達の口の周りを綺麗に拭いて送り出してくれた。


 おいしいお菓子で元気を補充したので、少し量は多かったけど時間内に配り終える事が出来た。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ニコちゃん、お帰り」

「あれ、シン様は早く終わったんですか?」

「うん。クマちゃんも居るよ」

 

 フォレスト様の所に行っていたクマちゃんが、ダーク様にお土産のナッツを渡している。


「いいのか? 悪いな。大事に食べるからな」

 

 クマちゃんが嬉しそうに頷いている。通りがかったヒョウキ様がお菓子を見て首を傾げている。


「なぁ、レーズンサンドとかもあるぞ」

「ニコちゃんに聞いたのでキュ。ダークしゃんは甘い物が苦手でキュ」

「ああ、そういえば。でも、菓子のコンテストで審査員をやってなかったか?」

「菓子職人たちが逃がしてくれないんだよ。お前が代わりにやってくれ。甘い物が好きだろ」

 

 ダーク様が顔を顰めている。僕なら喜んで審査員するけどなぁ。


「闇の国の行事だから俺にはお誘いが来ないじゃん。ニコだって誘われたら審査員やりたいよな?」

 

 深く頷くとミナモ様が笑って教えてくれる。


「ダーク様は非常に優れた舌をお持ちなのですよ。隠し味まで当て、アドバイスしたお菓子は売れに売れると評判です。今後も他の方が選ばれることはないでしょう」

 

 げんなりした様子のダーク様が帰って行く。それでも毎回付き合ってあげるのだろう。大事な民の為に。


「ただいま戻りました」

「ヴァンちゃん、お帰りなさい」

「頼まれていた資料を借りて来ました」


「すみません、助かります。――成程、予想通りですね。ヒョウキ様、私の読みが当たっていましたよ」


「へぇ、いい度胸してんじゃん。いつ潰す?」

「そうですね……」

 

 ミナモ様がチラッとクマちゃんを見る。えっ、クマちゃんを潰す相談⁉ と、止めなければ!


「ミナモ様、お待ち下さい! クマちゃんはとっても良い子ですよ!」

「えっ?」

 

 驚きで目を丸くするミナモ様を見て僕も目を丸くする。えっ、違うの⁉


「ニコ、違う違う。クマが良い子なのは十分に承知しているから。悪い奴を潰す相談だからな」


「そうだったんですか……。良かった~」

 

 ヒョウキ様が説明してくれた後に、僕をひょいっと抱き上げる。


「最近、気になっている事があったんだけどさ、ニコとクマのお蔭で解決出来そうなんだ」

 

 特に何かした覚えはないけれど、役に立ったならいいか。僕が聞いて良い事なら、そのうち教えてくれるだろう。


ニコちゃんが審査員になったら、全部おいしい! になりそうです。

幸せそうに食べる姿に、料理人さん達がデレデレする集まりになりそうですね。


次話は、うひょひょ笑いの貴族さんが出て来ます。


お読み頂きありがとうございました。

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