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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0129.何歳ですか?

「クマちゃんの今日の予定を教えてくれる?」


「今日は不動産屋さんに行って来るでキュ。お店を出すのに良い所を紹介して貰うでキュ」


「了解。じゃあ、魔国の魔法道から行くといいよ。そこまで連れて行ってあげる」

「シンしゃん、ありがとうでキュ」

「途中まで一緒ですね。嬉しいです」


「ニコちゃん、良い子でキュ。そんな嬉しい事を言ってくれるニコちゃんには、お土産を買ってきてあげるでキュ」


「わーい! あっ、でも、無理はしないで下さいね」

「うむ。無事に帰ってきてくれればいい」

「白ちゃん達、何て良い子達なんでキュか! クマは今、感動しているでキュ~」

 

 実に可愛らしい。抱っこしちゃえ。


「そういえばクマちゃんて何歳ですか?」

「クマでキュか? 十八歳でキュ」

「年上⁉」


「おっ、クマの方がお兄ちゃんでキュか。ニコちゃんとヴァンちゃんは何歳でキュ?」


「僕達は十六歳です。同い年なんですよ」

「そうなのキュか。白族は何歳位から働き始めるでキュか?」


「大体、十三歳位だと思う。俺達は他の子よりも成長が速かったから、十一歳から」


「モキュモキュ。白ちゃん達は優秀だったのキュね。いっぱい努力したんでキュね。偉いでキュ」

 

 その言葉に胸が詰まった。僕達はいつでも、出来て当たり前と言われる事が多い。野生のデラボニアから産まれたのだから成長速度が速くて当然だろうと。僕達が必死に努力して身に付けた物もそうだ。


「ニコちゃん、どうしたでキュ? クマが何か嫌な事を言っちゃったでキュか?」

「違うんです。嬉しかったんです。こんな風に言って下さる方は余りいないので……」

 

 これ以上喋ると泣いてしまいそうだ。深呼吸、深呼吸。


「クマちゃん、ありがとう。俺達は今、泣きそうな程に嬉しい」

 

 ヴァンちゃんがクマちゃんを撫でる。僕も頬ずりしちゃえ。


「キュー! くすぐったいでキュ、ニコちゃん。お返しでキュ。ウリウリウリでキュー」

 

 湿った空気が一気に笑いに変わった。クマちゃんの方がお兄ちゃんというのも納得できる。


「シン様、カハルちゃんは何歳?」

「日本での年齢は二十四歳。こちらは千歳超えているよ」

 

 そうだった。幼く見えるけど長い年月を生きているんだった。


「シン様達の年齢を日本風に数えると何歳ですか?」

「うーん……僕が四十八歳で――」

「えーーーーーっ! 四十八⁉ 本当にですか? 二十代前半にしか見えませんよ⁉」

 

 思わず遮って叫んでしまった。言葉の威力が半端ないです、シン様!


「おや、ありがとう。そんなに高評価で嬉しいよ。カハルの為にも若々しいお父さんでいないとね。えーと、じゃあ、続きね。セイが二十六歳で、ダークが三十歳、ヒョウキが二十五歳、ホノオが十八歳、フォレストは幾つだっけ? うーん……僕と同じだったかな」

 

 全員、若々しいですね……。おじいちゃんになった姿が全く想像できない。ホノオ様は十代だろうなという予想しか当たっていないとは。もっと見る目を磨くべきか?


「っと、話し込み過ぎたね。急いで食べるよ」

 

 おぅ、大変だ。次々とご飯とおかずを口に詰め込む。もぐもぐもぐ……。そんな僕達のパンパンなほっぺを見て、シン様がお味噌汁を噴きそうになっている。――危ない危ない。何とか危機は脱したようだ。


「御馳走さまでキュ」

 

 クマちゃんが一番か。次は僕がフィニッシュを決めてみせる。――もぐっ。


「ごふぃそうはまでふ」

 

 シン様が今度はお茶を噴き出しそうになっている。どうも、すみません。


「御馳走様です」

 

 ヴァンちゃんが静かに完食。よし、食器を運んで歯磨きだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「それじゃあ、行って来るでキュ」


「いってらっしゃい。終わったらヒョウキの執務室においで。帰りはまた一緒に帰ろうね」


「了解でっキュ」

 

 ビシッと敬礼してクマちゃんが魔法道に入って行く。


「「いってらっしゃーい」」

 

 手を振って見送り、僕達は執務室に向かう。


「「おはようございます」」

「おはよう」

 

 ヒョウキ様が机にだらーんと突っ伏したまま片手をひょいっと上げる。大分お疲れの様だ。


「皆さん、おはようございます。ほら、ヒョウキ様、しっかりして下さい」

 

 ミナモ様に注意されると緩慢な動作で椅子に座り直す。そして、僕を見るとちょいちょいと手招いてくる。何だろう?


「ニコ、肩揉んで欲しいなー」

「はい、少しだけなら。――うんしょー」

 

 硬い……。それにしても、ぐったりしているなぁ。


「ヒョウキ様、どうされたんですか? 具合が悪いんですか?」

「徹夜で仕事してたんだよ。しかも、それ見てみ」

「これですか?」

 

 表紙を開くと綺麗な女性が描かれている。


「綺麗な方ですね。この絵がどうされたのですか?」

「見合いだ」

 

 えっ、もしかして机の片隅に似たような物が積み重なっているけど、全部そうなの⁉


「昨日、沢山届きまして。ヒョウキ様もいい年ですし」

「そうだ、今日皆さんの年齢をシン様にお聞きしたんです。二十五歳なんですね」


「おう、今世ではピッチピッチの二十五だ。実際は千歳超えているけどな。ミナモの年は聞いたか?」


「いえ、まだです」

「私は三十歳ですよ」

 

 もう少しお若いのかと思っていた。でも、これだけ落ち着いている人なので三十でもおかしくない。普通ならもっと年齢を重ねなければ到達できなそうだが。


「ニコ、先に行く」

「いってらっしゃーい」

 

 ヒョウキ様がちょぴっとは元気になったようなので、僕もそろそろ行かなきゃ。


「よし! ニコ、見合いを断って来てくれ」


「えーっ、無理ですよぉ。それに、全部ご覧になられたのですか? 気に入る方がいるかもしれないですよ?」


「居る訳ない。どいつもこいつも金と権力に目が眩んだ奴ばかりだ。それにな、俺はカハル一筋なの。分かったか?」

 

 むーん……王様だとそんな縁談がいっぱい来ちゃうのかぁ。カハルちゃんを望んでいるようだけど、可能性は低そうだよね。それに、カハルちゃんを好きな人は多いし、シン様の許可が下りるとは思えない。チラッとシン様を見ると、何の関心もないらしく書類を読んでいる。婿候補としては、ヒョウキ様は取るに足らないらしい。


クマちゃんの方が年上でした。兄貴ー!

シンが結構なお年でした。誰も年齢を当てられない驚異の見た目です。

ヒョウキは王様らしくしている時はカッコイイので女性に人気があります。


次話は、クマちゃんが傷心です。


お読み頂きありがとうございました。

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