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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第三章 クマの花屋
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0123.ばれた!

 今日は早く終わったなぁと考えながら執務室へ到着。ダーク様達は戻って来ているかな? あっ、発見。


「ただいま戻りました」

「お帰りなさい。――はい、お預かりしますね」

 

 腕章などを返却し、シン様の足に抱き付く。


「ニコちゃん、お帰り。ヴァンちゃんは、クマちゃんをフォレストの所に迎えに行ってくれているからね」

 

 だいぶ落ち込んでいる様なので、抱き上げてくれたシン様に頬擦りする。おー、スベスベお肌。非の打ち所がない美人さんだ。


「ふふっ、くすぐったい。ありがとね。今朝、大きくなれて凄く嬉しそうなカハルを知っているから、可哀想でね……」


「そうですよね。でも、もう一度小さなカハルちゃんをお世話出来る楽しみもありますよ。それに、若返れるなんて凄いじゃないですか。全世界の人の憧れですよ」

 

 目を丸くしたシン様が破顔した。あれ? みんな笑っている。おかしな事を言ったかなぁ。


「ニコちゃんは素敵だねぇ。確かにそう考えたら可哀想ではなく、素晴らしいだよね。何だか元気が出てきたよ。ありがとう」

 

 おおぅ、頬擦りし返された。おっと、次はダーク様の高い高いですか? おー、たーのーしぃ♪


「ただいま。――クマちゃん、ニコが羨ましい事をされている」

「でキュね。クマとヴァンちゃんも所望するでキュ」

 

 二人がダーク様の足元で順番待ちをしている。もう少々お待ちを。楽し過ぎる~♪


「俺がやってやろう」

 

 セイさん、良い人だ。見ていると、ヴァンちゃんが天井近くまで飛ばされた。あれは最早、違うものでは? まぁ、いいか。凄く喜んでいるし。


 クマちゃんはシン様の頭の上に乗せて貰い、ご満悦だ。皆、楽しくて何よりである。


「さてと、ニコで癒されたから俺は帰るぞ。またな」

 

 ダーク様が僕の頭を撫でて移動の魔法で消える。


「僕達も帰ろうか。お疲れさま」

「お疲れ様です。明日もよろしくお願いしますね」

「またな~」

 

 ミナモ様と書類に顔を向けたまま手をヒラヒラしているヒョウキ様に見送られて帰る。今日は、ゆっくり寝よう。



 夜中にふと目が覚めた。最近ずっと一緒に寝ていたカハルちゃんが居ない。何だか布団がスカスカに感じる。寂しいので側で寝ているヴァンちゃんのお布団に潜り込む。うん、暖かくて落ち着く。まだ寂しさは残っているけど、もう一度寝よう。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 朝ご飯を食べて城に行き、無事に今日の配達を終えてシン様達を待つ。そういえば、昨日の爆薬がポケットに入ったままだった。お城の物だから返さないと。何個残っているのかな?


「一、二、三、四、五……」

「六、七、八……」

 

 ヴァンちゃんと一緒に数えながら机の上に並べていく。まだまだあるなぁ。


「二十四、二十五……。俺は、これで全部」

「僕はまだあるよ。二十六、二十七……三十一、三十二……。うん、もう無い」

 

 全部で五十七個もあった。


「ヴァンちゃん、これ見て。『我が作りし最強の爆弾!』って書いてあるよ」

「この前の『危険だよ~♪』よりも凄い?」

「かもしれないよね。凄い物なのにふざけているよね」

「あの部長なら真面目にやっている可能性もある」

 

 残念部長だ。でも、今回は役に立った感じだろうか?


「お疲れ様です」

「「お疲れ様です」」

 

 ミナモ様が部屋に戻って来た。後ろに居るのはメイド長さん⁉ まずいまずい、隠さなきゃ! 慌ててヴァンちゃんと共に、広げていた爆薬の前に立って手を広げる。


「ニコちゃん、ヴァンちゃん、どうされましたか?」

 

 メイド長さんが不思議そうに寄って来てしまった。あわわわ……。ヴァンちゃんと共にお顔を見上げながら必死に隠す。だが、メイド長さんの優しい顔から表情が抜け落ちて行く。うわーん、背が低くて丸見えだったよぉ~(泣)。


「これはどうされたのですか?」

「え、えっと、そのですね……」

 

 恐ろしさの余りに言葉が出てこない。ヴァンちゃん助けて~。


「……魔物倒す」

「そ、そうなんです! 封印されていた魔物を倒す為に貰ってきた残りなんです」

「どこから、貰って、きたのですか?」

 

 ひぃーーーっ! 絶対、答えが分かっていて聞いていますよね⁉ 一言一言を区切るように言う所が怒りの深さを物語っている。それは僕が答えなくちゃ駄目ですか? 責任者、出てこ~い。


 半泣きになっている僕を憐れに思ったのか、天が助けを寄越してくれた。


「あれ、まだそんなに残っていたのか?」

「ヒョウキ様! メイド長さんにご説明をお願いします!」


「えっ、俺にパスするのか? あー、えーと、そのだな? 魔物を倒す為に役に立ったから、見逃してくれたりなんかしたりしても……」


「ふふふっ、ヒョウキ様、ご覧下さい。『我が作りし最強の爆弾!』だそうです。他にもいっぱいありますね。どれだけ所持しているのでしょうか? 徹底的に探し出さないといけませんね。非常に忙しくなりますので、私はこれで失礼致しますね」


「ま、待て。お~い、メイド長⁉」

 

 楚々とした動きなのに物凄い速さで去って行った。ヴァンちゃんと共にグラスに水を注ぎ、カラカラになってしまった口と喉に水を流し込む。少し生き返ったのでメイド長さんを追い掛けよう。責任を感じてはいるが、本当は怖いので近付きたくない。はぁ……。


結局、メイド長さんに見つかってしまいました(笑)。

ニコちゃんの祈りが届きましたね。ヒョウキがしどろもどろで言い訳です。

勿論、そんなの笑顔でバッサリですよ。行け、行け、メイド長~!


次話は、飴と鞭です。


お読み頂きありがとうございました。

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