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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0118.青い薔薇

「フォレスト居る?」

「――あれ、シン? カハル達も一緒だ。どうしたの?」


「クマちゃんと開発した青い薔薇を見せてくれる? ニコちゃん達が楽しみにしていたんだよ」


「ふわ~でキュ~……。う~ん、フォレストしゃんが居るでキュ」

 

 ちょうど、クマちゃんが起きた。カハルちゃんも起きないかな。珍しい物が見られますよ~。


「青い薔薇を見たいのだって。クマちゃん、僕の所においで」

「モキュ。――みんな、こっちでキュよ」

 

 フォレストさんに抱っこされたクマちゃんの案内の元、白い扉をくぐる。実験器具が置いてある部屋を抜け、更に奥へと向かう。


「ここが、お花の改良をしている部屋でキュ。そして! 中央にあるのが青薔薇でキュ!」

 

 どうだ! と胸を張るクマちゃんの指す方向へ目を向けると、濃い青の薔薇がしっとりと咲いている。ビロードのような光沢の花びらと甘すぎない気品高い香り。まるで夜の女王様みたいだ。


「どうキュ? 気に入ったキュか?」


「はいっ。これなら、きっと人気が出ますよ! 僕も大事な人にプレゼントしたいなぁと思います」


「うむ。とっておきのプレゼントになる様な薔薇だ。素晴らしい」

「ニコちゃん、ヴァンちゃん、ありがとキュ~。クマは猛烈に感激しているでキュ~」

 

 今にも泣いてしまいそうなクマちゃんを、フォレスト様が優しく撫でてあげている。


「これからも良い物をいっぱい開発しようね」

「モキュッ。皆に喜んで貰えるように頑張るでキュ!」

 

 カハルちゃんがモゾモゾしだした。薔薇を見るチャンスだ!


「カハルちゃーん、起きて下さい。青い薔薇ですよー」

「う~ん……ん……」

 

 あ~、寝ちゃう。頑張れ!


「ふにゅ……ばら……」

「にゃんちん、中央を見るでキュ」

 

 眠そうに瞬きをしているカハルちゃんが、ゆっくりと視線を移動させていき、――目を見開いた。


「おぉーっ、しゅごい! あおいよ、くまちん! がんばったよぉ」

 

 カハルちゃんまで涙ぐんでしまった。シン様によじ登り、カハルちゃんをナデナデする。


「にこちゃもみた? しゅごいねぇ~」

「そうなんです。さすが兄貴です」

「ニコちゃん! 兄貴は止めるでキュ~」

 

 クマちゃんが焦った声を出した事で皆が笑う。んふふふ、嬉しい時は笑わないとね。


「薔薇も見られた事だし、もう夕方だからお家へ帰ろう」

「もう帰るの? 良かったら果物を持っていく? 桃あるよ。カハルが好きでしょ」

 

 カハルちゃんの目がキラーンと光る。


「おとうしゃ、ももにゃの。たべりゅ~」

「ふふっ。フォレスト、よろしく」

 

 おねだりにシン様とフォレスト様が相好を崩す。「も~も~♪」とバンザイしているカハルちゃんを見て、僕も顔面筋が崩壊した。


 ヴァンちゃんがクマちゃんをフォレスト様から受け取りやって来る。


「ニコ、孫を見るおじいちゃんみたいだぞ」

「そうキュ。全身が見事な白い毛でキュ。おじいちゃんキュ」

「そんなっ、僕は若者ですよ! というか皆も白いから、僕がおじいちゃんなら皆もそうです」

 

 クマちゃんがとぼけようとして口笛を吹こうとするが、全く音が出ず「フシュー」と空気の音しかしない。


「クマちゃん、全然音がしてないよ?」

 

 あぁ、シン様が突っ込んだ。クマちゃんが手で顔を覆って項垂れる。


「おとうちゃ、しーっ。くまちん、できにゃいのよ」

 

 カハルちゃんが小さな声で注意している。この状況は、どうしたもんだろう?


「持って来たよ。うん? どうしたの?」

「心に傷を負ったでキュ。クマを癒せるのはおいしい物だけでキュ」

「あー、ごめんね? 鯛をいっぱい食べさせてあげるから許して」

 

 自ら癒す方法を提案してきた上に、欲しい物を確実に手に入れた。やりますな、クマちゃん。ヴァンちゃんの腕の中で復活して、ウキウキと体を揺らしている。


「機嫌も直った事だし帰ろうか。見せてくれて、ありがとう」

「うん。また、ゆっくりおいで」

 

 フォレスト様から桃を受け取り、カハルちゃんが大事そうに抱えている。フォレスト様に順々に頭を撫でて貰い、満足して帰途に着いた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 お休みを満喫して翌朝を迎えた。ふぁあ~、良く寝た。


「ニコちゃん、おはよう」

「おはようございます、カハルちゃん。……あれ? 普通に喋ってるぅ⁉」

「うん。元の私に戻ったよ!」

「いやったーーー! おめでとうございます!」

 

 飛び起きてカハルちゃんを抱えて回る。わーい、わーい!


「う~ん、ニコ、何を騒いで――⁉」

 

 そこまで言ってヴァンちゃんがガバリと起き、僕からカハルちゃんを奪う。あ~、もう少し回したかった……残念。


 ガクッとしているとクマちゃんが僕の足をぽしぽしと叩き、「にゃんちんは平等にの精神でキュ」とありがたい教えをくれた。顔を洗いに行く後ろ姿を拝んでおこう。ありがたや、クマ様。


「元に戻った? 喋れる?」

「うん、完全復活だよ。白ちゃん達、いっぱい面倒を見てくれて、ありがとうね」

「全然面倒じゃない。楽しかった。な、ニコ?」

「うんっ。小さいカハルちゃんも可愛くて、お世話するのも楽しかったので大満足です」

 

 カハルちゃんが照れてもじもじとしている。抱き締めちゃえ。ヴァンちゃんと共にひっつき頬をぴたりと付ける。みっちゃーく!


「皆、おはよう。朝から熱烈だねぇ」

「シン様、おはようございます。カハルちゃんが元に戻ったんですよ!」

「うん。僕も嬉しくて、高い高いをしてあげたよ。セイなんて抱き締めて離さないんだから。ね?」

 

 顔を洗って来たセイさんが渋面で立っている。喜びが爆発したんですよね? 分かります。一人で頷いていると、セイさんが足早に僕の横を通りながら頭を撫で、「忘れてくれ」と囁く。もう、照れ屋さんだなぁ。


 カハルちゃんと共に同じ朝ご飯を食べて、浮かれながら魔国に向かう。ヒョウキ様達もきっと驚くぞぉ。


クマちゃん、自分が口笛を出来ないとは思っていませんでした。

目を背けようとした所でシンに指摘され撃沈です。でも、めげずに鯛をゲットしました。

機嫌が直るのが早いですね~。素晴らしい。

カハルがとうとう完全復活です。みんなの喜びが爆発していますね~。


次話は、残念なお知らせです。


お読み頂きありがとうございました。

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