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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0109.クマグマちゃん

 お仕事も無事に終わり、執務室でシン様を待つ。明日は待ちに待ったお休みだ。ぼーっと辺りを見回して気付く。この短期間でヒョウキ様の顔は傷一つ無くなっている。癒しの力、恐るべし。


「ただいまー」

「「お帰りなさい」」

「待たせちゃったかな? 白ちゃん達」

「いえ、全然です」

「少しミナモ達と話をさせてね」

 

 もちろんと頷き座り直す。


「明日、休ませて欲しいのだけれど。白ちゃん達を色々と案内してあげたいし、カハルともゆっくり過ごしたいんだよね」


「セイとダークはどうするんだ?」

「俺達は出るぞ。なぁ、セイ」

「ああ。俺は長く休んでいたから出る」


「そっか。じゃあ、シンは休んでいいぞ。城の魔物がそろそろ目覚めそうだから、その前に休んでおいてくれ。セイが復帰してくれたから、カハルが無理でもこのメンバーで何とか倒せるだろう。休み明けに、またバリバリ頼むわ。――ほいよ」

 

 カハルちゃんを受け取ったシン様が僕達を振り返る。


「明日は一緒に過ごそうね。それじゃあ、クマちゃんを迎えに行こうか」

「「はいっ」」

 

 魔物が復活しそうなのか……。平穏は長くは続かないらしい。だが、明日は忘れて楽しもう。どこを案内して貰えるのだろう? あー、楽しみだ。ヴァンちゃんと手を繋ぎピッコピッコとスキップしながらシン様を追う。


 今日はゆっくり眠って、元気を充電しなければ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 やって来ましたよ、お休み!


 今日は天気もいいので、絶好のお出掛け日和です。朝からワクワクとスキップしていたら、よく磨かれた木の床で滑った。


「うわ、わっ、わ、わーーー!」

 

 ズベッと見事に仰向けに転がる。咄嗟に受け身を取れて良かった。そんな僕を呆れたようにヴァンちゃんが覗き込む。


「はしゃぎすぎだ。怪我したら勿体ないぞ」

 

 そうだよね。えへへ、と笑いながら起き上がろうとしてある物に気付く。


「ヴァンちゃん、見て見て! こんな所に扉があるよ!」

「うん? 扉?」

 

 ヴァンちゃん用の箪笥の横、床から直ぐ上の壁に小さな取っ手が付いた、十センチ程の目立たない扉がある。二人で寝そべって見ているとシン様が来た。


「二人で何を見ているの?」

「シン様、ここに扉があるんですよ!」


「ああ、そこも説明するのを忘れていたよ。そこにはクマグマちゃん達が住んでいるよ」


「クマグマ? 種族名ですか?」


「そうそう。上質な綿を作っている種族だよ。この家の服とか糸は彼らが作ってくれた綿から出来ているんだよ」


「へぇ、そうだったんですか。こんなに小さい扉という事は、背が小さいのですか?」


「うん。大体十センチ位かな。大きくて十五センチ位だよ」

「クマちゃんより小さい。ん? 扉の方が小さい」


「大丈夫だよ、ヴァンちゃん。その扉は異空間への境目っていうだけだから。僕もその中に入ろうと思えば入れるよ。ただ、中はあの子達の身長に合わせてあるから立ち上がれないけどね」

 

 不思議扉だった。少しだけでも覗かせて欲しい。


「あの、見せて貰う事は……」

「ノックしてごらん。好奇心旺盛だから見せてくれると思うよ」

「トンチョン♪」

 

 いつの間にか、カハルちゃんもヴァンちゃんの横で寝そべって見ている。では、失礼して。トントン。


 ――暫し待つ。食い入るように見つめていると、少しずつ少しずつ扉が開かれていく。


「……グマ?」

 

 可愛いのが出たー! 白くてモコモコの熊さんだ。クマちゃんを小さくした感じだな。


「グマグマ? グマーグマ」


「あっ、初めまして。僕はニコです。隣の子はヴァンちゃんといいます。暫くこの家に住まわせて貰う事になりました。よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」

「グマー! グマグマグマ?」

 

 ちょっと待ってと言って走り去って行く。何かまずい事をしてしまったのかとヴァンちゃんと顔を見合わせていると、扉から白いモコモコが沢山飛び出してきた。


「グマー!」

「グマグマグマ!」

「グマーグマー!」

「うおっ、凄い。いっぱい出て来た」

「きゃわいい……」

 

 ヴァンちゃんがビックリする横で、カハルちゃんがうっとりとしながら手の平を差し出すと、クマグマちゃんがちょこんと乗る。


「~~~! もっきょもっきょだぁよー。しわわせ……」

 

 何とも幸せそうな表情だ。ちょっとジェラシーを感じてしまった。


「あーっ、にゃんちん、浮気でっキュよ! クマという者がありながら~」

 

 ここにもジェラシーに焼かれるクマさんが一人。ヴァンちゃんは特に気にしていないのかマイペースにお話している。


「綿を作っている所を見せて欲しい」

「グマグマ。グマグマ」

 

 クマグマちゃんがヴァンちゃんの毛を引っ張る。どうやら連れて行ってくれるらしい。


「いいよ。行っておいで。僕には狭すぎるから此処で待っているよ」

 

 シン様の許可を貰ったので喜び勇んで扉に近付く。どうやって入るのだろうと指を近付けた途端、開いていた扉の中に勢いよく吸い込まれた。


ニコちゃんは転んでもただでは起きません。――いえ、たたの偶然です(笑)。

新たなモフモフ、クマグマちゃんが登場です。

可愛い子達にすっかりメロメロのカハルです。

クマちゃん達が居る前で浮気ですよ。悪いヒロインですね~(笑)。


次話は、クマちゃんが兄貴? です。


お読み頂きありがとうございました。


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