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NICO & VAN ~最愛の主様を得たモフモフのほのぼの日常譚~  作者: 美音 コトハ
第二章 新生活の始まり
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0104.な、なんて贅沢!

 中は何も置かれていない。クマちゃんがトコトコと入って行き床の一部を押し込むと、床がパカッと開いた。仕掛けだらけなので、テンションが上がって来た。


「それじゃ行って来るでキュ」

 

 クマちゃんが開いた所に入って行ってしまった。覗き込むと滑り台になっている。うわぁ、僕も行ってみたい!


 振り返ると、シン様がニッコリと微笑む。


「先にご飯を食べようね」

「はい……」

 

 逆らっちゃいけない。大人しく居間に戻り、熱々のすき焼きを食べる。気になるけどご飯の誘惑にも勝てない。お替りして食べていると卵が少なくなってきた。


「そこにご飯を入れて食べるとうまいぞ」

 

 カハルちゃんに食べさせ終えたセイさんが教えてくれる。絶対においしいと確信した僕は数口残っていたご飯を混ぜ混ぜする。


「はむっ。――おいしいっ」

 

 お鍋の旨味が卵に溶け込んでいる。いつもの卵かけご飯も好きだけど、これも絶品だ。夢中で食べていたら、あっという間に完食してしまった。


「はぁ、おいしかった……」

「それは良かった。お腹にまだ余裕はあるかな?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ、お手伝いしてくれるかな?」

 

 頷き付いて行く。シン様が冷蔵庫を開け、残っていた半分のメロンを取り出す。あんなにおいしい物の後に、これも食べていいの⁉


 シン様が僕を見て笑うと、次は冷凍庫を開けバニラアイスを取り出す。そして、メロンの種を取って凹んでいる所にバニラアイスをポンと入れる。


 ビシャーンと雷が落ちた様な衝撃を受ける。な、なんて贅沢! これを、これを食べてもいいんですか⁉


「――ぶはっ、ははははっ」

 

 シン様が凄い笑っている……。セイさんの方に視線を向けると口を押え、肩を震わせている。やっちまいましたか? ダダ漏れ。


「ヴァンちゃん、ダダ漏れ?」

「いや。表情が全てを物語っていた」

 

 僕は黙ってメロンを運ぶ。おいしい物の前では恥などかき捨てだい。

 

 まだ肩を震わせて笑いながら、シン様がスプーンを持って来てくれる。ヴァンちゃんとメロンの前に座り手を合わせる。


「頂戴致します」

 

 いつもより丁寧に挨拶し、サクッとスプーンを刺すと、アイスと共にメロンを掬う。


「~~~~~っ!!!!」

 

 もう言葉にならない。アイスとメロンってこんなに合うんですね! 感動に浸っていると、セイさんとシン様が苦しそうに腹筋を押さえて震えている。声を上げないなんて、僕への優しさですね。見なかった事にしよう。――はむっ。ふはぁ、おいしい!!!


 ヴァンちゃんは無言でひたすら嬉しそうに尻尾をブンブン振って食べている。おいしいものを食べると無言になるよね~。


「あっ、メロンでキュ! クマも食べていいでキュか?」

「どうぞ。はい、スプーン」

「シンしゃん、ありがとうでキュ。――キュミー! おいしいキュ。すんばらしいキュ!」

 

 その後は黙々と食べ始める。セイさんも食べるかな? 目をやると首を振られた。


「俺はいらない。お前達で好きなだけ食べろ」

 

 非常に優しい目で言ってくれたので、お言葉に甘えさせて頂く。三人で皮のギリギリまで綺麗に食べ尽くす。もう食べられない。お腹がパンパンだ。クマちゃんは「プキュー」と言いながら仰向けに寝て、破裂しそうに膨らんだお腹を撫でている。


「突きたい」

「確かに。でも、僕達のお腹も凄いよ」

 

 ヴァンちゃんとお互いのお腹を見比べる。


「凄いな。丸いメロンが入っていそう」

「えっへっへ」

 

 笑いながらお腹を撫でていると視線を感じる。ん? 誰だろう? カハルちゃんがじりじりとヴァンちゃんの背後からハイハイで迫ってきている。そして、僕の所にも魔の手が迫っていた。


「ちゃわらせて~」

「触ってもいいか?」

 

 ご兄妹が仲良く聞いてくる。ここは頷くしかないでしょう。ヴァンちゃんと二人で「うむ」と頷くと、そーっと触ってくる。ひぃえー、くすぐったい。


「セイさん、それじゃあ、くすぐったいです。もっとガバッと触っていいですよ」

「いや、中身が出て来そうな気がして」

 

 え、えへへ。ですよね~。その後もこそばゆさに耐えた僕を褒めてあげたい。


「クマちゃん、そこで寝ていると踏んづけちゃうよ。あっちの部屋で寝ようね」

 

 片付けをしているシン様にお腹をツンツンと突かれてクマちゃんが僕に手を伸ばす。


「助けてキュ~」

 

 うんしょとクマちゃんを持ち上げ寝室に向かう。まだ、布団が敷かれてないので座布団をずるずると運んでいく。


「クマちゃんはここで寝ていて下さい。僕は片付けを手伝って来ます」

「了解でキュ。ニコちゃん、ありがとうでキュ」

「いえいえ、どういたしまして」

 

 既に手伝いを始めているヴァンちゃんと一緒に食器を運ぶ。セイさんはその間に手際よく布団を敷いていく。人数が多いとあっという間に進むよね。


「お手伝いありがとうね。歯を磨いておいで」

 

 頷き外の井戸に向かう。上を見ると星がキラキラと小さな光を放っている。つられて上を見たヴァンちゃんがほうっと息を吐く。


「ここは綺麗でいい場所だな」

「うん。星空を見ると、この前の洞窟を思い出すよね」


「ああ。あそこも凄かった。そういえば、山の途中で見付けた魔法陣があっただろう?」


「うん。まだ内緒って言っていたよね」

「うむ。次の休みに秘密を見せてくれるそうだ」

「うわぁ、楽しみ。何があるんだろうね? ワクワクする~」

 

 歯をシャコシャコと磨きながら思いを馳せる。メロン畑とかだったらいいよねぇ。それとも、お宝ザクザクとかかなぁ。


 歯磨きから戻ると、カハルちゃんは既に眠ってしまっていた。セイさんは本を読みながら、カハルちゃんを時々見て、ふっと目を和ませる。シン様はせっせと小さな洋服を作っているけど、クマちゃん用かな?


「ニコちゃん達、こっちに来るでキュ」

 

 ちょいちょいと手招かれて側に座る。


「明日の朝、地下を見せてあげるでキュ。少し早起き出来るでキュか?」

「します! 何があるんですか?」

「まだ内緒でキュ。楽しみに待つでキュ」

 

 何だかクマちゃんの方が僕達よりワクワクしている感じがする。何か自慢な物が置いてあるのだろうか? ここにいると、どんどん楽しみが増えていく。なんとも幸せな気分で眠りに落ちた。


ニコちゃんは見ていて飽きませんね。

セイの腹筋はよりバッキバッキになりそうですが、

ぽっこりお腹組はどんどんぽっこり具合がレベルアップしてますね。

パーンってなったらどうしよう? でも、どこまで膨らむのかも見たいとシンあたりは思っていそうです。


次話は、謎の部屋に行きます。


お読み頂きありがとうございました。

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