0009.復縁
「しょうがない、これ位で許してやろう」
やっと解放された僕は、頭が凹んでいないか思わず確認する。――良かった、凹んでいない。うぅ、まだズキズキする……。手でさすさす撫でていると、誰かの手が重なった。
「ダークが酷い事してゴメンね。今、治すから。あっ、嫌だったら止めるから――」
僕はその言葉に痛みも忘れて、離れてしまいそうな女の子の手をがしっと握り言い募る。
「嫌じゃないし恐くないです! 本当にごめんなさい。だから……だから、やり直すチャンスを下さい。お願いします!」
ずずいっと女の子に顔を寄せた僕に、ヴァンちゃんがポツリと一言。
「復縁を迫る元彼みたいだな……」
その瞬間、全員が吹き出した。
あーっ、もう台無しだよ! 僕の渾身の謝罪だったのに。頭の痛みも戻ってきたじゃんかっ。ぶすくれる僕の耳に可愛らしい笑い声が聞こえてきた。
目の前の女の子がクスクス笑いながら、僕の頭をそっと撫でてくれると、スーッと痛みが引いていく。
「もう、痛くない?」
「はい、ありがとうございます!」
「こちらこそ、ありがとう。復縁よろしくお願いします」
そう言って笑いながら、ペコリとお辞儀する女の子。僕は嬉しくなって、思わず言ってしまった。
「はいっ、カハルちゃん」
「‼」
まん丸になった目を見てハッとする。まずい、馴れ馴れしく呼んでしまった。どうしようと、目をウロウロさせていると――。
「嬉しい……。呼んでくれて、ありがとう」
そこには満面の笑みを浮かべている女の子が居た。思わず見入ってしまった僕を仲間達が小突いてくる。
「ニコばっかりずるいぞ。俺達だって呼びたい」
「そうだ、抜け駆け禁止」
ずるいコールが起こる中――。
「俺も呼びたい」
なんとヴァンちゃんまで! そんな風に言うなんて珍しい。あんまり他人に興味ない方なのに。仲間達もびっくりしたようにヴァンちゃんを見る。
「ん? 何だ、俺はダメなのか?」
「ううん、皆、カハルって呼んでね」
カハルちゃんが嬉しそうに皆を見回す。そんな、カハルちゃんの頭を撫でたダーク様が口を開く。
「結束も高まった所で、作戦会議するぞ」
「はいっ‼」
全員の声が揃った素晴らしい返事だった。
前話の後書きで、ついに! とか言いつつ、名前を呼ばれただけでした(笑)。
ちびっこの集まりなので、ほのぼのです。
次話は、作戦会議です。ダークがいっぱい喋ります。
お読み頂きありがとうございました。




