穏やかな日
今日はお買い物をしに街に来ている。
母様のお腹もすっかり大きくなり、もう一月もすれば、
我が家には新たな家族が増えるだろう。
だから、最近はお買い物も俺がしている。
「おばちゃーん。お野菜買いに来たよー。」
「あら、エミル。今日も元気ね。」
「うん。元気には自信があるからね。」
「そう、いいこねー」
「えへへー。」
今では商店のおばちゃんとも顔馴染みだ。
「はい、これもあげる。」
「いいの?おばちゃんありがとう。」
「いいのよ。ソフィアさんに宜しくね。」
「うん。伝えとく、じゃあね。」
「はい、気をつけて帰るのよ。」
ふふふ。笑顔というのは大事だな。
おばちゃんもすっかり俺にメロメロだぜ。
「おい。聞いたか騎士団の噂。」
「ああ、今回は失踪者が出たらしいな。」
「何でも騎士団の中で、
偉い役職の人が数人消えちまったから内部は大混乱だそうだ。」
でた、これが不吉な噂を話すモブだな。
うーん、父様大丈夫だろうか。
でも、あの人は殺しても死にそうにないし、
まして失踪なんて想像できない。
………冬眠はしそうだな。
きっと大丈夫だろ。うん。
家に着くと、俺は食材を冷蔵庫に入れる。
そう、なんと冷蔵庫だ。
この世界には家電がある。動力は魔法だ。
我が家には他に、洗濯機と掃除機がある。
これが5歳児でも家事のできる理由だ。
使い方は前の世界と殆ど変わらない。
魔法は便利だ。
さあ今日も元気に過ごそうか。
俺はこの穏やかな日々がずっと続くといいと思う。