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異世界に生まれた日
俺は真っ白な世界にいた。
なぜこんなところにいるのだろう。
きっと夢。夢をみているんだ。
不思議と居心地は悪くない。
ずっと誰かに護られて、包まれているような。
暖かい。
ずっとここにいたい。
どれくらい時間がたっただろうか。
誰かが呼ぶ声がする。
行かなくちゃ。
何故だかは分からない。
でも行かなくてはいけない。
そんな気がする。
真っ白な世界に、より白く輝く光が見えた。
行こう。
光に向かって俺は進み出した。
やがて光は大きくなり、俺を覆った。
痛い。
痛すぎて俺は泣いた。
苦しい。
苦しすぎて俺は泣いた。
辛い。
辛すぎて俺は泣いた。
大きな声で泣いた。
俺を護ってくれていたぬくもりが無くなり、
不安で、不安で、泣いた。
誰かの顔が見える。
笑っている。
その顔を見ていると、
ぬくもりが帰ってきたような気がして、
俺は泣いた。
この日、世界に俺は生まれた。
名前はエミル。
新しい、俺の名前だ。