メイドな日
木々が生い茂る森の中に、ひっそりと佇む古い洋館。
俺はそこでメイドをしている。
さぁ、今日もお野菜さんにお水をいっぱいあげるぞー。
洗濯、掃除、さて次はー?
俺がシェリルさんに拾われて一週間がたった。
お姉様に囲まれながら、
俺は培った家事スキルを遺憾なく発揮している。
メイドとして。
そう、メイドとしてだ。
何故俺がメイドをしているか。
それは、お姉様方の悪ふざけのせいだ。
この洋館には、シェリルさんとイスカさんの二人しか住んでいない。
執事は愚か、男の人が住んでいたことさえなかったそうだ。
なかったのである。服が。
俺は、イスカさんのお古を改造したメイド服に身を包んでいる。
確かに俺の顔はソフィアにそっくりなため、物凄い女顔だ。
ボロボロな服しかもっていなかった俺は仕方なくメイド服に袖を通した。
その姿を見たシェリルさんはこう言った。
「……可愛い。可愛い過ぎるわ!なにこの生き物!
うふふふ。そうね。
今後、この服以外での労働は禁止します!」
横暴だ。イスカさんは味方してくれなかった。
というかシェリルさんに激しく同意していた。
こうして俺はメイドとして雇われることになった。
いいんだ、別に。俺には、お金が必要だ。
家に帰るためのお金が。
その為なら、その為ならこのくらい。
………なんともないやい。畜生。
メイドの朝は早い。
朝食の準備、掃除、洗濯から始まり、
庭の菜園の手入れ、昼食、掃除、夕食、掃除。
今まではイスカさんが一人でやっていたそうだ。
有能である。
ここは街から離れているので、
必要な物は月一で訪問する商人から購入するらしい。
……商人よ、何としても男物の服を持ってきてくれ。
肉は森で現地調達だそうだ。
狩りもできるイスカさん。マジで何者なんだ。
そんな超人メイド、イスカさんの指導の元、
空いた時間は剣の訓練をしている。
教え方は超うまい。
「踏み込みが浅いですよ。」
俺は未だ一本もとれていない。
剣の訓練が終わると、次は魔法の訓練だ。
こちらはシェリルさんが相手をしてくれる。
教え方は超うまくない。
「そう、そこで魔力をギューってするのよ。」
俺はシェリルさんの魔力の流れを見て訓練している。
シェリルさんは風魔法が得意なんだそうだ。
そして、シェリルさんも無詠唱の使い手である。
「そこで一気にバーンよ。分かった?」
分からない。
なまじ、無詠唱が使えるおかげで詠唱は全部忘れたらしい。
正直、あり得ないと思う。
そんな感じで俺はメイドとしての日々を過ごしている。




