絶望した日
どうも皆さん、迷子の迷子のエミルです。
今俺は、爆乳犬耳メイドさんと仲良く手を繋いでいます。
どうも、握手を求め続けた結果、
俺が寂しくて泣きそうな5歳児に見えたらしい。
メイドさんの方から手を繋いでくれた。
どうだ、羨ましいか、羨ましいだろ。
そんな感じで、二人長い廊下をひたすら歩いている。
いや、マジで長すぎじゃね?
あれか?俺が小さいから長く感じるだけなのか?
メイドさんは俺の歩幅に合わせて歩いてくれる。
優しいな。
メイドさんは、イスカという名前だそうだ。
スラリとした長身に、はち切れんばかりの胸を携えている。
そして、頭に見える犬耳は、まるで柴犬を連想させる。
キュートだ。
ふふ。この時間が永遠に続けばいいのに。
「どうかしましたか?」
「…ハッ、何でもないです。」
危ない、危ない。
幸せ過ぎて冥土が見えた、メイドだけにな。
はい、ごめんなさい。
真面目にやります。
俺とイスカさんは大きな扉の前に着いた。
「シェリル様、ハーフエルフの少年をお連れしました。」
「入りなさい。」
大きな扉が独りでに開いた。
これも魔法だろうか。
「目が覚めたようね。」
「あ、はい。助けていただいた様で、
ありがとうございます。」
「ふふ。困っている人を助けるのは当然でしょ?」
この人もいい人みたいだ。
運が良かったな。
「貴方、名前は?」
「エミルです。」
「そう、私はシェリル。宜しくね。」
「はい。宜しくお願いします。」
シェリルさんもかなりの長身だ。
特徴的な長い耳がある。エルフだろうか。
しかし、イスカさんと違い、その胸はまるで大草原を思わせる程……
「何か、失礼なこと考えてない?」
「そ、そんなことないです。」
この人感が鋭いぞ。
「まぁいいわ。貴方の処遇について決めたいんだけど、
貴方、自分が何処から来たか分かる?」
「はい。えっと、
俺…僕はギルバーツ王国のクーレアンという街に住んでました。
誘拐されて、逃げ出したんですけど、気づいたら倒れてました。」
シェリルさんは顎に手を当てて考えている。
俺、変なこと言ったかな。確かにめっちゃ怪しいのは分かるけど。
「……ギルバーツ王国ね。分かったわ。
貴方ここに住みなさい。」
ん?
「え、えっと僕としては直ぐにでも、家に帰りたいですが。」
「ええ、今日からここが貴方の家よ。」
話が通じない。何を言ってるんだこのお姉さん。
「はぁ、貴方どうやって家に帰るつもり?」
「…普通に歩いて。」
誘拐された馬車では、そんなに時間が経っていないと感じていた。
長くとも1日かそこらだろう。
ならば、充分歩いて帰ることのできる距離の筈だ。
「それは無理よ。」
「大丈夫です。これでも5歳児にしては体力ある方なんです。」
俺はこれでも鍛えている。
父様に勝つには魔法だけでは足りないと思ったからだ。
前の世界の俺よりは体力がある自信がある。虚しいが。
「そういうことではないの。はぁ、イスカ。
地図を持ってきてくれる?」
「了解しました。」
どういうことだろうか。
イスカさんは直ぐに大きな紙の筒を抱えて帰ってきた。
「いい?貴方が住んでいたギルバーツ王国はここね。」
シェリルさんは、地図の端の方にある大きな国を指した。
なかなか大きかったんだなギルバーツ王国。
「そして、ここが私達の住む、オルデバラン公国よ。」
シェリルさんは、地図の真ん中辺りの小さな国を指した。
………は?
「貴方が住んでいたギルバーツ王国へ行くには、
どれだけ少なく見積もっても2年はかかるわ。
物凄く離れているの、
体力に自信がある誰かさんが、
歩いて行くのは不可能だと言い切れるぐらいにね。」




