握手の日
俺は真っ白なベッドの上で目を覚ました。
見慣れない風景に思わず戸惑う。
上級魔法を使ったからだろうか。
身体中を気だるさが襲っている。
眠い。
ここどこだろ?
最近、こういうの多いな。
俺は起き上がることにした。
部屋を出ると、そこは驚く程長い廊下だった。
俺がいた部屋は、ここの端だったようだ。
反対側の壁は見えない。
うーん。
どうしたものか。
俺は誘拐犯(多分)から、必死で逃げ出した。
意識を失う前、大きな洋館を見た気がする。
なら、ここはその洋館の中なのだろうか。
助かった?
助けてもらったならお礼を言わないと。
でも、この広すぎる廊下を無闇に歩くのもなー。
絶対迷子になるし。
腹も減ってるし。
最悪、遭難して餓死するぞ。
俺が悩んでいると、人影が廊下を歩いて来ていることに気づいた。
人影は段々大きくなる。
そして、俺は見つけた。飛び出しそうになるのを必死で抑えた。
メイド服だ。
本物のメイドさんが近づいて来ている。
ヤバい、抑えろ、ダメだ。
相手は知らない人だぞ。失礼じゃないか。
理性が頑張って仕事をしている。
だが、ダメだった。
「うわぁー、メイドさんだぁああーー‼」
俺はメイドさんに向けて走り出した。
名前も知らないメイドさんは、困惑している。
あたふた。可愛い。
「握手してください!」
「は、はい。」
「ありがとうございます!」
メイドさんは、俺の手を控えめに握った。
うおー、メイドさんや。メイドさんやで。
本物や。
うおーーーー!
「あ、主がお待ちです。ご案内します。」
「はい!」
メイドさんは振り返る。
俺の顔に、ふかふかした何かが当たった。
まるで、犬の尻尾の様な………
尻尾!?
メイドさんには犬耳がついていた。
俺は、本日二度目の握手を求めることとなった。




