騙された日
その日はとてもいい天気の日だった。
俺はいつもの様に買い物で街へと向かった。
「母様~。いってきまーす。」
「は~い。気をつけてね。」
もうすぐ家族が増えるということ。
魔法の合成ができたこと。
俺は浮かれていた。
街に着くと、いつもの商店への道で泣いている女の子を見つけた。
どうしたんだろう?迷子なのかな?
「ねえ君、どうしたの?」
女の子はひどく泣いていて、
あまり要領のいいとは言えない説明だったが、
買い物の途中に、母親とはぐれたらしい。
「一緒に探そっか。」
俺は女の子を助けることにした。
流石に泣いている女の子を放っておくほど、
悲しい人ではない自覚はあるからな。
女の子は、迷子になってから、かなり歩き回ったらしい。
なかなか母親は見つからない。
どうしたものか。
「あっ。」
女の子は見覚えのある建物を見つけたそうだ。
その建物は協会の様に見えた。
俺達は、その協会らしき建物へと足を踏み入れた。
本当に協会ならば、神父やシスターがいるだろう。
女の子はこの街に住んでいると言っているし、
もしかしたら母親のことも知っているかもしれない。
中は本当に協会だった。
祈りを捧げる人も、ちらほらと見受けられる。
あっ、神父だ。あの人絶対神父だ。
「何かお困りですか?」
目が合うと神父が話しかけてきた。
「えっと、この子が迷子になっちゃったみたいで、
母親を探しているんです。」
「なるほど、その子は……
あぁ、フェニちゃんですね。
フェニちゃんのお母さんは、今日はまだ来てませんね。」
「そうですか。なら、もう少し外を探してみます。」
「その必要はありませんよ。恐らくすぐにここに来るでしょう。
今日はお祈りの日ですから。」
神父は母親の予定に心当たりがあるらしい。
なら、ここは神父にフェニちゃんを任せて、
俺は買い物を済ませるとしようか。
「お願いしてもいいですか。」
「はい、構いませんよ。」
「じゃあフェニちゃん。俺はもう行くね。
………ん?」
フェニちゃんが手を離してくれない。
「フェニちゃん?」
泣いてしまった。
仕方ないので俺はフェニちゃんと一緒に母親を待つことにした。
どれくらいたっただろう。
もう日が傾き始めている。
フェニちゃんの母親が現れる気配はない。
フェニちゃんは俺の膝の上で寝息をたてている。
俺も眠くなってきた。
ちょっとだけ俺も寝よう。
「おい。」
「は、フェニックス様。」
「こいつは、城へ連れていく。」
「了解致しました。」
これで一段落か。
しかし、このハーフエルフの子供、なかなか眠らなかったな。
私のチャームの威力が落ちたのか。
いや、こいつの魔法耐性が高かったのだろう。
ふふ。実にいい拾い物じゃないか。
芝居をうった甲斐があるな。
「これより帰投する。拐った奴隷達の準備は?」
「できております。」
「そうか。ならば行くぞ。」
この日、俺は騙された




