表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

奥山さんの毎日。

奥山さんの合コン。3

作者: ヤマモト

奥山さんはモテたい。


「奥山さん、なんかごめん」

奥山さんの割りと片付いていない部屋で、ドライヤーと携帯用コテをもったあかりちゃんは伏し目がちに言った。

「あ……いや……」

「なんかもう、往年のモハメド・アリみたいにしてしまってなんかごめん」

「いや、そんな、ね?髪が短いのに巻きたいって言ってお願いしたの私だし、ね?」

「でもこれじゃない感丸出しだし、奥山さん」

「これじゃないと思ってはいるけど、うん、でもほらガチで謝られるとなんかもう私自身否定されてるみたいで」

「そこまで否定してないから!アリな奥山さんも有りだよ」

「うまいこと言ったみたいな顔してるけどそうでもないよ?」

右手に缶ビール、左手に手鏡、奥山さんは無表情にモハメド・アリを見ていた。

「やっぱりこれじゃない」

「逆にコレかもよ!?」

「あかりちゃん、必死になるポイント違う」

とりあえず髪を洗ってあかりちゃんみたいにふわふわになり直そう、奥山さんは缶ビールをぐいっと飲み干し立ち上がった。

「あかりちゃん、冷蔵庫にガパオライスの材料あるから作って食べて待ってて」

「ガパオ?」

「昨日買ったの」

バスルームに向かう奥山さんの後ろ姿を見ながら、ガパオライスを作るという選択をする女子力の使い方にあかりちゃんは感心した。

「なぜガパオライスなんだろう?」

もちろんあかりちゃんはガパオライス作りなどせず、奥山さんが飲まないからとくれたブルーベリーリキュールのソーダ割りを飲んだ。

「ガパオライスじゃないよ、チョイスはこれじゃないよ」

些か酔いが回ってきたあかりちゃんは小さく毒を吐きながら奥山さんを待った。

「お待たせ」

奥山さんの声がして、あかりちゃんは振り返った。タオルで頭をガシガシこする奥山さんを見てあかりちゃんは固まる。

「あかりちゃん?」

「奥山さん!なんでいっつもきのこ頭にしてんの!なんで象柄着てんの!!」

「え?何?」

「奥山さん!ちゃんと鏡見て!」

黒シャツと細身のジーンズに着替えた奥山さんは、スラリとしたイケメンになっていた。

「かっこいい!!奥山さんかっこいい!!」

「ちょっと何言ってるかわからない」

「奥山さんはイケメン過ぎるんだよ!!」

「だからわからない」


奥山さんはモテたい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ