#02 ?(1)
記者が帰ってから、火災現場に舞い戻っている人影があった。
小柄な少年――上宮斉明だ。
遠くから監視する目を持っていた青年は、その様子を眺めていた。結局斉明は、何も得た様子は無く、連れの男性と帰っていったが、青年は、なぜ彼が戻ってきたのかを不審に思った。
「可能性は、二つ」
青年は左右のポケットから、それぞれ一つずつ物を出す。
右手のそれは、潰された折り紙だった。もともと何かを象られていたようだが、今は見るも無残な紙屑である。
左手のそれは、鏡のように光を反射する、親指大の物体だ。
「彼が探しに来たとしたら、この二つの内にどっちかだ」
どちらも、この手にある。なんにせよ、青年にまでは辿り付けないだろう。
――けど、相手は上宮の神童だ。油断して良い相手じゃない。
上宮斉明は、作る才能においては、青年を凌駕する才能の持ち主だ。彼単体では無力でも、誰かと協力されれば、脅威となるだろう。
そのような事態だけは、避けなければ。
青年は、上宮斉明を無力化するための策を練ることに決めた。
これは青年の復讐劇だ。誰が相手であっても、邪魔するものは一切許すつもりは無かった。
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