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しゅわしゅわ

作者: かなかな

小さい頃から炭酸が好きだった。


口に含んだとたん

しゅわしゅわとはじけて


のどをぴりっと過ぎて


ときには痛みさえあたえる


そんな瞬間が好きだった




彼女と出会ったのは高校一年生の夏。


自動販売機で買った炭酸飲料を

うっかり落としてしまい


それを拾ってくれたのが彼女だった


「炭酸好きですか?」

まぶしい笑顔でそう尋ねられた


そんな彼女と

仲良くなるのに時間はかからなかった



遠足、文化祭、体育祭、

何をするにも彼女が側にいてくれた


時にはけんかもした

別れそうになったこともあった


それでもお互いに支え合ってきた



ふたりは同じ大学へと進んだ。


学部こそ違ったが

順調に付き合いを進めていた



ある晴れた日


彼女が行方不明になった。



住んでいたアパートを訪ねて

周りの人に聞き込みをして


僕は必死で彼女の姿を探した


彼女は見つからなかった




あれから2年が経ち


僕は社会人になった。


彼女がいなくなってから

勉強と部活に全てを注ぎ込み


いい会社に入ることができた



入社式で隣になった女の子は

行方不明になった彼女と

そっくりだった


早まる気持ちを抑えながら

僕は彼女に話しかける


「炭酸は好きですか?」


彼女はこう答えた


「昔は好きだったんですけどね」



炭酸が喉を通る瞬間を思い出した


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