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沖ノ浜の紛い者  作者: 指猿キササゲ
$1$ 本章
13/42

『烏』のアジト2 #『烏』


    『烏』のアジト2 #『烏』


「寿司、ですか?」

 広谷朱博は、先輩である竹内宇智巴の意見であれば、火中の栗でも拾う覚悟である。しかしそんな彼でも、流石にこの状況は予想していなかったので、戸惑った。

「そうだよー、今から食べにいくのー」

 『烏』に与えられている賃貸マンションの一室。そのソファに置いてあったハンドバッグを手にとって、竹内は出かけようとする。

「北池さんは?」

 広谷が口にしたのは、先ほどまでここに居た『烏』の最大戦力たる人物の名前だった。

「ああ。アイツなら、ちょっと前から『行方不明』だから。それを『鍵』に『知らせる』ための寿司なの。OK?」

 意味深な単語のアクセントに、広谷は竹内の意図を悟る。

「つまり宣戦布こ……」

 言いかけた広谷の口を、竹内の人差し指が塞いだ。

「しー。ダメよ、朱博。直接的な表現は控えましょう。間違っても口に出しちゃダメ。今は二人っきりだけど、だからこそ、こういう気の抜けてる時から気をつけるようにしないと、いざ本番って時に、うっかりっ出ちゃう事もあるからね。それにそれだけじゃないわ。『塵芥』には操れそうなのが一匹いるから、その下ごしらえもね。さ、準備して朱博」

 長々とした忠告だったが、正直なところ広谷はそれどころではなかった。自分が好意を寄せている人物が唐突に触れてきて、軽く混乱していた。

「どうしたの?」

 呆然としていた広谷は、その一言で我に帰る。

「あ……なんでもないです」

 すぐに準備をするべく、広谷は持ち物を取りに自室へ向かう。

 信頼されて、恵まれて幸せだ――そう思う彼の後ろで、その人物が邪な笑みを浮かべていることに、彼は気付かない。

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