表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

~がんばれ?勇者!~

勇者の探索活動

作者: 雪 まりあ

読み手が少ないとは思うが、思いついたので投稿。


勇士、8か月。


体がようやく動くようになってきた。

とはいっても、立つことはできず、四つん這いという情けない姿である。


黒髪の女たちが蠢く屋敷にも、金髪の女と黒髪の男が住む屋敷にいるときにも、不思議なものがたくさんあった。


なんと技術の高い場所なのだろうか。


水の出るもの、魔法のように光を灯すもの、音の出るもの、精巧な絵、どれをとってもこれまで見てきた技術よりも高いものだ。


それから、目が見えるようになってきて分かったことがある。

なんと、体が縮んでいるのだ!


手を見ておかしい思い、体が動くようになってから水の出るものの場所へ行き、排水しているところを近くにあった布で栓をして最大まで出して水を溜めて、自分の姿を映してみたのだ。

まるで赤子だ。驚いて、その水をバシャバシャと触って幻術かどうかを確認したくらいだ。

…そういえば、その時に後ろから悲鳴が聞こえてきて、黒髪の女がバタバタと走ってやってきて水を止めて栓を外していたなぁ。


それからなんか一言言われてから、水の出ている場所に行かないようにされた。



それから、製本技術も発達しているようだった。


赤子の姿の自分の手の届くところにも本があり自由に見ることができた。

その本をみると、精密な絵が描かれていたので感心して見入っていると黒髪の女がやってきて何やら言っていた。

不思議に思って女を見ていると、絵とその下にある文字のようなものを指して何かを言っていた。


女が言った言葉の復唱を試みて声を出すと、黒髪の女はにこにこと笑っていた。

その女はその本にあったいろんな絵を指さしながら、根気よく言葉を知らせていた。


どうやら、この場所での言語のようなので、状況を把握するためにもその言語を習得するべく何度も本を読むよう伝えた。



それから徐々に言葉を覚えていった。

目で絵を見て文字を見て、そして発音するために黒髪や金髪の女たちの口を見る。

耳で発音を漏らさず聞き取る。

口で何度も何度も発音をして、女たちの言葉と同じようにしゃべる。


それを繰り返すことで、この場所での言語を習得した。


一番根気よく、言葉を読んでくれたのが金髪の女だった。

そのため、黒髪の女たちよりも金髪の女のしゃべり方が身についた。



言語を習得したことで、周りで何を話しているのかがわかってきた。



自分があの金髪の女と黒髪の男の子どもとして、黒髪の女たちの屋敷に預けられているということ。


自分をみなが勇者ではなく、ユウシと呼んでいる事。


そんなことがわかってきた。



それから、周りを見れば体を縮められた自分と同じような黒髪の赤子がいる。

悪魔の子どもたちなのだろうが、どう話しかけても意味の分からない言語をしゃべる。

時々は意味が通じるのだが、「どうぞ」だの「いやだ」だの「ゆーしくん」だの、黒髪の女たちほどぺらぺらとしゃべらない。

もしかしてと思い、この場所の言語ではない母国語で話しかけるがやはり反応はなかった。



この黒髪の女たちは赤子を集めて世話をしているようだ。

つまり、自分も赤子と思われて世話をされていたようなのだった。


悪魔の色をした髪を持つ赤子の中に、自分のような金の髪の赤子がいても気にする様子がないということは、相当知能が低いか、または身分が低いので何も言えないのだろうと考える。



それからまた少し経ってから、どうにか歩けるようになり部屋の外にも出られるようになった。

黒髪の女たちのいる屋敷の外には広い場所があり、不思議な建造物があった。

そして、その広い場所…黒髪の女たちは『えんてい』と言っていた…では、自分よりも少し大きい子どもたちもいることが分かった。


かなりの人数がこの屋敷に預けられているようだったが、悪魔の髪の色の子どもばかりだった。


自分と同じように縮められた僧侶や魔法使い、武闘家にアーチャーがいないかと思ったのだが見つからない。


まったく、ここはいったいどこなのだろうか。

魔王城の奥にはこんな場所もあったのかと思ったが、もしかすると異空間にでも迷い込んでしまったのかもしれないと考えるようになっていた…。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「せんせぇ、今日は勇士くん水道で水遊びをしたんですよぅ。

 もうびっくりしました。排水溝にわたしのハンカチが詰めてあったんですよ!」


新米保育士はベテラン保育士にそう報告した。


「あら、貴女は時々ハンカチを棚とかに干しているから、それを見つけて持って行ったのかしら?

 勇士くんたら、頭いいわねぇ。」


ベテラン保育士をそう言って、勇士をほめた。



数カ月後…。


「せんせぇ、勇士くんは絵本にすごく興味があるみたいです。今日も熱心に読んでましたよ。」


「ほんとにね。わたしもよく絵本を読んでとせがまれますよ。

 動物や食べ物の写真が載った絵本をよく見てますよね。

 せっかく興味を持ったのだから、ひとつひとつ名前を教えてあげるといいでしょうね。」


「はい、わかりました!勇士くんのお母さんにもそう知らせていきますね!」

勇者8か月のハイハイ・タッチ時期~10か月のあんよ時期。


10か月で歩きはじめるのは若干早い方らしいが、勇者はすぐにでも現状把握がしたくて動きはじめました。

10か月で歩きはじめたので2カ月後の誕生日の頃には一升餅を軽々持っている事でしょう。

なんせ、勇者ですし力持ちですよね!


1歳で一升餅を軽々持ち運べてた勇者…じゃない、勇士くんは一生食べ物に困ることが無いのでしょうね~


【追記】

勇士の通っている保育園は0.1歳児、学生で言うと2学年が同じクラスになっています。←小さい保育園だとそういうこともあるのです

0歳児クラスの子が「どうぞ」「いや」とかなかなか言えないですもんね。

それを言ったのは1歳児クラスの子たちです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ